METライブビューイング2019-20 ■第3作
プッチーニ《蝶々夫人》
ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 上演日:2019年11月9日
映画/なんばシネマパークス/鑑賞:2020年2月11日
18時30分から22時過ぎまで。
間の解説やインタヴュー役は、去年ブリュンヒルデを演ったクリスティ
ーン・ガーキーさん。「ワルキューレ」ではそう感じなかったのに、イ
ンタヴュアーとしてはなんとも大柄なかたでした。
今シーズンは、なんとなくプッチーニ(「トゥーランドット」)を観て
しまい、更になんとなくあと3枚チケットを手に入れてしまいました。
で、2枚分は、5作目のベルク(「ヴォツェック」)と8作目のワーグナー
(「さまよえるオランダ人」)を先に決めてしまい、あと一つ。
2作目のマスネ(「マノン」)は興味があったのですが、去年の12月は
時間が取れずじまい。現代ものは観たいが第4作のグラスじゃイヤ。ガ
ーシュインは黒人のミュージカルでもともとあまり好きじゃないので、
パス。へンデルは相当斬新な演出だろうがこの時代の音楽に興味なし。
残るは3作目「蝶々夫人」と9作目「トスカ」のプッチーニ、10作目のド
ニゼッティ(「マリア・ストゥアルダ」)の中から一作ということで、
これまでちゃんと観てこなかった「蝶々夫人」を選択。
演出はアンソニー・ミンゲラ版。もう亡くなっているが・・・そうです
よね、このかた、映画『イングリッシュ・ペイシェント』や『コールド
・マウンテン』の監督。脚本家でもある。そういやパトリス・シェロー
もゼフィレッリなんかもオペラの演出をしばしばやっていて、なんでそ
んなにオペラの演出をやりたいんだろうとよく不思議に思ったものです。
(好きだからという理由以外にはいまだに思いつきません)
もう二つ外堀・・・、長崎の領事シャープレス役はもともとプラシド・
ドミンゴが演る予定だったが、ジェイムズ・レヴァイン同様、セクハラ
疑惑ででしょうか、早々に降板が決められたよう。超がつくビッグ・ネ
ームだから、いろいろ取りざたされたことだろうし、チケットの売り上
げにも影響があったかもね。
もう一つはピンカートン役のアンドレア・カレも直前に降板がきまり、
控えのブルース・スレッジが代役を務めた。
これらの理由もワタシはどちらも知らない。そういう大きな二つの降板
が重なるなんてことがあるんや。
オリンピックの控え選手のように「控え」って、ちゃんと用意してるも
んなんやね。思い返せば指揮者ではよく聞いたものですが、なるほど、
歌手でもあって不思議はない。恥ずかしながら知りませんでした。
さてやっと中身・・・
蝶々さん役ホイ・ヘーさん。高音の声量や強さがいい。弱音になるとち
ょっと表現が薄味になるようでした。大拍手を受けてましたが、お芝居
もいまいち。それでも第3幕は盛り上がりました。中国系の方。大写し
になるもんですから、ついもう少し可憐な感じのかたのほうがいいなと
・・・(スミマセン、ゴメンナサイ)
ピンカートンのスレッジさん、立派な体躯でお芝居のほうはこれという
ものはなかったものの、いい声でした。
シャープレスのジョットさん、ドミンゴでなくてもよかったんじゃない
でしょうか。素敵だと思ったら、拍手も大きかった。
スズキ役の小柄なドゥショングさん、彼女は抜群に安定した歌唱の上に、
お芝居も頭抜けてよかった。ワタシは彼女が最もよかったな。
凝った照明と、障子の多用がなかなか面白かった。まあ象徴的と言って
いいのでしょうが、実は便利てさを優先したんじゃないかしらん。
また、子供を文楽ふうに扱ったのはすごいアイデア。操作担当の3人が
あとでインタヴューを受けてました。あそこまでよくできたもんです。
ただし、3歳にしてはちょっと大きすぎだったかもしれない。
あんまりぴんと来なかったのは衣装。この出し物、この演出の時は昔っ
からヘンテコリンだなぁと、特に日本人は感じたことでしょう。
そんなところです。さすがオケは上手く、指揮者も巧者だったと思いま
す。
ドニゼッティを選ぶべきだったかどうか・・・
決めるには、ワタシなりにいろいろありまして、わからないです。
※
この日の新聞に、ミレッラ・フレーニが2/9に死去したことが載っていた
んでした。ワタシでも知っている名歌手。声は好きなタイプでした。ニコ
ライ・ギャウロフの奥さんだったことは朝日の記事には書いてありません
でしたが・・・あのパヴァロッティ(1935~2007)と同い年で幼なじみだ
ったんですか。それは知りませんでした。
わずかに知っている中では、ワタシはやっぱり「ミミ」かなぁ。