休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

合唱のためのコンポジション/間宮芳生 作品集

20191026(了)
合唱のためのコンポジション間宮芳生 作品集

(1)第1番 混声合唱のためのコンポジション<1958年>
  ①Ⅰ 4:57 ②Ⅱ 3:57 ③Ⅲ 4:17 ④Ⅳ 3:38
     田中信昭指揮/東京混声合唱団 
     録音:1975年(ビクター青山スタジオ)
(2)第3番 男声合唱のためのコンポジション<1963年>
  ⑤Ⅰ 艪(ろ) 4:12 ⑥Ⅱ 羯鼓(かっこ) 5:34 ⑦Ⅲ 引き念仏 4:11
     岩城宏之指揮/東京混声合唱団・東京放送合唱団
     録音:1968年(東京 文京公会堂)
(3)第4番 合唱とオーケストラのためのコンポジション
     ― 子供の領分(1963年)
  ⑧Ⅰ 4:11 ⑨Ⅱ 5:29 ⑩Ⅲ 1:49 ⑪Ⅳ 2:57 ⑫Ⅴ 4:51
     岩城宏之指揮/東京放送児童合唱団/読売日本交響楽団
     録音:1968年(東京 世田谷公会堂、ビクタースタジオ)
(4)第6番 男声合唱のためのコンポジション<1968年>
  ⑬Ⅰ 4:32 ⑭Ⅱ 2:27 ⑮Ⅲ 6:25
     岩城宏之指揮/東京混声合唱団・東京放送児童合唱団
     録音:1968年(東京 文京公会堂)
(5)第10番 「オンゴー・オーニ」
  ⑯Ⅰ 2:58 ⑰Ⅱ 2:02 ⑱Ⅲ 3:20 ⑲Ⅳ 4:09
     田中信昭指揮/東京混声合唱団/間宮芳生(ピアノ)
     録音:1982年4月(入間市民会館)

     1998年/CD/現代音楽・合唱/ビクターエンタテインメント/中古
    (1)(2)(4)<★★★>、(3)<★★★★△>、(5)<★★★△>

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懐かしさから選んだようなCD。この感想文はなかなか難しい。
いつも通りとはいえ無理はしませんので、お許しください。

民謡といっても、(1)は甚句や木やりなどが多い感じ。(2)はいわゆる民謡
のなんとか節といったもののほか、念仏や御詠歌みたいなものの感じも多い。
要するにそういった日本中の伝統的な歌の音や掛け声など、その構成する
類わけして整理し、タイプ別に再構成して楽章分けしてみたといった感じ。
和声の中に時々西洋っぽい音が混じったりする。
歌われているが、歌詞ではなく、いかにもそれっぽい音というだけで意味は
なさそう。
(4)もタイプは違って聞こえるけれど、やっていることは(1)(2)と似た
ような感じだと思います。が、いわば民謡調からちょっと離れて、どこかお
祭りっぽい感かな。
以上はアカペラ。

大きく違うのが(3)と(5)。
(5)はなんといってもピアノ伴奏が付くこと。1981年初演。
もはや民謡調はなく、もはやどこの国の音楽なのかも判然としない。いかに
も現代音楽。「オンゴー・オーニ」というのは、キー・ワードあるいはマジッ
ク・ワード、更には「おまじない」。⑯と⑱の歌詞(意味がよくわからない)
は作曲者自身の作詞。⑱などどこかストラヴィンスキーあるいは新古典っぽ
い音楽。ニュアンスは豊かです。⑯「ねがい」、⑰「おそれ」、⑱「よろこ
び」、⑲「陶酔」、と解説にはある。
ピアノ伴奏で、なんと素敵になったことか!

そして最後に(3)「子供の領分」。
 デブデブ百貫デブ・・・おまえのかーちゃんデーベソ・・・棒が一本あっ
 たとさ・・・などなど
この曲聴きたくなって仕入れたようなもの。これだけはずいぶん前から知っ
ていまして、若いころ、LPで持っていました。その後はカセットテープやM
Dなんかにダビングして、ときどき聴いていましたっけ。
そうだ・・・「軍艦、ハワイ、沈没」と歌う曲を知っているが、なんで知っ
ているんだろう。戦後生まれだしなぁ。こんな歌詞、口にできなかったろう
に。子供だから許されたといっても、、、そこそこ大きな子供か大人が教え
なきゃ、ワタシなんかが覚えるはずがない・・・ ま、いいか。

