休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『プライベート・ウォー』

20200403(了)
映画『プライベート・ウォー』

  マシュー・ハイネマン監督//ロザムンド・パイク/ジェイミー・ドーナン/
                トム・ホランダー/スタンリー・トゥッチ
  音楽:H・スコット・サリーナス
  2019年製作/110分/英・米合作/原題:A Private War
  <★★★★>

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 好きではない、いやほとんど嫌いなのに、戦場を見に行かないではおれ
ないという、ほぼ中毒と言っていい英国の女性戦場記者の話。
会社では、花形記者の扱いをされていて、憧れられてもいる。
しかし、実際は取材するうちに、泣き喘ぎ、精神が見るも無残にずたず
たになってしまうということを繰り返す。
酒・タバコ・セックスなどで、癒そう、荒れまくった気分の転換を図ろ
う、いましばらくの取材の気力を維持しよう、とすることも、併せてく
り返す・・・スリランカ、アフガン、イラクリビア、そして遂にはシ
リア。異常に危険なところへしか行かない。なぜそんなことをするのか
は、見ているこっちにもほとんどわからない。


時折の独白では、普通の生活や人生を送りたいという欲求は一応あるも
のの、それをどうしたら得られるものか、そもそも普通の生活なんても
のがどんなものなのか、とんとわかっていないというよう。子供を2度
持ち損ねたこととは関係があるのだろうけれど、それは追いかけてはい
ない。でも、「母性」をぶった切ったある女性の衝動のありよう、とい
う見方もないことはない。ひどい現実を、書いた記事でもって変えて行
けるかと自問するも、そうは思っていないと自答する。


戦争の理由や意味を問うことはしないのは、「普通の生活」なるものを
問わないのと同じ。所属の会社の上司としょっちゅうけんかをして、自
分のしたい取材を確保しては、死と隣り合わせの場所へ行き、ひたすら
ひどい目に遭っている人びと、特に民間人のことを見続け書き続け、送

り続ける。

最後のシリアでの民間人の被害がつらい。(コロナで遠のいた気がする
が、現実にせんだってもそんなことがあったなぁ) アサド政権側の民
間人を含めた無差別な攻撃を、現地中継までやってのける。
その衛星回線はアサド政権側に捕捉されてしまう・・・

 

銃や爆弾の音は実に恐い。慣れそうに思うときもあるものの、やっぱり
怖いですね、ワタシは。
ここまでくればもうドキュメンタリーに近づいてしまう気がします。
この記者にはモデルがいたことが最後にわかります。
製作陣にシャーリズ・セロンウィリアム・サドラーなどという知った
俳優の名前がありました。

 

原題の意味こそキモということなんでしょう。
わかるようで結局よくわからない。PTSDとか解説では書いてあるんだ
が、つまるところ‘荒んだもの’への「中毒」に近いんだと描いているよ
うに思う。でも、その上で書くのもヘンかもしれないですが、ただ今
現在のワタシはとてもぐさりと来る感触を持ってしまいました。

実存!

懐かしや学生時代・・・
反動が来るかも。