休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

門田泰明 『夢剣 霞ざくら 浮世絵宗次日月抄』

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20170817(了)
門田泰明 『夢剣 霞ざくら 浮世絵宗次日月抄』
  2013年9月/文庫オリジナル/長編時代小説/光文社/借り物
  <★★★>


(「BOOK」データベースより) 桜満開の中、幕臣名門の娘美雪は浮世絵宗次
と出合う。静かな宗次に次第に心惹かれる美雪。一方、突き放つようにし
て美雪を離縁した夫は深刻な藩跡目争いの渦中に。 その騒動の火花が
凶刃となり美雪に襲いかかった。 次々と現れる刺客の前へ立ちはだかる
宗次。見え隠れする幕府最強の暗殺機関。 圧倒的死闘と美雪の切切た
る慕情が魂を揺さぶる。「門田泰明時代劇場」新境地大作。 
名門旗本の娘が、嫁ぎ先の小藩から出戻ってくる。割り切れない唐突な
離縁だったが実家では喜ばれる。過ごすうちに絵師宗次が陰に日向に
現れるようになり、恋心を抱くようになるが、元夫が近くに現れるとともに
その小藩のごたごたが膨れ上がり、彼女や宗次をも引き込んでしまう。
始めはこの出戻り女が主役かというほど出ずっぱり。どんどん宗次にホの
字になっていくのだが、次第に彼女にではなく事件のほうに深入りしてゆ
く宗次がメインのキャラに置き換わってゆく。
すでに6作が(文庫で)出ていて、この7作目をいきなり読むことになったも
のだから、この宗次のキャラや秘密がピンとこなかったのですが、それで
も徐々にわかってくる。彼女に対する異常なほどの優しさにも、こりゃあわ
けがあるんだろうと思わせずにいない。
宗次の魅力的真実についてはここで書くわけにはいかないが、シリーズ
の読者は、当然毎回‘それ’の扱いを楽しみに読んできているに違いない。
歴史的な解説部分よりは、斬り合いのシーンがすごくて、猛烈な迫力。
でも、映像化したら、あまりいい意味でない「テレビ時代劇」になっちゃう
と思うね。
3社に書いているものの、シリーズもの。
現代ものが中心で、社会派ふうな内容を少々荒唐無稽を使いつつ大量
の作品をものしている。純文学を目指したがすぐに大衆作家へ転向され
た。時代物はだいぶん後で書き始めた。門田さん、1940年生まれ。
名前は昔から知ってますが、読むのは初めて。
自分からは間違いなく読まないタイプの小説なんですが、ワタシが貸して
あげた本のお返しということで、仕事場の同僚Kさんに「いらない」という
のもナンだし、といって読まずに返すのもナンだからね。読みました。
遅読のワタシですが、すいすい読めました。知らないんだけど、佐伯泰英
さんの大量の作品(確かご本人は‘読み捨て’でいいんだとおっしゃってい
た)もこんな感じで読めるのかなぁ、なんて思いつつ。