休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

「物書同心居眠り紋蔵」第15巻(最終巻)

20240219(了)

敵討ちか主殺しか/物書同心居眠り紋蔵

佐藤雅美(1941/1~2019/7)

1. 目隠し板貼り付け要求裏の絡繰
2. 敵討ちか主殺しか
3. 火盗改 死罪伺いの顚末
4. 底抜けの出来損ない
5. 品川・骨董屋の正体と枝珊瑚
6. 殺人鬼の復讐
7. 鳶に油揚げ
8 ちかの思いとそでの余所行き
 
  2021年4月/時代小説/講談社文庫/(単行本 2017年6月)/中古
  <★★★△>

シリーズ第15巻。これでこのシリーズもおしまい。
随分長いことかけて、こっちも付き合いました。
 
(裏表紙解説)
江戸市中あちこちで起きる厄介事は、なぜかこの男の許に持ち込まれる。
南町奉行所の窓ぎわ同心の藤木紋蔵。今日もまた難事件に奔走する。
紋蔵の養子の文吉は、御家人になり、ある縁から大名家に日参、そこで六百
五十石取りの娘に見初められる。しかし婿入り前に、京都で修行しているは
ずの文吉に江戸で出会した紋蔵は、大名家への対応に頭を悩ます。
一方、紋蔵に邪魔されたと逆恨みする火盗改役が、紋蔵の鼻を明かそうと思
案に暮れていた。
 
(他の意見)
a)他には「小説現代2017年4月号」に掲載された1編を残すのみ。本シリー
ズは江戸で起きる世間のゴタゴタと解決を、ユーモアと人情と救いのあるフ
ァンタジー的な内容で描いた傑作
b)江戸時代の法律と判例を、この作家ほど徹底的に研究して捕物帳を書く人
はもう現れないかも
 
なるほどね。
ワタシは今回の最終作は、連作としての繋がり具合はやや弱い感じで、一篇
一篇に違った魅力があるように思います。これで終わるおつもりはなかった
んでしょうね。新しい魅力のあるキャラクターが何人か出てきたりしますし。
 
(4)「底抜けの出来損ない」を少し詳しく紹介します。
 
ちょうど真ん中頃に置いてある一遍。
人畜無害で身持ちの悪そうなやさ男清次郎に、つい体を許してしまった働き
者の「なか」。こうなった以上夫婦になるしかなかろうということになる。
しかし、この清次郎という男、なんにもできないやくざ者で頭はいいし人も
悪くないのだが、人別がない。これは大問題。当然秘密めいたやつで、どう

やらわけあって「正式に」勘当されているらしい。才はあり自堕落に遊び回

れているも、住む家もない。

清次郎はなかの住まいに転がり込むと、そこは母子家庭。奇妙な3人の生活
が始まる。子どもは10歳の正太というが、これがなかなかの「利かん気」で、
清次郎のことが気に入らず、二人は狭い住まいのこととて、ひたすらぶつか
り合う。このやり取りがいちいち長く、当シリーズではめずらしいほどムー
ドやテンポがよくて、この作者にしてはめずらしいほどに楽しい。ま、清次

郎の受け流し方が上手いとも言えるんだが、徐々に正太もこのやり取りを嫌

がっているばかりではない感じも出てくる。

最終的には清次郎の正体や勘当の理由などがわかる。そしてこのユニットの
行く先には一転かなり明るいものが待っているのだが、実は清次郎の出自で
ある「家」が、この作品全体の流れになんとなく絡んでいるという感じ。
この一篇では紋蔵はこのユニットのために知恵は出しますが、目立った働き
はしません。
 
(6)も面白かったですね。誰が殺人鬼なのか、なぜそんな大勢の殺戮がな
されたのかは、読んでいる人はみなわかっているのだけれど、紋蔵たちには
あまりわかっていない、といった終わり方。このシリーズでもままあったエ
ンディング。こっちにはまったく不満はない。
 
(8)はややこしいが人情もの。元夫婦が奇妙ないきさつからよりを戻す。
ちょっと想像のつかなかった(ほんとうです!)さりげないエンディングに
ほっこり。
 
連作という感じじゃありませんでしたね。

紋蔵の出番も少な目だったし、今さらかもしれないけれど、持病のナルコレ

プシーなど全く出なかったし。

次があるべきなんだけど・・・ 

これでおしまい。

Ballads/ 中西俊博

20240131(了)

