20191114(了)
映画『バハールの涙』
監督:エバ・ユッソン//ゴルシフテ・ファラハニ/エマニュエル・
コベル
2018年製作/111分/G/フランス・ベルギー・ジョージア・スイス合作/
原題:Les filles du soleil/DVDレンタル
音楽:モーガン・キビー
<★★★△>
国というものを持たない最大の民族と言われるクルドの話でした。
はじめに2014年頃と載った気がしました。シリアの北部だかイラン・
イラクの北部だか、はたまたトルコの南部なのか、よくわからなかっ
た。やっぱり、シリアの北部かな。
フランス人の隻眼女性戦場記者マチルドが、バハールというフランス
で勉強し弁護士資格を持つ女戦士が率いるクルドの女性部隊を取材し
ているというシチュエイション。
バハールも部隊もみな、ISに拉致された7000人の捕虜兼性奴隷が、
からがら逃げ延び兵士になった者たちで、主にバハールが、彼女の過
去をマメに回想することと共に描かれる。記者の現実も語りでわかる
んだけれど、現在形は、バハールの息子がまだ生きているかもしれな
い学校(兵士養成施設)に攻め入ろうというある作戦。
現在よりむしろ過去のほうのウェイトが高い感じの描かれ方。でもそ
の過去も現在も共に描かれ方としては掴みにくい舌足らずな感じのも
ので、すくなくとも映画の始めと終わりのマチルドの語りがなければ、
わかりにくいのは同じ。もっとも、マチルド自身のほうの現実もシン
クロさせたそうなニュアンスだったのに、ほんの少しばかり喋られる
のみで、付け足し的になってしまった。
音楽担当者は知りません。重ためのシンセのサウンドが多く、思い起
こしたのは『メッセージ』などを担当してもう既に亡くなってしまっ
ているヨハン・ヨハンソン。
ISをやっつけるためにアメリカにも、シリア政府側にも協力したク
ルドだけれど、ISの弱体化がある程度達成できたら、アメリカがシリ
アから撤退を発表。上ってもらっておいて梯子を外すかのような話で、
世界を唖然とさせた(と言っていいと思う)。ISの問題が終ったわ
けではないものの、現時点ではクルド民族がいちばんの貧乏籤を引い
たみたいな印象。きっとしたたかな民族なんだろうとは思うのですが。