20191025(了)
映画『15時17分、パリ行き』
クリント・イーストウッド監督作品
2018年/米/94分/DVDレンタル
原題:The 15:17 to Paris
<★★★△>
<映画.com解説から>・・・クリント・イーストウッドが、2015年にヨーロッパ
で起こった無差別テロ「タリス銃乱射事件」で現場に居合わせ、犯人を取り押さ
えた3人の若者を主役に、事件に至るまでの彼らの半生を、プロの俳優ではなく、
本人たちを主演に起用して描いたドラマ。2015年8月21日、オランダのアムステ
ルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラ
ム過激派の男が無差別殺傷を試みる。しかし、その列車にたまたま乗り合わせて
いた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そ
して2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、そ未曾有の
惨事を防ぐことに成功する。映画は、幼なじみで親友同士のスペンサー、アレク、
アンソニーの3人が出会った少年時代や、事件に遭遇することになるヨーロッパ
旅行の過程を描きながら、ごく普通の若者たちが、いかにしてテロリストに立ち
向かうことができたのかを明らかにする。
もろに実録ものの再現映画、しかもメインの出演者は実際の体験者たちという、
よく言えばとてもチャレンジングな作品。
出演者の決め方については、そのいきさつのあらましが映画のあとに、特典映
像として付録されているのでわかる。
わかると言えば、もし彼ら3人がいなければ、おそらくとんでもなく死者が出た
だろうということ。車内にテロリストはひとりだけだったようで、よかった。
複数人いたらえらいことやったろうね。ともあれ、防げたものの大きさからし
て表彰はまあ当然でしょう。
少々弾かれ気味ながら、いたって普通な(≒ノーマルな)3人の仲良しの活躍で
す。内二人が長じて軍人になったのが普通というのなら。
彼らの少年時代にさかのぼって描き始められる。そんな再現ドラマを映画にす
る意味あるの?と言われたでしょうね。評価はあまり高くなかったのではない
か(これを無意味だという人は絶対にいる!)と想像するけれど、ワタシには
映画として十分面白かったです。全体に独特のさらっとした感じに仕上がって
いるのは、イーストウッド監督ならでは。
それに、主役3人たちがとても自然な感じで、演技が素人とはとても思えなか
った。
彼らの小学生時代を演じたのは無論本人たちではなく、これもきっと素人だっ
たはずだけれど、彼らもまた感じがよかった。だからこそというべきか、学校
や教師の側を感じ悪く描いた面があるかもしれない。もっとも親の苦労はとも
かく、学校側が彼ら3人を完全に叩きのめしたりはじき出したりしてしまった
わけでもないようなので、彼らの人格形成によろしくない影響を残すには至ら
なかったということみたい。
音楽担当のクリスチャン・ジェイコブという人は知らない作曲家。ジャズのコ
ンボ、プラス弦のオブリガートによるもので、楚々としたピアノソロ、おとな
しいコンボジャズ、それにストリングス付きのジャズ系ムード音楽。高らかに
鳴る音楽は一切なし。いかにもイーストウッドさんらしい音楽の趣味であり、
音楽に大役を割り振らない扱い。
そうそう、マクロン現大統領の前のオランド元大統領が大統領役として出演さ
れていました。あのかた、本物でしょ?