Ballads

 中西俊博 meets 林正樹

  

  中西 俊博(ヴァイオリン) 林 正樹(ピアノ)

  2005年/CD/ムード音楽/㈱キャスネット/邦盤/中古
  <★★★☆>

これまで聴いたCDとは違うレーベルみたい。
人気が翳って、少々ブランクもあって、あらためて活動を開始したのがこの
レーベルなんじゃないかしらん。想像ですが。
曲名は、ジャケットに任せます。超の付く名曲ぞろい。
実は中に一曲、ワタシがあまり好きでない曲も入っていたのですが、今回は
いけましたね。よかった。
①⑥⑬が古いミュージカルの曲。②③⑤⑦⑧⑩⑫が映画音楽系。④⑨⑪がそ
の他(≒ポップス系)。

編成は基本、ヴァイオリンとピアノのみ。ホントはね、ワタシにとってはこ

の編成こそが問題なんですけどね。

 
録音は当然ながら魅力的なサウンドを得るために工夫しているようです。
もっとも、ヴァイオリンの音像がちょっとでかいかなぁ、という気も。
それから、トラックによって、ひょっとすると、ヴァイオリンの中にマイク
を入れ込んだんじゃないかというぐらいやや臭い音のものもあった。
再生は、あまりリアルに聞こえてしまうものより、ラジカセのようなものの
ほうが聴きやすいかもしれない。あるいは、音をやや小さめにするとか。
演奏としては、とてもやさしいものだったと思います。ただし、ポルタメン
トを多用していまして、人によっては気になるかもしれないなぁ、とも。

               

            ポルタメントの表示)
 
曲ごとの話はパスします。
林正樹というピアニストのことは、中西のアルバムに入っていること以外は
知りませんでしたが、おそらく有名な人のようだし、相当な手練れ。
昨日1/21だったか、始まってすぐの大河ドラマ『光る君』。そのあとの、関
連の歴史解説ふうな番組をぼーっと見ていたら、林の名がテロップに出てい
ました。これだけじゃ別に何かわかるってわけじゃない。品のいいBGMって
だけでしたけど。
ドラマ本編の音楽のほうは、クラシックの素養のみならず他ジャンルの引き
出しもたくさんあると感じさせるもの。冬野ユミさんとおっしゃるかた。序
曲にも様々なタイプの音楽が盛り込まれてました。初めや最後のほうは、も
ろにラフマニノフやアディンセル(このかたはイギリス人だけど)を一緒に
したようなピアノ協奏曲風で、はじめ聞いた時はつい笑ってしまいました。
ワタシのイメージとしては、例えば1930年代から50年代にかけてのアメリ
映画の音楽で、ロシア系とかドイツ系の出身の作曲家によるものと思わせる
フレーズや音色を意図的に参考にされていらっしゃるみたいでした。
序曲のオケはいつも通りN響。指揮は確か広上淳一。ピアノは今や日本で一
番有名なピアニストと言っていいでしょう、反田恭平さんの名が載っていま
した。

 

ヴァイオリンは若々しいものの、写真によれば、18-9年前ながら、だいぶん
オッサン(年配)になられているように見えました。

「~させていただきます」と「~になります」のこと

もう半年以上も前の新聞の編集委員の一人の書くコラム。

「・・・させていただきます」

これ以上ないという究極の丁寧語のイメージなんで、言っときゃ間違いなか
ろう、と安心してどーんどん使っちゃう感じなんだ。 
それも、誰に対してか判然としないことも多いのに(って、丁寧語なんだか

ら、それでいいっちゃいいんだけれど)、そんなことはほとんど意識しない

まんま。

これより少しレベルを戻して使うというのも、難しそう、めんどくさそう、

だし・・・

このコラムじゃあ、その慮り具合を「よしよし、しょうがないわよねぇ」な
んて感じで優しく述べておられるようだが、こりゃ反語的なのかな。
ワタシにゃあもはや、使いすぎどころでない気がする。
これに違和感を覚えなくなったら、オワリ。

つまり、これが「普通」になる。(もう、なってるかぁ)

 「さしてもらう」という関西弁が語源かも?

  ほな、そないさしてもらいまっさ ていうような?

