休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

オスカー・ピーターソン & ネルソン・リドル

20200815(了)

オスカー・ピーターソン & ネルソン・リドル

   Oscar Peterson & Nelson Riddle
   The Trio & The Orchestra with Strings 
  オスカー・ピーターソン(p)、レイ・ブラウン(b)、E・シグペン(ds)
  ネルソン・リドル(アレンジ&オーケストレーション)と彼のオーケストラ
  録音:1963年、ロス・アンジェルス

  2009年/CD/ジャズ/Verve/Universal/輸入

  <★★★☆>

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今年見つけるまで、このアルバム、知りませんでした。
そもそも、リドル(and his orchestra)を、映画音楽以外では、歌手(シナト
ラとかR・クルーニーとか)との共演バンド(としてしか知りませんでした。バ
ックバンドとして、とてもすごいとは思ってましたけどね。(本当は「ジャズ
ジャイアンツ」並みだそうな)
みれば、ジャズテイストのムード音楽のようなスタイルも、大きなジャンルだ
ったよう。
リドルのオーケストレーションがうまいからこそ、映画音楽だって担当したん
だから、当たり前だった。
それでも、ピーターソンだけでなく、ピアノ・トリオとの共演は想像出来なく
て、だから「ほしいものリスト」に入れていたわけです。恐いもの見たさ。
 
さて、手に入れるいきさつに費やしてしまいました。
外国の評は悪くなかったんですが、日本人のコメントがない。

さもありなん・・・日本人はこういう柔らかいの、概して苦手なんだよ。

真面目にジャズやれよって言ってしまう。

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(曲ごとの短いメモ)
木管三本ほどと弦のピチカートで始まる「マイ・フーリッシュ・ハート」の
美しさには結構つかまれます。
②フルバンドのスローなダンスチューンという感じ。これもセンスがいい。
ダンス中の親しくなりかけている二人の語らいが聞こえてきそう。
③これまた名曲。もっとも、ピーターソンはスピードにも「間」も、持て余し
気味。57年前だとしても、ちょっと古めかしいアレンジ。
④おとなし目の「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」。ピーターソ
ン、数えきれないほどの回数弾いた曲なんだろうなぁ。
⑤これ、地味―。
⑥これもちょっと地味なアレンジだけれど、いい曲です。ここではピーターソ
ンらしい転がしになっているように感じられます。
ガーシュイン/ワイル・・・、お手本のような美麗なオーケストレーション
⑧後半ではこのアルバムの中で、ブラスが最も叫ぶ。
⑨⑩ムードたっぷりの2曲で締めています。どちらもムード音楽ファンにはも
ったいないほどの(スミマセン)情感。最後の名曲「グッドバイ」は名アレ
ンジャー、ゴードン・ジェンキンズの曲だったんだ。知りませんでした。

 

辛口っぽく言えば、上質でゴージャスなフルバンド、フルオーケストラつき
カーメン・キャバレロ。くだらないとは言いませんが、、、ピーターソン
の指が転がっているだけで、気持ちが入っていない。ジャズを聴きたい人に
も、ムード音楽を聴きたい人にも、いわば中途半端かも。
・・・これ、言い過ぎやね。
ま、一抹の心配が当たってしまった感じではありました。
それから、レイ・ブラウンは影が薄いし、エド・シグペンに至っては、いな
いも同然。
でも、普通に言えば、リドルの、今となっては少しだけ古臭い気はしないで
もないけれど、それでも木管などのセンスがある編曲やバランスのいいオー
ケストレーションをメインにムード音楽として楽しもうというかたには、け
っこう濃いかもしれない。
映画音楽でいうと、ジャズ系からの映画音楽担当者はたくさんいるわけです
が、知られたデイヴ・グルーシンジョニー・マンデルニール・ヘフティ
などより、ことオーケストレーションについては、一日の長があるという感
じ。マンシーニにだって迫っているという気がします。作曲でなくアレンジ
能力。(ほめ過ぎかもな) ただただ、ピーターソンのほうに期待される躍
動感がないというか、らしくないというか、まあ、そのへんだけです、不満
は。
 
このジャケット写真からすると、リドルは小柄で、大柄なピーターソンが立
ち上がったら、20センチぐらい身長差があるんじゃない?