休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

テッド・チャン/あなたの人生の物語 1・2・3/8

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テッド・チャンあなたの人生の物語
 Ted Chiang/Stories Of Your Life And Others
1、「バビロンの塔」(Tower of Babylon, 1990)浅倉久志 
2、「理解」(Understand, 1991)公手成幸 
3、「ゼロで割る」(Division by Zero, 1991)浅倉久志 
4、「あなたの人生の物語」(Story of Your Life, 1998)公手成幸 
5、「七十二文字」(Seventy-Two Letters, 2000)嶋田洋一 
6、「人類科学の進化」(The Evolution of Human Science, 2000)古沢嘉通 
7、「地獄とは神の不在なり」(Hell Is the Absence of God, 2001)古沢嘉通 
8、「顔の美醜について  ドキュメンタリー」(Liking What You See :
    A Documentary, 2002)浅倉久志 
  「作品覚え書き」(Story Note)古沢嘉通 
  解説:山岸 
  2003年/ハヤカワ文庫/SF短編集/(近所の本屋にて)


クソ暑いため、ろくに読書をしない中で、何とか読み終えたものです。
難儀な短編集だったこと・・・ ちびちび読む自分が悪いのはわかってい
いるのですが。
空想、妄想、連想などで対抗するしかない感じでした。
基本的には(4)のことを書いてある新聞記事と(3)は除き、あとの「作品
覚え書き」は読まないで、印象をメモ。
中ではこの「バビロン」がわかりやすかったですかね。
いっぺんには載せにくいので、ちょっと分けます。

1、バビロンの塔
つまりバベルの塔のこと。当然大昔を想定したお話・・・
あくまでこれの建設にかかわる一介の作業員の目から見る。この視点
自体が面白かったですね。
でもメモは連想、脱線ばかり・・・
ブリューゲルほかのたくさんの絵画が残っていて、ネットでざーっと見た
けれど、このお話のイメージに合う絵はなかった。もっとずーっと高い。
どうも、てっぺんにある構造物の形状がいまいちわからないので、やき
もきした。
とにかく、高い山に結構平気で登っていたカミサンとは大違いで、高所
恐怖症といってもいいワタシは、読むだけでおののきました。
上ったから言えるわけだけれど、通天閣だろうが東京タワーだろうが、
名古屋タワーだろうが、ビルよりはこうしたタワーが嫌い。特に名古屋の
東山公園内のスカイタワーなんざ、尾てい骨あたりのゾクゾクなんてもん
じゃない、生きた心地せず、凍りついたもんです。上記スカイタワーは、
エレベーターが床までガラス張り。これが効いた。ひどい経験だった・・・
なんて記憶をなぞりつつ読み進みました。普段は想像力なんかそうたく
ましくもないのに、これ、来ましたねェ。ぶっ飛ばされるような風や景色の
見え方、その変わり方。
NHK-BSで自転車の旅をやっている火野正平という似た年恰好の俳優
さんが、ワタシよりひどい高所恐怖症でね、時に橋が渡れなかったりす
る。それでつい笑ってしまう。目くそ鼻くそを嗤う・・・の類。

※(1)追加
7月8日の新聞に、朝日が主催者の一つだからだろう、ブリューゲル「バ
ベルの塔」展を2ページ丸ごと使って、「塔」ばかりを紹介、宣伝していた。
500年前のピーテル・ブリューゲル1世の天才ぶり、まざまざ。
バベルの塔の絵は調べるとたくさん描かれている。いろいろ調べて見た
ところ、どうやらブリューゲルのものがずぬけてリアルですごみがあった。
紀元前のものを対象とせず、500年前当時のこととして、超絶技巧でも
って信じられないほど細密に描かれている。
その描写のすごさを、実物大の部分とは別に、4か所を選んで解説して
いる。中に “教会・洗濯物・・・すでに住み着いた人も”というのがあった。
あまりに小さいのではっきり見えないんだが、当然のごとく、この小説に
出てきたぞ!と思い出した。小説では、もう塔内だけしか知らない世代
が暮らしていることをうかがわせる記述が確かにあった。
(引用した新聞の写真は、物語に関係がある部分だけれど、ほかにも4
 -5項目ほど写真をもとにそのすごさを解説している。ほぼ宣伝なんで
 すけどね、切り抜かざるを得ない素敵な記事でした。)
展覧会、行きたくなった。 7/18-10/15、中之島国立国際美術館
ブリューゲルには現存する油彩は40点余りしかない。数でいうと、今や
人気抜群のフェルメールが40点弱だった記憶。そらぁちょっと少ないん
とちゃうか、という感じなんだけれど、ブリューゲルさんのこのバベルの
塔を眺めていると、40点は妥当かもと思わぬでもない。こんな細かい
もの、たくさん描けるわけがあらへん!
でもまあこういう絵を思い浮かべながら、主人公が受ける風や高所の
感覚を想像しましたね。
作者もブリューゲルの絵だけとは限らず、おそらくいろいろ見てインス
ピレーションを得たんじゃないかな。
徹底的に脱線ばっかりになりました。
まァこれも感想文ということで・・・
オフクロがこの新聞記事を読んでいたらしく、なんと、行きたいと言い
出した。オフクロと行くと身障者の付き添いってことでタダになるな。ワ
タシが水を向けたわけじゃありません。     
                              <★★★☆>(7/8)

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           上二つは最初の特集的な記事(7/8)。
           下のはその後ぽろぽろ載ったものの一つ(7/19)。
           当時考え得る最先端の技術や、得意だったという船なんかが
           見事に描かれているというのも興味津々、こんな小さな写真じゃ
           わからないが。この小説で描かれている“すでに住んでいる人
           がいる”なんてぇのと結びついて妙に印象深く、それが2枚目の
           写真。なんか人らしいけど、という程度しか見えない。実際に絵
           を見てもダメだろうか・・・          

2、理解
ボストン。男が、氷に中に落ちるという事故のあと、後遺症的に悪夢を
見続け、精神科病棟で治療を受ける。これが新薬の投与なんだが、何
が起きようと文句は言わないと書類にサインした上で。すると、なんと
頭脳も感覚も肉体もみな猛烈に脳力アップし、必要がなくなってもさらに
投薬(実際は何かのホルモンらしい)を受ける。ありとあらゆる事柄につ
いて理解が深まり、脳内では世界中の事柄をカバーするようになる・・・
これがやたらと大風呂敷になっていく。究極の自己認識にたどり着ける
のだろうか・・・とまあ、どうも妄想っぽいんだが、果たして・・・
3、ゼロで割る
最後の作者の「作品覚え書き」を読んでもどうしようもなかった。
こちらの数学の素養が足りなさ過ぎたよう。チンプンカンプン。