  ウーン、確かにゆうてましたねぇ(って、ここは関西弁のアクセントで

  読んでもらわんと、かんじでえへんよ)。

このコラムはヒリヒリものだったり、結構激烈な場合が多いのに、心情を踏
まえて、珍しく穏やかに書かれ、締められたコラムでした。
 

 

これもなんだけど、ワタシが今もっとも気になっているのが(もう何度か書

いた気がしますが)・・・

「~になります」

「~です」で、どうしてダメなの?

この連発がスゴイ。猛威を振るっている。いやもう今や猛威なんてもんじゃ
ない。このごろじゃあNHKでも連発する方が出てきた。(あれまあ・・・)

丁寧語のつもりなんやろなぁ。

文法上は間違いじゃないんだろうが、気色悪いこと甚だしい。

 

映画『メグレと若い女の死』

20240213(了)

映画『メグレと若い女の死』

 監督;パトリス・ルコントジェラール・ドパルデュー
 原作;ジョルジュ・シムノン
 2022年製作/89分/G/フランス/原題:Maigret/DVDレンタル
 <★★★>

もう70年ほども前のパリ。
20才ぐらいの若い女が、分不相応な高価でゴージャスな絹のドレスに身を
包み、ある婚約パーティに現れた後、5,6カ所の刺し傷を負って血だら
けで死んでいるのが見つかる。
これを担当することになるのがメグレ警視
 
レンタル屋に頼んで取り寄せて観ました。たぶん新聞の紹介記事でタイト
ルをメモっておいたもの。観るまで、ドパルデューのことも、ルコント監
督のこと忘れていました。
しかも、シムノンメグレ警視(ずっと「警部」と思い込んでいました)

ものは、そこそこミステリーを読んできたくせに、実に一冊も読んだこと

がない!

だものだから、メグレのイメージが自分の中にはまったくなくて、ドパル
デューの前後にも左右にも、あんなにぶ厚い体躯を見て、ホンマカイナ?
『ザ・ホエール』を観て間もないので、これもメイキャップなんだろうか、
それともドパルデューがほんとにこんな体形なんだろうかと、考えちゃっ
た。ネットで見ると、顔は映画と感じが似てましたけど、体つきは結局わ
からなかった。多分胴は膨らませているってことにしておこう。
 
警察官としてはかなり歳をくっているらしいメグレが、捜査に妙に前のめ
りに熱を上げるものの、体のほうはノロノロ、えっちらおっちら。
頭はいいらしいが、こんなんで大丈夫なんだろうかと思いつつ、謎が解け
て行くのを見守りました。NHKの「ブラタモリ」みたいに、なにかひらめ
いたら、おでこのちょい上にイクスクラメーション・マークがポン!とば
かりに見えたら面白いかも、なんてつい連想しました。解説はあとでいい

から、ひらめいたってことだけ、教えてくれよ・・・ じゃあ、映画にな

りませんがね。

多分映画作家さんについちゃあ、失礼な物言いをやってるかもしれないな。

作曲家なんかには相当拘ってしまいますけどね。ワタシは映画については

きっと相当エエカゲンなんだと思う。

 
戻りまして、こんな調子でして、ワタシは乗れませんでした。相当前には
ルコント監督の作品をおもしろがったことはあります。『仕立屋の恋』も
シムノンの原作だったんですってねぇ、もう忘れてました。

 

  (「ブラタモリ」は終わっちゃうのですな。よくは読んでませんが、ネッ
  トのニュースで見ました。ろくでもないものから、都道府県の宣伝のため
  の観光地巡りに堕したとか、NHKの闇っぽいものまでいろいろ。その幅の
  広さに途方に暮れる。「堕した」なんて。名所めぐりでいいじゃないの?
  タモリの地学の知識(の披露)なんてついでみたいなもんだろうし、地学
  は楽しいじゃないか・・・ のんびりした悪くない番組だと思うけどなぁ)

いずみシンフォニエッタ大阪 第51回定期演奏会

 贅沢な時間ではあったのですが・・・

20240210(ライブ)

いずみシンフォニエッタ大阪

第51回定期演奏会

(1)ブリテン:シンプル・シンフォニー Op.4

(2)冷水 乃栄流

   :室内オーケストラのための「ハルシネーション」

 INTERMISSION

(3)一柳 慧:室内交響曲「タイム・カレント」

(4)藤倉 大:三味線協奏曲(室内オーケストラヴァージョン)

