5種類のCDがこれまで手元にあり、歌や合唱とオーケストラの組み合 |
わせのものが特に気に入っていた。 |
今回のは協奏的作品も含めて管弦楽オンリーの2枚組。管弦楽だけの |
ものは初めて。別々に出ていたものを合わせたものみたい。 |
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スタンフォード、ウッド、ヴォーン=ウィリアムズ、ウォルトン、パリ
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ー、エルガーら、英国ならではの先達たちの影響の元、穏健な書法を維 |
持し続けた。 |
子供を亡くしてからは主に宗教的なものへ舵を切ったので、そっちの方 |
面で名が残ってしまったイメージがある。 |
というのは、まあ解説の受け売りだけれど・・・ |
柔らかくやさしく英国的、というのが英国的という時一般的だとしたら、 |
ハウエルズは、ストレートで禁欲的で実直な英国とでもいう感じかな。 |
皮肉や諧謔味もまずない。それに内声部はしっかり書き込まれている |
のに厚ぼったさから免れてきりっと筋が通った感じ。しかもサウンドは |
意外なほどに華麗。 |
共に人気がいまいち(正直なところ過小評価が信じられない!)のもう |
一人のラッブラが、独立独歩の僧侶ふうなら、ハウエルズは堅物では |
あっても、そこまでは浮世離れしていない(と思う)。 |
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とまあ、行数かせぎのごとくダラダラ書いてみたのですが、とにかくその |
音楽の魅力はありがたいことに想像をはるかに超えていました。 |
慟哭の『楽園の賛歌』や苛烈な『スターバト・マーテル』に魅入られてい |
た時にも、ひょっとするとオケだけの場合もかなりイケテイルのではと思 |
っていたのですが、いやぁ、久しぶりでイイネェと言えるものに当たりま |
した。(イケテイル、イイネェなんて言葉じゃねえ、ハズカシイ・・・) |
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曲毎記述は短くしよう。ともあれみんな素晴らしい。 |
CD1) |
①ファンファーレ的にアレンジされたもの。 |
②CD全体を通しても、とりわけイギリス的というイメージを持つ。ディーリ |
アスと似ているようで違う。味のサッパリ度、かなあ。 |
③独奏チェロ付き。チェロとの協奏に気を取られてしまうせいではないと |
思う。タイトル通り幻想的で、掴まえにくい。じりじり盛り上がって、その |
直後のエンディングがカッコイイ。 |
④これもチェロ独奏付き。何度かその名を見ているC・パーマーの編曲。 |
木管なんかが出てこないので、若干‘らしさ’不足かもね。 |
⑤泣かせる。しゃっきりとしたディーリアスとでもいうか。でも、イギリスっ |
てこういう音になるんやねえ、不思議なもんや。 |
⑥硬派な方だけに(?)、案外こういうのは上手。センスもある。エルガ |
ーのの有名なマーチとはまるで違う。ほんのわずか、東欧やロシアの |
臭いがするような気がした。 |
CD2) |
(1)①-⑤ Bが頭にくる名前が並んでいる。①は自分で、あとは友人の |
愛称の頭文字らしい。この2枚組を通じての白眉かも。自由さの感じら |
れる宝石のような組曲。③は思った通り作曲家アーサー・ブリス卿。日 |
本にも何かの音楽祭で、指揮者として来たんじゃなかったでしたっけ。 |
友人やったんやね。 |
(2)⑥-⑧ 民謡の楷書ふうな表現。 |
(3)⑨-⑬ ちょっとエキゾティックなニュアンスも感じる始まり。歌付き。 |
『オーベルニュの歌』にちょっと似ているかも。 |
歌や木管のメロディが非常に美しく、バックの弦は優しい。⑩⑪⑫の抒 |
情はほとんど溜息もの。ちらちらと転がり出るピアノの音も効いている。 |
1分そこそこの終曲⑬のサラリとした終わりかたがまたヨロシイ。 |
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ブラスのキラキラした咆哮もべたべたしない叙情もスペクタクルも、全て |
どこかあけっぴろげで惜しげもないとでも言えばいいのか、糞まじめで |
好ましい。日本人が大好きな‘ニュアンス’なんて言葉の意味するもの |
については、不足しがちなんじゃないかと思われそうなんだが、それが |
さにあらず。 |
そしてテキパキした指揮と録音の良さで見事に再現されている。 |
CD1では②や⑤、CD2では(1)や(3)がとくによかったかな。 |
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ワタシには20世紀の音楽っていったって、ホントはこのぐらいコンサヴ |
ァティヴなものがピッタリなのかもしれないなぁ。 |
少し晦渋気味なラッブラもけっこう気に入ってまして、聴くべきものはま |
だまだたくさんある。ハウエルズともども、そこそこ残っているのが嬉し |
い。 |