なんでかもう忘れましたが、これ聴いて泣いたことがあります。30年前とか
じゃないかなぁ。そのころ、オッサンになったんだよ、きっと。ハハ。
LPの裏面は三善晃の合唱曲だったように覚えています。むしろこっちが名
作と言われていたはず。そのことは覚えているくせに、中身はまるで覚えて
ません。
さて、都内の子供のたーくさんのわらべ歌の中から選んで、5つのグループ
に分け、オーケストラ伴奏付きで書かれた。
子供のコーラスとオーケストラとのコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)
のようなスタイルなんですって。
今なら使ってはいけない言葉、放送禁止用語などの連発で、重なって歌わ
れるんだが、戦前のもあるようなのに、ワタシでもけっこう知っている歌
があります。「絵かき歌」など覚えてます。
LPの時より含みがなく薄っぺらい録音なのはちょっと残念だけど、まあ仕
方がない。

民謡を分解、再構成して作られた(1)(2)(4)のほうが斬新で凝った作
品かもしれませんが、ワタシは断然(3)。作曲者はどういう理由だったか、
なにしろ昔の話なので忘れましたが、「子供の領分」は方法論によってだっ
たか、自己評価が低く、認めにくいというようなことだった。涙を流した人
間もいたのにさ、、、ま、今更いいかぁ。この場合の音楽の聴き方を、わざ
わざややこしくする必要はないしね。

 

 

ペーター・ハントケ

11/12(火)
以下のメモだけにしようと思ったのですが、これでは何のことかわから
ないかもしれんと思い直して、記事の写真を撮りました。

(記事優先)

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11/6(水)

毎回目を通している池澤夏樹さんの連載「終わりと始まり」。

知らないことばっかり・・・

 

ミソは、ペーター・ハントケノーベル文学賞のわけが分かったかもしれな
いということ。 
  「これはノーベル賞委員会によるペーター・ハントケの名誉回復なのだ。
  彼はずっと四面楚歌の状態にあって、それに耐えてきた。」
要は、旧ユーゴ紛争に関し、西側諸国もメディアもセルビアを悪者(弱体化
されるべきもの)にし、こっぴどい情報操作をやった。これに異議を唱えた
ハントケは総スカンを食うことになってしまった。
全然知らなかったが、今ではセルビアの振る舞いに「民族浄化」などという
レッテルを貼った米国の広告代理店の名(ルーダー・フィンという)までわ
かっているそうな。 「・・・」

 

日本の新聞もほとんど騙された。というか、現地の記者が実際に見て本当
のことを伝えているのに、本部は 「ロイターはそんなことは書いていない
!」と突っぱねるというようなことをやっていたそうな。
週刊文春なんかも、今回のノーベル賞や選考委員会をトンチンカンだと揶
揄しているから、やはり騙された口。いや他にもありました。“ヨーロッパ
がメインという形に戻っちまった”と、朝日に書いている方もいたなぁ。

この情報操作に引っかかってジェノサイドを信じてしまった有名人もいるが、
NATO空爆にしっかり反対した有名人もいる。(それぞれ名を挙げている)
ハントケはそれでさんざんな目に遭った。
今はどうなんだろう、ノーベル文学賞の選考委員会だけがわかっている話
か?そんなことはないだろうが、NATO関係は認めまい。たぶんアメリカも。
ならば、ハントケの名誉回復を望む側は結構劣勢なのではないか・・・

黙っているよりは、ちゃんとほじくり返さないといけない感じがします。


ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』の脚本を担当したのが
ハントケだそうで、この論の後半はその映画の中身をハントケのスタンスに
結び付けて書いている。これについてはワタシにゃいまいちピンとこない。
でも、
   広告宣伝が世論を誘導し、爆弾とミサイルがそれを実現する。ユーゴ
  で実験され、イラクで実証され、今の世界の日常になっていることだ。
   それらはすべて政治に属する。
   政治に対して文学に何ができるか、ペーター・ハントケはそれを身を
  もって訴えた。二十年を経た後のノーベル賞受賞は文学者としての彼を
  顕彰するものだ。

信用したいと思いました。
チトー元大統領の罪をかぶせられる形で、セルビア一国が非難の矢面にた
ってしまったという構図。それもいま‘流行り’のフェイクニュース的なものが
発端だったらしいという。絶対正しいという確信はありませんが、それに近
いものを感じた次第。
まあこの紛争に関して、進んで興味を持って読んだりしたことがないのです。
なので、恥ずかしながら、ほぼ偶然理解できる説明にあたった気がするので
す。これが間違いだったときは・・・まあ、今考えてもしゃーないネ。

