休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

魂のための詩篇集

カナダの実力派合唱団による癒しのコーラス

20201010(了)

魂のための詩篇

                  PSALMS FOR THE SOUL

ジョン・サンダース - John Sanders (1933-2003)
 ①非難 11:12
ヘンリー・ローズ - Henry Lawes (1596-1662)
 ②Psalm VIII 詩篇第8番 2:44
チャールズ・ヒルトン・スチュワート - Charles Hylton Stewart (1884-1932)
 ③Psalm XXIII 詩篇第23番 2:27
リチャード・ウッドワード - Richard Woodward (1743-1777)
 ④Psalm CXXII 詩篇第122番 2:22
ハーバート・サムション - Herbert Sumsion (1899-1995)
 ⑤船で海に乗り出すものは 6:53
ヒューバート・パリー - Hubert Parry (1848-1918)
 ⑥Psalm LXXXIV 詩篇第84番 3:35
チャールズ・ヒルトン・スチュワート - Charles Hylton Stewart (1884-1932)
 ⑦Psalm CXXX 詩篇第130番 2:24
エドワード・C・ベアストー - Edward C. Bairstow (1874-1946)
 ⑧エレミアの哀歌 8:14
レノックス・バークリー - Lennox Berkeley (1903-1989)
 ⑨主は私の羊飼い 4:45
ノエル・エジソン - Noel Edison (1958-)
 ⑩Psalm CXXI 詩篇第121番 2:32
デイヴィッド・ウィルコックス - David Willcocks (1919-2015)
 ⑪Psalm CXXXI 詩篇第131番 1:42
ハーバート・ハウエルズ - Herbert Howells (1892-1983)
 ⑫鹿が谷川を慕いあえぐように 6:43
トーマス・アットウッド・ウォルミズリー - Thomas A. Walmisley (1814-1856)
 ⑬Psalm CXLVIII 詩篇第148番 2:17
アイヴォー・アトキンズ - Ivor Atkins (1869-1953)
 ⑭Psalm CXLIX 詩篇第149番 2:17
チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード - Charles V. Stanford (1852-1924)
 ⑮Psalm CL 詩篇第150番 2:20
 
  エローラ・セント・ジョンズ聖歌隊/指揮:ノエル・エジソン
  マイケル・ブロス(オルガン)
  録音;1999年11月、カナダ、オンタリオ、エローラ・セント・ジョンズ教会 Tot.63:12
  2000年11月/CD/宗教曲/Ⓟ&ⓒ HNH International(Naxos)/中古
  <★★★★>

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(帯紹介文) これは合唱を愛する方々には特にお薦めします。このカナダの
合唱団、澄み切った美しいハーモニーを聴かせてくれるのです。①では20世
紀の音楽らしい、かなり難しい不協和音が使われているのに、合唱団が上手
いおかげで少しも不快ではなく、むしろ同じような楽句の反復に癒されてし
まいます(この曲が特に良い!)。当盤の収録曲は、旧約聖書による150の
宗教詩「詩篇」にイギリス系の古今の作曲家たちが音楽を付けたものです。
ハウエルズやスタンフォード、パリーを除くと殆どが馴染みの薄い作曲家で
すが、どこをとっても心休まる調べに満ちています。
 
 ・・・ ・・・ ・・・
宗教を無視しても(無視できるはずがありませんが)、美しいと感じさせる
ことは否定できない。無理して否定してもせんない。
14人の作曲家。活躍したであろう中心的な年代から見て、17世紀が一人、
18世紀が一人、19世紀が三人、20世紀前半が三人、同後半が六人。

うまく散らばってます。

 
17世紀: 一番古い②はオルガンの伴奏も含め、いかにもいかにも讃美歌。
 今の讃美歌にもこんなのは多い気がする。アーメンが曲に入り込んでいる
 のね。その辺が日本の讃美歌と違う感じ。

