20200820(了) |
安野光雅/わが友の旅立ちの日に |
2012年/エッセイ/単行本/山川出版/中古 |
<★★★★> |
読み終わってからわかったことですが、先に書いてしまいますと、この本 |
は、1989年に暮らしの手帖社から『ZEROより愛をこめて』というタイ |
トルで、若者向けに書かれた手紙の数々という体裁でまとめられた。 |
それが絶版になってから今度は『君は大丈夫か』というタイトルの文庫本 |
として、筑摩書房から出された。そして今回、ったってもう8年前のこと |
とですが、安野さんの本をたくさん出している山川出版が出した。 |
実は『ZEROより愛をこめて』は探してみると、書棚にありまして、なん |
と20年近く前に読んでましたが、全く気付かなかった。 |
で、比べてみたところ、個々中心的なネタはそのままにして、若者向けの |
手紙という体裁は全くなし、それでも若者の役に立てばいいなというよう |
な思いを形にし直している。文章のスタイルがまるっきり変わっているし、 |
大事件等、あたらしい物事も付け加えているからでしょうね。気付かなす |
ぎかもしれないですが、ネタも全然覚えていませんでした。情けない気も |
します。 |
でも、ああこれほど変わってしまっていては、別物・・・ |
本業の絵のほうは文章にはまるでなく、大昔に先生をしておられたこと |
(算数の先生)がうかがい知れるような、科学、物理、自然科学、哲学、 |
歴史などを基に、先生っぽいながらも押しつけがましくなく先達の知恵 |
を多岐にわたって紹介してくれている。疑問点の提示が多いのも安野さ |
んらしい。 |
安野さんよりはずっと若いワタシのような見習いに近いオジンが、普通 |
読むような本ではないかもしれないですけどね、ま、ワタシにとっちゃ |
あ「安野ブランド」はたいていOKだから、「今」も踏まえた素敵な読み |
物になっていまして、、、なんてわかったようなことを言う。わざとら |
しいですね。車の中でしばらくハーモニカの「トゥーツ・シールマンズ」 |
の3枚組のCDをかけていた時のさわやかさに似て、クソ暑いさなかの涼 |
風みたいな具合でした。 |
中身は紹介しません。 |
・・・いくら時代が変わっても「本を読んで、自分で考えることが |
大切なことはかわらない」と、わたしは信じています・・・ |
というスタンスに貫かれた優しい老婆心。 |
科学と科学技術とは違うということには相当拘っておられれるようで、AI |
を考えるうえでどうしても言っておかねば、というようなことだったのか な。 |
切り絵と、未発表だという絵やデッサンの中から一つだけ。曲がったりボ |
ケたりで、きれいには写ってませんけどね。 |