20200114(了)
映画『スノウ・ロワイヤル』
ハンス・ペテル・モランド監督//リーアム・ニーソン/
音楽:ジョージ・フェントン
2019年製作/119分/英・ノルウェー・米・カナダ・フランス/原題:Cold Pursuit
<★★★☆>
〈映画.com解説〉 息子を殺され復讐を誓う父親が犯罪組織の抗争に巻き
込まれていく姿を描いたノルウェー製クライムドラマ「ファイティング・
ダディ怒りの除雪車」を、リーアム・ニーソン主演でリメイク。オリジナ
ル作品を手がけたハンス・ペテル・モランド監督が、再びメガホンをとっ
た。雪深い静かな田舎町キーホー。この町で除雪作業員をしているネル
ズ・コックスマンは模範市民賞を受賞するほど真面目に穏やかな日々を
送っていた。しかし、ネルズの1人息子が麻薬の過剰摂取に偽装され、殺
されてしまったことから事態は一変する。地元の麻薬王バイキングの組
織に息子が殺されたことに気づいたネルズは、素手や銃、さらには除雪
車で、組織の人間を1人また1人と殺していく。しかし、ネルズの復讐劇
を敵対する麻薬組織によるものと勘違いしたバイキングは敵対組織を襲
撃。相手もその報復に乗り出し、ネルズの復讐劇は2つのマフィア、さら
に警察をも巻き込んだ戦いへと突入する。
強いお父さんのイメージのニーソンを持ちこんで観始めたので、除雪作
業を生業としていても、最後にはスーパーマン的な活躍をするんだろう
と思ったら、これが大違い。不謹慎な言い方ですが、主役の息子が不当
に殺されても、更にガンガン人が死に始めても、これは「お笑い」です、
いささかブラックですけどね。邦題は合ってないと思います。
クソ真面目な除雪員はもうそれなりの年齢で、利発というわけでもない
ので、復讐も楽じゃない。「処理」はちゃんとやるものの、青息吐息、
どこまで殺し続けるんだろうと思っていたら、解説通り事態は勝手に転
がり始める。はじめは「えー、殺しちゃったよ、どうすんだよぉ」てな
感じだったのが、話が転がるにつれ笑いたくなってきた。 敵対する麻薬
組織、と表現されているのはネイティヴ・アメリカンのある種族。この
組織の扱いには気を使っている。さすが、アメリカでの設定。オリジナ
ルじゃあ、サーミでも出てきたんだろうか。
デンヴァーにほど近い山の中の雪深い田舎町と大都会デンヴァ―をいち
いち行ったり来たりを毎回ちゃんと映す、人が死んだらその名を一瞬ち
ゃんと流したりするのもそう、こういうのが区切りになっていて、意外
に面白い感覚でした。もっとも除雪車に絡んだエピソードが少なく、せ
っかくだからもっと見たかったな。
ワタシは雪山は特に好きなほうじゃないですが、暗めの雪山はなかなか
見ごたえがありました。
オリジナルの監督さんがリメイクで再び担当しているというのは珍しい
んじゃないですか? 2014年に製作されたオリジナルとはどれだけ違う
んでしょう。うまくいったんでしょうか、そうでもなかったんでしょう
か。邦題はよくないですね。まだ原題のほうがいい。
音楽は、「クリフハンガー」(音楽;トレヴァー・ジョーンズ)のよう
な高山アクションって感じじゃない、真面目なんだかとぼけてんだかよ
くわからない、どこか軽薄さもあって捉えどころのないもの。編成は大
小様々で、シンセもふんだんに加わる。はじめは「ケッタイナ!」とず
っと思ってました。まあ、結果的にはズバリだったわけです。
監督のイメージに添うべく精一杯がんばったんでしょうが、案外楽しん
でもいたのではないか。観終わってからスタッフを確認してビックリ。
ジョージ・フェントン!(『アンナと王様』なんか大好きですね) あの
生真面目で地味な英国の大御所がこの感じですか・・・