「スターバト・マーテル」は、聴きはじめたらすぐにドカーン。大音響とと |
もに聴く者を圧倒するものだったけれど、これも相当大規模な楽曲。 |
①のキリエは悲劇的なムードでしずしずと始まって、徐々に膨れ上が |
る。いろんな曲想が入り乱れる。とてもいい雰囲気で素敵なのだけれ |
ど、この後は②グロリア、③クレド、④サンクトゥスと、なんとも豪快で |
ハイテンション。 |
まあ、華々しいというか、ド派手なミサ。どこかイギリス的でないような |
感じも持ってしまうものの、おおざっぱな‘イギリス的’なんて言い方の |
ほうがヨロシクナイのであって、本当はご大層な意味なんぞない。「捉 |
えたい!」という欲望のようなものがそうさせるんでしょう。(罪深いも |
んじゃないよね・・・) |
で、唯一終始抒情的な⑤ベネディクトゥスの美しさが際立つ。 |
④はひょっとして、ハウエルズさんとしてはかなり‘新しい’かも。 |
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このシャンドス盤、先日大いに楽しんだ2枚組の管弦楽曲集のヒコッ |
クス指揮ではなく、はるかに前に聴いた「スターバト・マーテル」の時 |
と同じロジェストヴェンスキー指揮。イギリス人指揮者ではなく、わざ |
わざこの著名なロシア人指揮者に担当させたのには意味があるんだ |
ろうな。(この時期、たまたま英国での仕事が多かっただけなんだろ |
うけどさ。)豪快さやハイテンションを失わずに、この大規模な楽曲を |
引き締めもするというような能力のためなんじゃないか。 |
確信はないし、この録音が成功したものなのかどうかもよくは分から |
ないけど・・・いやいや、このヒコックスさんだって頑張ってるのですヨ。 |
ソリストや合唱もまずまずだけれど、オーケストラがたいそう魅力的。 |
こんなにトランペットセクションが活躍するミサ曲も珍しいんじゃない? |
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ただし、このハイテンションと大音響は、聴き続けるのがたいへん。 |
音色的には完全に好みなんだけど、、、構成的にはちょっとだけ無 |
理があるかもしれない。少なくとも‘癒し系’じゃない。
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いや、静謐や神聖さ、浄化などに近い癒しを求めているわけでは、
ぜんぜんないんやけどね。
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