休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『女は二度決断する』

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20190117(了)
映画『女は二度決断する Aus dem Nichts
 製作・監督・脚本;ファティ・アキン//ダイアン・クルーガー/デニス・モシット
 2017年、独映、106分、DVDレンタル
 <★★★>

原題が面白くないので、日本の映画配給会社では相当考えたんでしょうね。
英語のタイトルはポスターによれば「IN THE FADE」のようで、これだってドイ
ツ語のタイトルとどうもニュアンスが違っている。
<映画.com解説から> ・・・名匠ファティ・アキン監督が、ダイアン・クルーガー
主演に迎え、突然の悲劇で家族を奪われた主人公の女性が絶望の中で下す
決断を描いたドラマ。・・・クルーガーが、ドイツ語を使った演技に初挑戦・・・
ドイツ、ハンブルグ。トルコ移民のヌーリと結婚したカティヤは幸せな家庭を築
いていたが、ある日、白昼に起こった爆発事件に巻き込まれ、ヌーリと息子の
ロッコが犠牲になってしまう。 警察は当初、トルコ人同士の抗争を疑っていた
が、やがて人種差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明。愛する家
族を奪われたカティヤは、憎しみと絶望を抱えてさまようが……。
夫と息子を爆破テロでいっぺんに失ってしまった女の復讐譚。実際にあった事
件をもとに書かれたストーリーだそうだ。
呆然自失、裁判とそれによる疲弊、追跡とカタストローフ。 経過も非常にわか
りやすく、観やすかった。
ドイツは多分トルコ人だらけなんでしょうが、ここでは夫がトルコのクルド人
イラン、ジョージアイラク、シリア、トルコ、レバノンなどにわたっている民族で、
3000万人とも言われる人口がありながら、現在はクルディスタンという国は地
図にはない。
微妙だよなぁと思いながら観ていると、この映画ではトルコ人が狙われたのか
クルド人が狙われたのか、などなど判然としないまま物語は進み、彼女自身の
妻と母親としての感受性の枠からはほとんどはみ出してゆかない。
夫の家族と彼女の家族とが一堂に会しての緊張感や、おおむね無表情でほと
んどセリフのない犯人であるテロリスト(たち)の存在が、ドイツの状況を暗示し
てくれる程度。とはいえ不安感は十分煽ってくれている。
‘二度の決断’が気になり始めます。で、おしまいのほうのある時点から、ああ
こういうことなんだなあとやっと分かる。邦題もなかなか。
家族を亡くして何にもなくなっちゃった喪失を指して‘Nichts’と言っているわ
けでしょう。aus で‘そこから’あるいは‘その状態から出ること’という意になっ
ているのがもとのタイトル。英語の「IN THE FADE」よりはむしろいい。
さて、でもわかるのはそういうことだけで、社会的背景はわかるようなわから
ないような・・・、でした。ま、欲張ってはいない、欲張って表現しなくてもどうい
う状態かわかるでしょ、というようなことなんだと思います。
これ書きすぎていますね、きっと。
犯人側弁護人、きれいに剥げた憎たらし気なオッサン、の喋る固いドイツ語が
たいそう美しくかっこよかった。ほれぼれ。これがドイツ語だァ!という感じ。ワ
タシは、恥ずかしながら、シューベルトの歌のドイツ語より、こっちのほうが好き
かも。
音楽のことはどうでもいいようなもんですが、ひとこと言わせていただくなら、英
語(圏)の歌ばっかりだったのがつまらなかったです。