休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

The Sisters Brothers

20200303(了)
映画『ゴールデン・リバー』

 ジャック・オーディアール監督//ジョン・C・ライリー/ホアキン・フェニッ
 クス/ジェイク・ギレンホール/リズ・アーメッド/・・・/ルトガー・ハウアー
 音楽;アレクサンドル・デスプラ
 2018年製作/120分/アメリカ・フランス・ルーマニア・スペイン合作
 原題:The Sisters Brothers
 <★★★☆>

f:id:kikuy1113:20200315011155j:plain

<映画.com解説から> ・・・ゴールドラッシュに沸く1851年、最強と呼ばれ
る殺し屋兄弟の兄イーライと弟チャーリーは、政府からの内密の依頼を受け
て、黄金を探す化学式を発見したという化学者を追うことになる。政府との
連絡係を務める男とともに化学者を追う兄弟だったが、ともに黄金に魅せら
れた男たちは、成り行きから手を組むことに。しかし、本来は組むはずのな
かった4人が行動をともにしたことから、それぞれの思惑が交錯し、疑惑や
友情などさまざまな感情が入り乱れていく。

 

シスターズというヘンテコな苗字の兄弟。
なんで殺し屋なんかやってるんだってことは、あとのほうにならないとわか
らないんだけれど、とにかく殺伐とした仕事なのに、兄弟の会話がいたって
まともで、鬱屈があってひどいぶつかり合いもするんだが、実は互いを思い
やっている。ここまで生き延びているのは、おそらく、ここまで喋り合って
いる ― 会話が成立している ― ことによると思わせる。

 

兄弟は、提督という雇い主の依頼に背く形で、「先行する夢想家」二人と行
動を共にすることで、まあ普通なら破滅に向かってまっしぐら、というとこ
ろなんだろうが、あまり殺伐としない、雰囲気が下がり切ってしまわないの
がけっこう変わっている。
実にあっさり殺すし、とどめなんかドライにやる。(そうそう、銃の音はア
メリカものと違っていました)
金についちゃあ錬金術まがいの対象であることとか、理想主義的な考え方が
出てくるとかも、やはりこの変わった雰囲気に寄与していた感じ。
最後は、この兄弟が、わけあって長い旅をしていたんだよという締め方にな
っている。ムシが良いものの、収まりもいい終わり方だと思いました。

 

出演作が目立つホアキン・フェニックスも素敵ですが、なんたって製作にも
加わったライリーさんが(ハチャメチャじゃないけれど)魅力的。
それから去年なくなったルトガー・ハウアーがセリフ一切なしの提督役。な
んと最後に出てきたと思ったら、死体。遺作だったりして・・・

 

さてこの変わった雰囲気の西部劇、音楽もしっかり貢献してまして、あとで
名を見てなるほどなぁ、でした。アレクサンドル・デスプラ。何でもやれち
ゃう、本当に器用な方。「ハリー・ポッター」までやっちゃってる。
ここではおよそ西部劇とは思えない奇妙に外したような音楽で、リズムもち
ゃんと刻むんだけれど、ギャングものぽくハードだったり、ジャズっぽかっ
たり、厚い弦でこってりさせてみたり、ツィンバロムを使ったり、、、でも
結局どこか仄暗さとヨーロッパ風味(もとはヨーロッパなんだからいいじゃ
ないか!とばかりに)がベースにあった気がするな。
賞を獲った「シェイプ・オブ・ウォーター」は、映画のせいか音楽はあまり
印象に残らなかったんですが、例えば、「アルゴ」とか「預言者」とかいっ
エスニック風味が利いたのが印象に強く残ってますね。(実際はそれらを
ちゃんと聴きなおしたわけではありませんが)