 

   飯森範親(指揮)/いずみシンフォニエッタ大阪
   本條秀慈郎(三味線)
   (於;住友生命いずみホール

 
 
プレコンサートが始めにあり、金管3本(トランペット/トロンボーン/ホルン)とピアノの
四重奏。曲はわかりませんでした。ロマン派の音楽。素敵な音色でした。ト
ランペットはN響の、ホルンは都響のトップかセカンドの方だとか。
そのあと始まったプレトークは、当然、去年秋急逝された西村朗さんを悼み、
そして西村が17歳(?)の時に作ったと言われる曲が拍手なし、指揮者な

しで演奏されました。それからやっと本チャン。ブリテン以外は知らない曲

です。

 
(1)のブリテンは実は元々あまり好きな作曲家ではないせいか、この初期
の有名作も特にこれといって書いておきたい感想なし。
 
少しは面白かったのが(2)。「ハルシネーション」というのは、生成AIが
まことしやかに嘘(真実を言っているつもりも嘘を言っているつもりもな
いんだろうが)を言うこと、みたいな語でしょ? そんなイメージは(って、
どんなイメージ?)持てなかったものの、若々しいサウンドの洪水で、室
内オケでも結構わくわくしました。
作曲者名は「ヒヤミズ ノエル」と読み、本名なんだそうな。期待の若手作
曲家。席が近く、そばで見ました。まさに20代でしたね。
 (関西出身若手作曲家委嘱プロジェクト第9弾/委嘱新作)
 
(3)の一柳の曲は、アンサンブル・アンテルコンタンポランからの委嘱作
という華々しい由来の曲なのに、まったく響かずじまい。元々は一柳の追

悼演目として企画されたそうだけれど、西村の急逝があって、その意味が

霞んでしまった。

 
そして最後の(4)、期待の藤倉大。藤倉はせっかくだから生で聴きたかっ
た。でも残念ながら、これもワタシにはまったく響いてくれずじまいでした。
音楽会のタイトルの「和洋感応」云々の意味はわかる気がしても、西洋音楽
らしい室内オケのサウンドと、いかにも音域が狭く乾いて響きの薄い三味線
の組み合わせは、指揮者が推すだけでなく、実際に面白いと思える人もいた
のだろうが、ワタシには面白さはまるっきりなくて、ほぼほぼ陳腐に聞こえ
るばかり。せっかくの熱演でしたけどね、、、 たとえば武満の「ノヴェン
バー・ステップス」を聴くようにはいかなかった。本人の考え方などが小冊
子に載せてあったので読んだのですが、それでも全然ピンとこなかった。

日本だけでなく世界でもありがたがられている非常にめぐまれた方らしいし

ね、残念。

藤倉の邦楽器や古楽器の扱いに関して、去年の新聞記事にこんなふうに書か
れている。曰く・・・
  楽器の持つ歴史やコンテクストから解放された、全く自由な音楽が生ま
  れる。それこそ無頓着なくらいに・・・
突き抜ける自由さ、なんて見出しがついている。でも、三味線はつらかった。
まぁ、口に合わない少数派もいるんですよってことで、正直に素人の感想を
書きつけておくことにしました。もっとも、機会があったらこの作曲家、ま
た聴いてみますよ。

 

半年ぶりのライブですから期待はしたのですが、こんな感じで、ワタシには

今一つでした。こんな時もあります・・・

   (ワタシが撮ったんじゃありません、ホールの宣伝写真です)

 

現代音楽の作曲家はけっこうたくさん輩出されているはずだけれど、聞くと
ころによれば、初演される作品なんて微々たるものだし、再演される曲とな
ると、もうめちゃめちゃ少ないそうな。そういう世界だから、作曲家なんて
いくつもの草鞋を履かないと大抵やっていけないんだろうということはわか
る。勝手なこと、偉そうなことを言うのは申し訳ない気もしないではないで

すけどね、現世の作曲家さんたち、めげないで作曲「も」頑張ってください

な。

 
次回は7月で、テーマはスペイン。スペイン近代の有名作曲家名(アルベニス、
グラナドス、ファリャ、ロドリーゴ)が並んだ最後に、カサブランカスという「現代作
曲家」(CDを一枚聴いたことあります)が載っています。