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イチモンジセセリ、同窓会

11/10(日)

庭の真ん中にある菊が満開。
まあこの手の植物は、花が長いから、いつが満開だとは決めづらいけ
どな。いい天気で、イチモンジセセリが何匹か。ほかにも、さまざま
なアブやハエなどの仲間がたかってにぎやか。このうららかな秋の陽
を味わっている風。20℃ぐらいある。朝晩は10℃を下回るから、
ほんとうは相当厳しい状況を生き抜いてきている虫たち。

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      ・イチモンジセセリの一匹だけ、右に写ってます。左端に

       は名は知らないが、アブや小さなハエの類がいましたが、

       完全にピンボケ。カミサンは花が匂うというが、ワタシ

       にはよくわからない・・・

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        ・サッシで日向ぼっこしているイチモンジセセリ

そばで、柴犬娘が寝そべっている。
足の傷を舐めないようにと嵌められた輪っかは多分もう数日で取れるん

じゃないか。(はじめの写真の右側にいます)

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きのうは二年おきに開催されている中学校の同窓会。
昭和39年に卒業した学年のもので、それが会の名になっている。
その年に高校にも入ったわけだが、、、考えてみれば、1964年な

んやね。
東京オリンピックの年。今の今まで、合わせて考えたこともなかった。
1962年に製作された映画『アラビアのロレンス』を、友人と梅田まで

出て観た。(ニューOSといったか) すっかりイカレタましたね。
日本公開は1963年の年末。すぐに行ったとも思えないから1964

年でしょう。
もっともそれが、1964年だったことは間違いないと思うんだが、中

学生だったか高校生だったか、どうも思い出せない。一応気になる受験

があったりしたから、たぶん高校に入ってからだと思うんだけど・・・

 

同窓会はじめには、前回同窓会の後物故者が3人出たらしく、紹介され

黙祷。かなり前に事故で亡くなった上記友人も含めて、確かこれでもう

40人も亡くなった勘定。我々の学年の総人数が230人弱だったはず

なので、この歳にしてして40人、17%がもういない。普通そんなも

んだろうか・・・、毎回思うんだが、なんだか多い気がする。

参加者は50人。立派です。
農業で成功している同窓生の運営するバーベキューハウスでの開催。
同窓会からスピンオフして続いているゴルフコンペが、今月中に開催さ
れるんだが、これにも参加してくださる予定の、たった一人の恩師先生
も元気に出ておられました。ゴルフのほうも大丈夫でしょう。幹事選出
と合わせて2年後を約して散会。
酒類は控えめに、野菜をよーけ食べました。

 

新聞の広告に、「メトロポリタン・オペラ 新シーズン開幕!」。もうす
ぐです。今回の演目には切に観たいものが少ない感じなんですが、何作

かは観ましょう、大画面で。楽しみです。

映画『15時17分、パリ行き』

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20191025(了)
映画『15時17分、パリ行き

  クリント・イーストウッド監督作品
  2018年/米/94分/DVDレンタル
  原題:The 15:17 to Paris
  <★★★△>

<映画.com解説から>・・・クリント・イーストウッドが、2015年にヨーロッパ
で起こった無差別テロ「タリス銃乱射事件」で現場に居合わせ、犯人を取り押さ
えた3人の若者を主役に、事件に至るまでの彼らの半生を、プロの俳優ではなく、
本人たちを主演に起用して描いたドラマ。2015年8月21日、オランダのアムステ
ルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラ
ム過激派の男が無差別殺傷を試みる。しかし、その列車にたまたま乗り合わせて

いた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そ
して2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、そ未曾有の
惨事を防ぐことに成功する。映画は、幼なじみで親友同士のスペンサー、アレク、
アンソニーの3人が出会った少年時代や、事件に遭遇することになるヨーロッパ
旅行の過程を描きながら、ごく普通の若者たちが、いかにしてテロリストに立ち
向かうことができたのかを明らかにする。

 

