(映画.com解説から) イランのジャファル・パナヒ監督が、タクシーの乗客たち |
の様子から、厳しい情報統制下にあるテヘランで暮らす人々の人生模様をドキ |
ュメンタリータッチに描き、2015年・第65回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受 |
賞した作品。カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭で受賞歴を誇る名匠 |
で、反体制的な活動を理由に政府から映画監督としての活動を禁じらてもなお、 |
自宅で撮影した映像をもとに映画「これは映画ではない」を発表して話題を集 |
めたパナヒ監督。今作では活気に満ちたテヘランの町でパナヒ監督自らタクシ |
ーを走らせ、さまざまな乗客を乗せる。ダッシュボードに置かれたカメラには、 |
強盗と教師、海賊版レンタルビデオ業者、交通事故にあった夫婦、映画監督志 |
望の学生、政府から停職処分を受けた弁護士など、個性豊かな乗客たちの悲 |
喜こもごもが映し出され、彼らの人生を通してイラン社会の核心へ迫っていく。 |
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ぜんぜん映画らしくないけど、けっこう面白かったです。 |
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NHK-BSで、世界の大都市のタクシーに乗って、タクシーの運ちゃんから見た |
街や自身の状況などをドキュメンタリーにしているのを時々見かけた。それを |
思い出しました。 |
もちろん色眼鏡と言やあそうなんだが、それが面白い。その町やその国が色 |
々見えたようにも思ったな。 |
ヨーロッパだと、運ちゃんは移民である割合が多く、それは移民の職種の傾 |
向としてはっきりしている。でも運転手になるまでは大変だったという人が多 |
かった印象。そして意外なことに概してその町や国を好いている場合が多か |
った。 |
ロシア(サンクトペテルブルクだったか)の場合はだいぶん違ったけどね。やっ |
ぱりどうしてもロシア人自身が自国の政治のことをどう見ているのか、なんて |
ことに興味が集中してしまった記憶がある。 |
そして実は、中に確かテヘランを走るタクシーの話もあったんだけど・・・残念 |
ながら中身を思い出せない。この映画に似ていたんだろうか・・・ |
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この映画は、政府や官憲から反体制として目を付けられて、映画が撮れなく |
なった監督(なんとご本人で有名らしい。ワタシはこの人が名匠であるかどう |
かなんて、‘ラッキーなことに’知りません) がタクシーを転がしている。 |
その盛りだくさんな一日という設定の映画。ダッシュボードにカメラを二つ置 |
いて、転んでもただじゃ起きないぞと、映画のネタを拾っているというのも、あ |
る種設定。 |
入り込んでは通り過ぎて行く状況や会話が、イランの、テヘランの鏡なんだよ |
っという感じ。乗ってくるのが本当の客か役者なのかはよくわからない。でも |
打ち合わせができているらしいことはわかる。 |
で、上掲の解説にどんな人が乗ってくるか、ご親切にもしっかり書いてあるの |
だけれど、一人書いてないのがいるんだよね。彼の姪っ子と紹介されるこまっ |
しゃくれた女の子。そのおませな言い草にイラつかされるが、実のところこの |
子がとても大事なことを喋ってくれる。情報統制社会、つまり監視が厳しい社 |
会になっていることがよくわかる仕組みで、なんともうそ寒い。わざとらしい気 |
がする唐突なエンディングもそう感じさせるためのものだろう。 |
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先日観た『セールスマン』では、なんか不穏な空気を映画はかもされていた |
んだけれど、それが何かわからないもんだから、とても言及するどころでなか |
った。タクシー運転手が感じていたであろうリアルさはなかったと思う。 |
映画を取り巻く環境や演劇などは、表現者なのでなおさら、一般市民以上に |
息苦しいんだよということになるんでしょうが。 |
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現在、サウジと仲がよろしくなかった米国が、サウジがイランの敵であるため |
に、敵の敵は味方だとばかりにサウジと組むというようなことになっている状 |
況のようです。そういうことに繋がるようなことが、注意深く観れば、これらの |
映画にはすでにあらわれているんでしょうか。 |
無理ですね。残念ながらワタシなんぞにはわからない。 |
ただ、映画が愛されている国だということは感じられました。つまるところ、映 |
画愛のための映画で、とてもユニークなつくり。 |
なんか、イラン、心配だな。(人の国の心配をしている場合かって? ・・・) |