映画『天間荘の三姉妹』

20240208(了)

映画『天間荘の三姉妹』

 監督;北村龍平/原作;高橋ツトム
 のん/大島優子門脇麦寺島しのぶ柴咲コウ三田佳子
 永瀬正敏高良健吾
 2022年製作/150分/G/邦画/DVDレンタル
 <★★★☆>

日本のファンタジー作品を観ました。
地震津波で)突然命を奪われ、死に切れていない魂が集まってつくる町が
ある。そこの旅館「天間荘」は、飲んだくれる母親と2姉妹、厨房その他の僅
かばかりの職員で切り盛りしている。町の人びとも彼らも勿論死人。客は少し
だけ。というのも、ここに泊めるのは、この世とあの世の間にいて、どちらに
行くか迷っている(はっきりしない)状態の人間(の魂)。そういう魂を(っ

て、人間の姿をしているが)を連れくるのは黒ずくめの謎の人間(女の姿かた

ち)で、タクシーで(!)送ってくる。

さて、黒ずくめ女が若い女を一人連れてきた。天間荘の2姉妹の妹だという。
この三姉妹は父は同じだが、母親が違う異母姉妹。長女の母のみここにいるこ
とになる。名前がふるっていて、三人並べると、のぞみ・かなえ・たまえ、と
いう冗談みたいな語呂合わせになっている。
 
どうも、連れてこられたたまえは、天涯孤独ながら前向きで明るく、生き死に
に絡んでいるようには見えない(解説には書いてありました、ワタシ、見逃し
たらしい)が、ともあれ、旅館の仕事をさせてくれと言い出すし、次女の水族
館で仕事(イルカの調教とショー)も学ぼうとする。この話の中での泊り客と
してはこの時点では二人目。
先に来ていた泊り客は、身ぎれいにしているがひどく口うるさい嫌味なバアサ
ンで長逗留している。彼女の扱いには皆苦労している。今は現実では重体。彼
女も遠からず河岸か彼岸かを選ばなきゃならない。(選べる!)
泊り客の三番目は世の中を恨み悲観しか持たないはねっかえりの20歳の女で、
たまえと同じ年ごろ。これまた一筋縄ではいかない性悪。どっちか決まるまで
お世話するわけだが、これがなかなか大変・・・

というような話で、状況はそれでも煮詰まって行く。収斂する先は見えている
ようなものとはいえ、もたもたしてしまう。最後には、およその伏線が回収さ
れるだけでなく、うまくまとめられていまして、思わずほろっときました。こ
の世の話じゃないのにねぇ、なんででしょう、まさか!でした。
ディズニーでも扱えそうなお話だと思います。まぁ様変わりはするでしょうけ
どネ。でもやっぱり日本かな。
ちょっと長かったし、いかにも作り物という画面(むしろ敢えてわざとらしい)

もなくはなかったけれど、ジジイになり、涙もろくなったんでしょう、反応し

てしまいました。若いかただと逆に反応しにくかったりして・・・ わかりま

せんが。

 
基本、「漫画」なんですがねぇ。というか、原作は漫画そのものだったのです
ね。観終わってから知りました。
景色がワタシには伊豆半島のあちこちのように見えたのですが、どうやら宮城
県の女川町が多く使われていたとのこと。東北の大震災に関連付けるつくりに
なっていたんですな。(鈍感なもんです)

マッケイブ~作曲家、ピアニスト、指揮者

しばらくアップするのをためらっていた

イギリスの一応現代音楽のCDです

20240116(了)

ジョン・マッケイブ

  John McCABE(1939-2015)

交響曲 第1番「エレジー(1965)19:35

 ①Ⅰ.前奏曲;Lento moderato 6:05
 ②Ⅱ.踊り;Allegro molto 3:54
 ③Ⅲ.エレジー;Adagio―Allegro vivo―Adagio 9:36
   ジョン・スナズホール指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音:1967年5月、英、エセックス、バーキング・アセンブリーホール
リストの主題による幻想曲(1967)11:36
カプリッチョ(習作 第1番)(1969)6:39
ソステヌート(習作 第2番)(1969)6:58
   以上 ジョン・マッケイブ(ピアノ)
   録音;1977年、スコットランド、グラスゴー・シティ・ホール、ライヴ
チューニング(1985)17:33
   ジョン・マッケイブ指揮、スコットランド・ナショナル・ユース・オーケストラ
   録音;1986年、スコットランド、グラスゴー・シティ・ホール
 