18世紀: ④なんですが、②とそう大きく違わない気がする。アーメンも同

 じ。

19世紀: 古い順に行くと、次は⑬でしょうか。オルガンがなんとなく付い
 て主張はまだしない。次が知られた作曲家パリーの⑥。美しいがこれもお
 となしいね。オルガンも地味。19世紀おしまいは、これも知られた作曲
 家スタンフォード(19世紀に入れちゃいました)の⑮。ここまでで最も華
 華しく盛り上がる。オルガンも高音のみならず、重低音も結構鳴らしてい

 る。アルバム最後を飾るものとして最もふさわしいと考えられたのでしょ

 う。

ここまでは完全に古典派やロマン派。だけど和声的には17世紀からそんな
に変わってないというのがミソじゃないか。
 
20世紀前半は、三人、4曲:
 まずはスチュワートの2曲、③と⑦。共にオルガンなし。単純な繰り返し
 の③の静かな祈りの雰囲気がいいですね。⑦はユニゾンから和音に変わる
 時、フワーっと彩色されるようです。いい効果。
 ⑧は知らない人でベアストーというが、曲名はバロック以前でよく取り上
 げられていた「エレミアの哀歌」。①に次いで長い。ここで歌にもオルガ
 ンにもここまでなかった新しい和声(不協和音?)が初めて出てくる。オ
 ルガンの高音でのフルートのような和音も俄然新しく、ワタシにはようや
 くしっくりくる。これはもう讃美歌なんてもんじゃない。
 20世紀前半最後は⑭。若干の新しさと若干の華やかさ。教会音楽から少
 し離れた感じがあるけれど、いかんせん短い。アーメンは組込み。
 
20世紀後半は6人、6曲:
 ①邦訳では「非難」とあるが、もうひとつ「連誦」とも書かれている。紹
 介通り不協和音が絢爛と広がる不思議な魅力がある。不安もしっかりあっ
 て、印象に残る大曲。オルガンなし。 ⑤はベタなイギリスらしいやや古臭
 い合唱もいいが、ところどころのオルガンが素晴らしい。⑨も声部が多く
 不協和音も多いが、①よりはぐっと繊細でオルガンもいい。フォーレっぽ
 いところもいいなあ。一押し! ⑩この曲はこの団体の他のアルバムで聴
 いたことがある。この指揮者の曲。振いつきたくなるような魅惑的なメロ
 ディ!そのメロディでもって最後はアーメンも。 ⑪この作曲家の名は覚え
 があります。はかなげで絶品といってもいいけれど、短すぎる。無伴奏
 ⑫ワタシの好きなハウエルズ。熱い楽曲が印象に強いが、これは太くゆっ
 たりと流れる感じがいい。短いながらオルガンと共にちゃんと熱く盛り上
 がる箇所もある。おしまいの不安な感じもまたいい。
 
このCDは、教会堂の中でなきゃ、夜しか聴けない感じやね。
そして、イギリスものだからでしょう、みな上品。
曲別にだらだら書いたまんまアップしたので、読む人がいたら申し訳ないが、
最後に、年代順に聴くなんてこともしてみたりと、ワタシにしては少し丁寧
に聴いてみました。
ワタシが素敵だと思ったものは、そろって20世紀後半のもの。⑤⑨⑩⑫。
こういう音楽を時々聴きたくなるというのは、子供時代の讃美歌なんかの影
響が、宗教とはかかわりなく(と思っている)脳のどこかにシミのように残
っているのかもしれません。

 

(この前にアップしたのが「ブレイキング・バッド」という、赦しがたい世
界の話だったことから、この清らかな世界との落差は、いくらワタシが宗教
なんて関係ないよ、と言っても、やっぱり小さくない・・・かもね。どない
なんやろう。どうもそういう分析は、よく見かけるし、無意味じゃないけれ
ど、好きじゃない。結局のところ、新しいものに反応しているとわかって、
どこかほっとしてます。)