休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

カラヴァッジョ展

珍しく絵画展です。昨日、いやもう一昨日ですね。

 

2/15(土)
カラヴァッジョ展、16日までというので、行ってきました。
あべのハルカス美術館

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岡崎市美術博物館で初めて観たのが18年前。正業を辞めた翌年だった。
その後は本物を一度も観てないけどね。絵画の追いかけはやらないが、
でもまあ、絵画で最近忘れられなくなった最たるものは、このカラヴァ
ッジョとフェルメール、あとはバルビゾン派のもの。カラヴァッジョは
この後も何回かは日本でも展示されたことぐらいあるだろうが、近い会
場ではなかったに違いなく、知らない。今回だって、ごく近くだから観
に行く気になった・・・


さて、岡崎で観ることができた本人の絵は7作。しかし実際に観られた
のは6作のようで、1作は来なかったらしい。タイトルは不明だけれど、
通し番号がひとつ飛んでいる。今の今まで気づかず。そのほかは「バロ
ック絵画の先駆者たち」という括りの31作。スパダリーノという画家の
作品が「その他」の中では気に入ったと書いている。買った解説付き写
真集(翻訳もの)にその時の資料が挟んであったのでわかった。


今回は本人のは10作載っていて、実際は2作を観られず。チケットを買
うために並んでいたところ、係員が一人一人に「この2作が事情でお見
せすることができません」と告げまわっていた。50日ほどの展示期間中、
毎日、客全員にこれをやっていたと思しい。このお詫びでもって観るの
を止めた人はほとんどいなかったろうが、、、いや、なんとも言えんか。

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岡崎で観た作品と今回観た作品中、重複したのは二つ・・・
 執筆する聖ヒエロニムス
 法悦のマグダラのマリア
この2作が実際、一番素晴らしかったな。重複してもこれらは外せなかっ
たのかもしれないね。特に「法悦のマグダラのマリア」。新約聖書の中
でも特異な人物だからということが大きいのだけれど、目の表情の異様
な忘我感はなんともいわくいいがたい。

ほとんど描かなかった静物画が1点あって、写真では知っていたものだけ
れど、これもよかった。日本初公開の4作を含むあと6作の中では、「歯
を抜く人」が面白かった。すごいと思える作品はいずれも度肝を抜くほ
どにドラマチックなんだが、これなんかは珍しくコミカルな味がある。
(集団の場合往々見られる画家自身を思わせる顔はない。)
今回観られなかった2作のウチの一つは岡崎で観ているが、もうひとつは
知らない。やはり気になった。


今回の本人以外の画家たちの作品は33作。「1600年前後のローマにおけ
るカラヴァッジョと同時代の画家たち」というふうに括られていた。
大半が、天才にしてならず者で、最後は怪しい死に方をしたカラヴァッ
ジョに影響を受けたり彼を崇拝したりした画家たち(それをカラヴァッ
ジェスキというそうな)の作品で、経歴以外に、カラヴァッジョとどう
絡んだかを軽い告白めいた言葉にして添えてあったのが楽しい読み物に
なっていた。絵のほうは似て非なるもので、あくまでカラヴァッジェス
キだった。

ところで、去年の11月の新聞記事で、代表作の一つと目される「キリス
トの埋葬」が今秋、30年ぶりに日本に来るとあった。ミケランジェロ
彫刻からテーマをいただいたような作で傑作。これを後年、ルーベンス
が模写した。カラヴァッジョのほうが断然素晴らしい。残念ながら会場
は東京。たった1作しか来ないのならどうでもいいが、そうでないなら
大阪でもやらんかのぉ。
(本物をどっと観るには金も時間もある人に限られるってのが、こんな
時だけは癪に障る。すぐに忘れるけどね。)

 

まとめとしては、18年前も今回も、カラヴァッジョ(1571-1610)の
全貌を見渡せるほどの展示作品数とは言えない。きっと相当散らばって
いるんだ。いつか網羅した展覧会があるといいね。それも、近所で。ま、
望み薄。
39歳で亡くなったのは確実なようだけれど、ほんとに病死なのかいまい
ちはっきりしない。でも確かにいたイタリア・バロックの画家が、死後

400年もたって、日本でも今や人気の画家のようなのが、なんか嬉しい。