  以上 Tot.62:21 世界初録音
  CD/現代音楽/管弦楽&器楽/Ⓟ 1967,1977,1986&ⓒ 2014 Naxos
  ⑦のみ<★★★☆>、それ以外は<★★☆>

NAXOSのアルバム紹介》
ジョン・マッケイブ(1939-)はリヴァプール生まれの作曲家、ピアニスト、そし
て指揮者です。日本では比較的ピアニストとしての知名度が高く、1970年代に
録音されたハイドンのピアノ・ソナタ全集(DECCA)は、類い稀なる完璧さを誇
るコレクションとして人気を獲得したのでした。しかし、彼は7曲の交響曲
はじめ、15曲の協奏曲、その他たくさんのピアノ曲や、舞台音楽など多岐に渡
る作品を書いた作曲家でもあります。 ピアニストとしては2010年に「最後の
公開ピアノ・リサイタル」を行い、事実上の引退宣言をした彼ですが、ファン
はまだまだその活躍を期待しています。このアルバムでは、彼の60年代の作品
を中心に収録、なかでも「チューニング」は彼の唯一の「指揮者」としての演
奏です。その音楽は素晴らしく有機的で、常に感情豊かであり、時として爆発
的なエネルギーを放射するもの。かなり入り組んだ音楽ですが、魅力的な響き
を有しています。
 
①-③
7曲あるうちの第1交響曲。勇壮さやバイキングのバーバリズムを(って、英国
にはバイキングはいないと思うけど)感じさせる①。②はしめやかに始まるも、
次第に①から続くバーバリズム戻って盛り上がる。③が目玉のようで、まず複
雑な和音の示す世界は部族等の悲劇的な歴史ふう。続いて②を思い出させる激
しいテンポは戦闘か。最後は色々回想しながら浄化へ向かう感じ。
独特の暗めのムードの習作的交響曲でしょう。
去年聴いたルイ・フレモー指揮のセットもののなかに、第2番が入っていまし
て、この第1番とは異なり、生真面目で繊細なものでした。それに比べると習
作的に思えたのもしょうがないかも。3~7番については録音もなさそうで、
どんなふうに進まれたのかわかりません。多分ですが、「12音」なんかの方
向には向かわなかったんじゃないかな。
 
以下3曲はピアノ曲です。ご本人が本職として弾いている。
④ リストの何からいただかれたのかわかりませんが、ギラギラ感のあるピアノ。
ギャーン!と多くの音をいっぺんにい鳴らすところなんかもあります。リズミ
ックなところはバーンスタインのかのミュージカルみたい。そのあとは不穏な
心情やぶつぶつと文句を言っているような感じなんだけれど、大作っぽいのに
なんだか結末なく終わってしまった。
⑤ 奇想曲、ですか。ちょっと変わった響かせ方なんぞも入るせいか、やや陰気
な曲調がどんどん変わっていくのについていけます。インプロヴィゼーション
という感じ。
⑥ これも⑤と似たタイプの音楽で、インプロヴィゼーションふう。
 
⑦ あの、オケが最初に鳴らすチューニングから発想したものでしょうか。
クラシック音楽なんぞ聴いたこともない人だったか、宇宙人だったか、オケの
コンサートに行って「チューニング」が一番良かったと言う話を、昔、聞いた
ことがあります。多分よく知られた話でしょう。
きらきら、ファンタジックな曲調からどうどんサスペンスフルに盛り上がって
いきます。①から⑥までの音楽より練れた感じがしました。ほっとしましたね。
あまり上手いオケではなかったようですが、この曲が、最も聴きやすく、楽し
めました。アルバム紹介文にある通り、魅力的な響き。
と言ってもわかっていただけないでしょうから、ワタシの連想したものを紹介
しておきます。映画『猿の惑星』第一作のサントラの始めのほうの音楽。
録音もいまいち。最後にライブ録音だったとわかりました。録音し直したらも

っと魅力が出ると思いますが、まあ、されないでしょうねぇ。もったいない。