休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

グラズノフ/バレエ音楽「ライモンダ」全曲

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20160229(了)
グラズノフバレエ音楽「ライモンダ」全曲(1897)
Alexander GLAZUNOV(1865-1936)/RAYMONDA、Op.57(Complete Ballet)
  CD 1; 1~36 ActⅠ (70:34)
  CD 2; 1~19 Act Ⅱ (35:17)
       20~32 Act Ⅲ (33:20)
    アレクサンドル・アニシモフ指揮/モスクワ交響楽団
    録音:1995年6月&7月、モスフィルム・スタジオ、モスクワ、ロシア
    1996年/CD/管弦楽曲/Naxos 8.553503-4/輸入/Net
    <★★★★△>
Raymonda is a full-length ballet clearly inspired by Tchaikovsky's 
three great works for the dance, and it's not far inferior to them. 
Glazunov was an immense musical talent, and an excellent 
composer of dance music. His works do run the risk of being labeled
 "routine," to the extent that he had such an easy gift at writing for
orchestra that his music can lack the ultimate melodic distinction. 
In other words, he sometimes sounds too comfortable. But when 
suitably inspired, as here, and given a subject that really got his 
juices flowing, he could rise to the occasion. 
This is the only complete recording of a ballet score than has many 
superb moments, and at budget price it's a great value for the 
money. (David Hurwitz)
このCDが出た時点で、唯一の全曲盤だったらしい。
チャイコフスキーの影響を受けて作曲したもののよう。
(あらすじ/Wiki) シヴィリ・デ・ドリス伯爵夫人の姪であり、美女と名高いライモンダ
の誕生祝いの席で、婚約者のジャン・ド・ブリエンヌがスカーフを贈る。 ハンガリー
アンドレ二世とともに十字軍に出征するジャンを見送ったあと、ライモンダが彼
を想いながら部屋でひとりリュートを弾いていると、ドリス邸の危機に現れるという
「白い貴婦人」が現れ、ジャンの幻を見せる。ライモンダがジャンの幻と踊っている
と、見知らぬ男が現れライモンダに求愛する。ライモンダが飛び起きると、すべて
は夢であった。
パーティの夜、夢に現れた男がライモンダに熱烈に求愛する。 サラセンの王子ア
ブデラフマンだった。ライモンダは相手にしないが(ジャンとアブデラフマンとの間
で揺れ動くという解釈をする版もある)、そこへジャンが帰還し、婚約者を賭けてア
ブデラフマンと決闘する。 アブデラフマンに勝ったジャンとライモンダは、アンドレ
二世の前で結婚式を挙げる。
背景は分からないけれど、まあ特に切実感のないお話。
CDに収まっているだけで140分という長尺なので、チャイコフスキーで昔懲りたよ
うに退屈必死と覚悟したら、とんでもない。
退屈なし。なし、ですよ。140分ですよ。
それに、ふしぎと飽きが来ない!
チャイコフスキーの3大バレエでは、とんでもない名曲もあれば、ドラマティックさも
あるものの、ウーン、なんか発想が平凡だなあ、うるさいなあ、なんてところもけっ
こうある。(まあ近頃はチャイコフスキーなんて、、、ましてやバレエ音楽なんて聴く
ことあらへんけどね。それとも、今聴いたらまたチャウ感覚なんやろか・・・あんまり
聴かんもんやから、単に久しぶりの新鮮さがあるだけやったりして・・・)
それに対してこの「ライモンダ」には、凄い名曲というようなメロディはいたって少な
い(ないことはない)し、ガーンとくるドラマティックなところもほぼないが、どの曲も
単調に聞こえないように、jいろんなものを取りこみ(いやほんとに色々!!!)工夫に
工夫を重ねて、作られている気がする。
結論。凡庸が生み出した大傑作なんじゃないか。(語弊あるかも・・・)
勿論、ワタシはクラシックバレエは(ホントは踊り全般なんですが)もともと苦手。男
性のまたぐらのモッコリなんてのをきまり悪い、不細工、非現実的云々というのはも
う卒業したけれどね。だから、バレエとその音楽としてどうなのということになると、
全く分かりません。
民族主義(ペテルブルク楽派)と国際主義(モスクワ楽派)を巧みに融和させた点
において重要であるとか、リムスキー=コルサコフの巧みな管弦楽法や、チャイコ
フスキーの抒情性、タネーエフの対位法の手腕などを吸収しわがものとしたとか、
プロコフィエフショスタコーヴィチ(高弟)のような新進作曲家からは時代遅れだ
と見なされたりしていたとか・・・。
古いかもしれないけれど、ロマンティックで粋な管弦楽法はロマン派最後を飾るに
ふさわしい、優れた能力を発揮したいかにもプロらしい作曲家です。
職場に来るバレエの先生とたまに雑談することがあって、手に入れたこのCDのこ
とを、偉そうに話題して、退屈するかも、なんて言ってしまったけれど、訂正です。
そう、訂正できることが嬉しいなぁ。(言いました!)
このCDの演奏は、他のものと似たり寄ったりで、時にぶっきらぼうだけれど、お国
ものだからなのか、妙に肝心なところはいいようで、時々そうしたぐっとくるニュア
ンスに出逢うと、不満も解消されるといった感じ。というか、やっぱりオーケストレー
ションと構成が素晴らしいということに尽きるのかなあ。
録音はいじらず自然ではあるけれど、やはり平凡。
久々グラズノフを聴いてみました。(運よく手に入ったものの、このCDは廃盤にな
ったみたい。NAXOS社のリストからなくなってしもとった。)
このNAXOS管弦楽のシリーズは20枚近くもあって、まだ半分ぐらい残っている
し、肝心な交響曲の有名どころには手を付けていません。まあ、これからもグラズ
ノフ、時々は聴いてみよう。