20200626(了)
映画『ワイルドライフ』
監督;ポール・ダノ//キャリー・マリガン/ジェイク・ギレンホール/
エド・オクセンボールド/ビル・キャンプ
音楽;デビッド・ラング
2018年製作/105分/PG12/アメリカ/原題:WILDLIFE/DVDレンタル
<★★★★>
〈映画.com 解説から〉 ・・・ダノが・・・パートナーのゾーイ・カザンと共
同で脚本・製作も手がけ、ピュリッツァー賞作家リチャード・フォードの小説
「Wildlife」を原作に、幸せな家庭が崩壊していく様子を14歳の息子の姿を通し
て描き出す。1960年代、モンタナ州の田舎町で暮らす少年ジョーは、仲の良い
両親ジェリーとジャネットのもとで慎ましくも幸せな毎日を送っていた。とこ
ろがある日、ジェリーがゴルフ場の仕事を解雇され、山火事を食い止める危険
な出稼ぎ仕事へと旅立ってしまう。残されたジャネットとジョーもそれぞれ仕
事を見つけるが、生活が安定するはずもなく、優しかったジャネットは不安と
孤独にさいなまれるようになっていく・・・
ゴルフ場の仕事からいきなり山火事の仕事に変わったわけではないし、そこの
ところの妙な決心に至るあたりがとても大事なのね。いわばそれがこの映画の
ストーリーのきっかけ。
勿論それほど簡単な経緯というわけじゃなく、その前にも夫の決心でもって、
奥さん(と息子)が意に沿わない引っ越しを強いられたようであったことがす
ぐにわかる。
だから今回も、と続くんだけれど、今回は奥さんは追い詰められてしまった。
夫婦間や両親と息子の関係性が、ものすごくわかりやすく描かれ、危なっかし
いのに、あまりギスギスした感じに描かれない。
それは、この映画の視点が主に息子のそれから描かれており、しかも彼の視線
や感受性が、繊細ながらチリチリせずとても暖かいから、ということなんだと
思う。綺麗に出来過ぎていると文句を言う必要は、全くない。
それはとりもなおさず、製作のみならず監督と脚本もてがけたダノの感受性の
表われ(それもとても注意深い)でもあるんでしょう。
映画も現実も、なかなかこうはいかない。それもミソの一つ。
いや、この先この家族がどうなって行くかもわからない、とりあえずのエンデ
ィングなんだけれど、息子のまなざしがこの後もひねくれることはなさそうだ
な、という感覚が好ましい。
シンドイ話だけど、これだって、なかなかワイルドだろ?
なーんて言っているようやね(かどうかは知りませんが)。
ダノ“監督”、『スイス・アーミー・マン』のお笑いは大いに楽しんだのですが、
いきなりこんな素敵な作品をものしていたんですね。
音楽は、ピアノでもって、何か鳴ってるという程度の穏やかなBGM系。合って
いました。
それより、びっくりしたのは、エンドタイトルを観ていたら、友人ヨハン・ヨ
ハンソンに捧ぐとあったこと。まず間違いなくあの惜しまれて亡くなってしま
った(とワタシは思います)アイスランドの作曲家だよね。
(Jóhann Jóhannsson、原語の発音:ヨーハン・ヨーハンッソン 1969-2018)