もろに実録ものの再現映画、しかもメインの出演者は実際の体験者たちという、
よく言えばとてもチャレンジングな作品。
出演者の決め方については、そのいきさつのあらましが映画のあとに、特典映
像として付録されているのでわかる。
わかると言えば、もし彼ら3人がいなければ、おそらくとんでもなく死者が出た
だろうということ。車内にテロリストはひとりだけだったようで、よかった。
複数人いたらえらいことやったろうね。ともあれ、防げたものの大きさからし
て表彰はまあ当然でしょう。

少々弾かれ気味ながら、いたって普通な(≒ノーマルな)3人の仲良しの活躍で
す。内二人が長じて軍人になったのが普通というのなら。
彼らの少年時代にさかのぼって描き始められる。そんな再現ドラマを映画にす
る意味あるの?と言われたでしょうね。評価はあまり高くなかったのではない
か(これを無意味だという人は絶対にいる!)と想像するけれど、ワタシには
映画として十分面白かったです。全体に独特のさらっとした感じに仕上がって
いるのは、イーストウッド監督ならでは。
それに、主役3人たちがとても自然な感じで、演技が素人とはとても思えなか
った。
彼らの小学生時代を演じたのは無論本人たちではなく、これもきっと素人だっ
たはずだけれど、彼らもまた感じがよかった。だからこそというべきか、学校
や教師の側を感じ悪く描いた面があるかもしれない。もっとも親の苦労はとも
かく、学校側が彼ら3人を完全に叩きのめしたりはじき出したりしてしまった
わけでもないようなので、彼らの人格形成によろしくない影響を残すには至ら

なかったということみたい。

 

音楽担当のクリスチャン・ジェイコブという人は知らない作曲家。ジャズのコ
ンボ、プラス弦のオブリガートによるもので、楚々としたピアノソロ、おとな
しいコンボジャズ、それにストリングス付きのジャズ系ムード音楽。高らかに
鳴る音楽は一切なし。いかにもイーストウッドさんらしい音楽の趣味であり、
音楽に大役を割り振らない扱い。

 

そうそう、マクロン現大統領の前のオランド元大統領が大統領役として出演さ
れていました。あのかた、本物でしょ?

トゥンベリさん

11/6(水)

トゥンベリさんの記事が並びました。なんか削除するのももったい

ないかと、、、

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今日はあのシュワルツェネッガーと自転車に乗ったというトピックス

がありました・・・

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体長たった1mmの新種の昆虫に名前。

(昆虫についちゃあ、行くとことに行けば、名前なんてついていない

ものがまだゴロゴロいるのです。どんどん絶滅しつつも。

ついでに脱線。ウチの犬っころが刺されたあたりを通りかかると、な

んと昨日、11/5ですよ、いました、スズメバチが。3匹ほど。クヌギ

木の根もとにいて、じっとしてました。もう朝晩かなり寒くなってい

るってのに、あんな所にいたんじゃ冬を越すのは無理、凍え死ぬのを

待っているだけだね。)

 

でも、、、印象が一番なのが下の写真です。

この目つき。

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米、パリ協定離脱・・・

「その女アレックス」

20191024(了)
「その女アレックス」/ピエール・ルメートル

  橘 明美;訳
  2014年/翻訳ミステリー/文春文庫//2011仏/中古屋
  <★★★☆>

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何年か前、大絶賛を博した翻訳ミステリー。中古屋でいつ手に入れたの
か、どれくらい積読しているのか、ワカリマセン・・・
2014年の発売かぁ、そんなに前じゃなかったんだ。
今はシリーズものとして読まれているようで、その最新作が新聞にでか
でか載ったもので、まあタイミングですね、思い出して手に取ってみま
した。

フランスはパリ。30歳の看護師アレックスは引っ越し好き。
ずっとやせっぽちで、女性的魅力に欠けていたので、もう恋愛はほとん
ど諦めていたが、最近美しくなったらしいことは自身もわかって、ちょ
っと意識している。
食べることやファッションが好き。体の見え方には注意を怠らなくなっ
た。いつか人生を変える、というのが彼女のライト・モチーフ。
ある時、50がらみの男が付きまとっていることに気づくが、それでも、
自由を謳歌し、ウィッグに嵌り始めたある夜、拉致される。淫売と言わ
れ、暴力を振るわれ、小さい檻に押し込められる。 
ひたすら「Why me?」というのが導入。


