休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

さよなら、ベルリン  またはファビアンの選択について

20260207(了)

映画『さよなら、ベルリン

 またはファビアンの選択について』

  ドミニク・グラフ監督/トム・シリング/サスキア・ローゼンタール
  2021年製作/178分/独/原題:Fabian oder Der Gang vor die Hunde
  PrimeVideo
  <★★★>

普通のドイツ語がたっぷり聞けて嬉しかったのですが、ケストナーの原作と
ありまして、フーン・・・ なんだろ、これ!と無碍には言ってしまえない、
へんてこりんで、ふわふわとしたいわく言い難い面白味のある映画でした。
ユーモア風味の文学系ファンタジー、ぐらいかなぁ。始めは、イラつかなか
ったと言ったら嘘になるけど、馴染んできた。ただねぇ、セリフが多く、こ
んなんだっけストナーって、というのと、178分は長かったー。しまいにゃ
カミサンに文句まで言われてしまった。
 
1930年台始めのベルリンが中心で、ナチスの存在がちらりほらり。まあ徐々
にそれが濃くなってくるのはわかったのですが、お話の中身とはそんなに密
接に絡んでましたかねぇ。退廃的ムードはあったものの、ナチの圧は、度々
モノクロで挟まれる古い映像の回数の割には、ほんのちょっぴりのスパイス
程度ってところでしょう。むしろここは、前の戦争の影響も残る戦間期(間
氷期みたいでヘンかもしれないけれど)とでもいうべき時期なんじゃないで
すかね。作ってる側はナチの足音を聞かせたかったのかもしれないけれど、
ワタシにはリアルには感じられなかった。
もっとも(しつこいですが) 原題は「ファビアン、もしくは破滅への道行
(行進)」なんてな意味になるから、シリアスさを除いてしまってはいけな
いのかもしれません。原作であるケストナーの「ファビアン あるモラリス

トの物語」なんて存在すら知りませんでした。映画とはだいぶん違うんじゃ

ないかしらん。

 
さて、文学系の若者ファビアンが、その道に進む気でいるようないないよ
うな。メモはよくとってたね。キャッチコピーを作るようなアルバイト的
仕事。遅刻ばかりであっさり馘になって、生活費に困る状態が色々。なの
になんだか苦労している風には見えない、なぜかなかなか喰いっぱぐれな
い生活がずーっと描かれ続ける。そのことは本筋じゃないってわけですな。
たった一人の友人(裕福)とのよくわからない付き合い部分が加わる。こ
の友人の死の理由に、ナチの影が案外濃くかかわっていたかもしれません。
ファビアンの真面目でない女づきあいの中で、素敵な女性(女優を目指して
いる)に出合い、始まる付き合いが加わって、これは当然であるかのように
濃く描かれる。
それらが色んな状況になって行く。
ファビアンの少なからずノンシャランな態度と相まって、あまりシリアスに
感じられない。それをどう表現したらいいのか、ワタシにはよくわからなか
ったというわけです。
そうそう、皆、煙突のようにタバコ吸ってたなぁ。あんな感じだったっけ? 
あれはオーバーな気がしたけど・・・
ワタシが気に入ったのは、ファビアンのドレスデンの田舎の実家。両親の生
活態度や物言い。「ノーマル」そのものだったから。
 
この主役の方、マイケル・J・フォックスに似てるやん、と思って見てまし
たが、10年ちょい前の2014年の『コーヒーをめぐる冒険』で観た方。ワタシ
は他の出演作は観てないはず。結構あるんやね。