20201020(了)
映画『荒野の誓い』 |
スコット・クーパー監督//クリスチャン・ベイル/ロザムンド・パイク/ |
ウェス・スチューディ/アダム・ビーチ・・・ |
(スティーブン・ラング/スコット・ウィルソン) |
音楽:マックス・リヒター |
2017年製作/135分/アメリカ/原題:Hostiles/DVDレンタル |
<★★★☆> |
〈映画.com解説から〉・・・産業革命後の開拓地を舞台にした西部劇。1892 |
年、産業革命によって急速に開拓地や街へと変貌を遂げつつあるアメリカ・ニ |
ューメキシコ州。インディアン戦争の英雄で、現在は看守を務めるジョー・ブ |
ロッカーは、かつて宿敵関係にあったシャイアン族の酋長イエロー・ホークと |
その家族をモンタナ州へ護送する任務に就く。その道中でコマンチ族の虐殺に |
よって家族を失った過去を持つロザリーと出会い、彼女も旅に加わることとな |
る。一行はなんとか厳しい辺境地を乗り越えたが、ある地点で互いの協力なし |
では生きていけない危機的な状況に陥ってしまう・・・ |
ええ邦題とは言われへんね。「敵意ある者たち」あるいは「敵意たち」ぐらい |
の意でしょうか、これでもピンときませんがこの邦題よりはましかも。 |
西部開拓のおしまいごろの、ある切り口。 |
先住民たちの抵抗もそろそろおしまい。でもこういうことも起きていたという |
ようなお話で、先住民や白人至上主義の連中や荒れくれたちと軍隊との間で起 |
きた事件を、ひたすらリアルに描いたらこうなったというよう。 |
リアルなのは銃などによる殺傷シーンのみならず、クリスチャニティをベース |
にした道徳観による己の罪深さだとか、それを都合よく解釈してしまうことだ |
とかを、とても生真面目に描いていました。 |
白人至上主義なんて言葉、今でもごく当たり前に使われるこの世界は、人間の |
英知が大したものでないことを証明しているようなもので、まあこんな映画で |
も作って飽きずに注意喚起するしかない。 |
ワタシだって多分人のことは言えない。 |
なんてこと書いちゃうと、もはやウェスタンじゃないみたいだけれど、これが |
これからのウェスタン、という言い方をしてもいいかもしれない。 |
大統領からのお墨付きもあるよ、と、あっさり送り出される感じだが、ニュー |
メキシコからモンタナまで行くんで、退役までの最後の仕事とはいえ、護送と |
しては、危険をはらんだとんでもない遠さ。 |
映画での時間の経過がいまいちわかりにくかったんだけれど、きっと何百キロ |
もあったんだろうね。次から次と事件もてんこ盛り。でも、散漫になっていな |
かった。ちょっとしんどいくらいでしたね。 |
音楽はマックス・リヒター。環境音楽の雄だと思ってましたが、最近では「ア |
ド・アストラ」でも聴いたように、映画の担当が増えているようです。時にベ |
ターっと分厚い鳴らし方をしていて、そりゃあ監督さんの意向なんでしょうね、 |
これで邪魔にならんのかしらん(例えば見る人の思索の)、と心配になりまし |
た。それに、主人公である大尉の考え方が変化してゆくように見える~ある種 |
の成長をするように見える~から、荘厳さもあってもいいかと思ったのですが、 |
実は、エンディングがちょっと意外なものだったものですから、へぇ、音楽の |
方はこの調子で押し切っちゃったんだ。 |
こうなるとたちまち「あれぇ?」てなもんで、勝手というか現金というか、「ち |
ったぁ転調っぽいニュアンスが覗いてもよかったんじゃない?」の気分で終わっ た。 |
・東野英治郎似のウェス・スチューディのつらがまえが、幾つかの映画
で見てきてはいるのですが、飛びぬけて素晴らしかったですね。
・トランプさんが再選されるという見方が、まことしやかに紹介された
りして、ゲッソリしています。