この拉致事件をいやいや担当する(本人は仮の担当と考えている)カミ
ーユはできる男らしい。すぐ50歳。なんと身長145cmという、刑事
にしては珍しいに違いない、ドワーフと言っても過言でない異形。
恋女房を誘拐事件で失っていて、誘拐にたいしてはトラウマがある・・・
母を失い、子供もいないまま妻を失い、そして今度父を失う。天涯孤独
になってしまったカミーユの感慨は、
  ・・・もはや、この人生は自分だけのものでしかない。自分が人生
  の唯一の所有者であり、唯一の受益者になってしまったら、つまり
  自分が人生の主役になってしまったら、その人生はもうそれほど面
  白くはない・・・

まいっているのだが、それ自体が陳腐だと感じている。

 

さてさて、カミーユは因縁のある(こっちは巨体らしい)上司に担当を
言い渡されて、仲間と捜査を始めるのだが、まもなく状況がものの見事
に一変する(でんぐり返る!ぐらいのほうがいいかも)・・・
それより前、始めのほうの、彼女が動物のものらしい極端に狭い檻に閉
じ込められて身動きが取れないまま、高い位置に吊り下げられている状
況での描写も、強烈な印象を残しましたねぇ。

この先のことは実際に読まれることをお勧めします。
それも多分、一気呵成に、がいい。

 

おしまいに、この一言多いチビ警部の位の高い方に対する堂々たる(?)
喋りを紹介します。

  「ヴェルーヴェン警部〈カミーユのこと〉」 帰り支度を整えたヴィ
  ダール〈予審判事のこと〉が言った。「今回の事件では、頭の冴え
  が全く見られませんでしたね。何もかも後手に回ったじゃありませ
  んか。被害者の身元さえ、明らかにしたのはあなたでなく女自身だ
  った。ここで終了のゴングが鳴ったからいいようなものの、解決に
  は程遠い状態でした。もしこの幸運な・・・」とヴィダールは部屋
  のほうに首を振った。「“出来事”がなかったら、まだこの事件を担
  当していたかどうか怪しいところです。今回の仕事は、どうやらあ
  なたの・・・」
  「身の丈に合わないものだった?」 相手が言いにくそうなので、カ

  ミーユのほうから言った。「どうぞご遠慮なく、口から出かかって
  いましたよ」

言葉の応酬のし合いはねちねち続きます。小説のエンディングにはまだ
まだページ数がたっぷりある段階のもの。面白いキャラクターです。別

のを読みたくなりました。新作の評価はいかが?

 

(追)
「身の丈」という言葉については、最近、古い省庁の長の、あっけにと
られるひどい使い方がありました。ひどい使い方といっても、実は間違
って使ったわけではない、たんに本音が出ただけと思しい。この省庁に
は絶対にふさわしくない・・・。長い政権ならでは、なんともはや、た

め息つかずにおれない報道でした。(いや、まだ終わってませんね)

You are what you read?

一週間前の日曜、10月27日の紙面から・・・

f:id:kikuy1113:20191103140858j:plainf:id:kikuy1113:20191103140910j:plainf:id:kikuy1113:20191103140927j:plainf:id:kikuy1113:20191103140946j:plainf:id:kikuy1113:20191103141001j:plain                             (10/27)

You are what you eat ね。
人間は食ったものでできているという慣用句があるんだって。
こいつは、福岡伸一先生も書いていた気がする。
もともとあるというか、古い言葉なんやね。
それ以上でも以下でもないとは思うんだけれど、含蓄深く感じる。
で、筆者はごく自然に、eat を read に置き換えてみた、と書く。
まあこれもぴったり嵌る。

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10/27日の朝日のもので、老婆心ふう。
このごろ、ピンとくるものがないので、切り取っていない「折々のこ
とば」が、これは気になりました。

まあこうなるんですよ。
シンギュラリティのリアルと同様、という感覚です。
文章力は文を紡ぐ力、読解力はそれをできるだけ正確にほぐす力。
どっちも両輪というわけで大切だけれど、失われるだろうってことな
んでしょうか。
本に残されたいろんな英知を使えなくなってきているのなら、ほかの
方法で身につけないとね。そんなもの、ありゃあいいが。
人間は読んだものでできている、ていうのがそこそこ的を得ていると
ゾワゾワ感じるなぁ。
人のことは言えないが、、、すくなくとも、メールの単純文章だけで
は世界はなかなか良くできない気はするな。
(でもな、LINEのようなものだって意外に文章家がいたりするんじゃ
ないか・・・、ああ、メンドクサ!)

 

ジーヴス、ふっと読んでみたくなりました。