休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

いずみシンフォニエッタ大阪 定期演奏会

3週間以上前のコンサートの感想です。

 

20260211(演奏会)

いずみシンフォニエッタ大阪

   第55回定期演奏会

(1)P・オリヴェロス:THE WELL AND THE GENTLE
(2)川島 素晴:ピチェクラリン讃歌
(3)西村 朗:オルゴン 室内オーケストラのための
 ―休憩―
(4)M・フェルドマン:マダム・プレスは先週90歳で亡くなった
(5)渡邊 翔太:朧げな風景の中で Ⅰ(公募作品/世界初演)
(6)藤倉 大:箏協奏曲
 
  飯森 範親指揮/いずみシンフォニエッタ大阪  片岡リサ(箏)
  2026年2月11日/住友生命いずみホール

去年7月は熱中症でダウンしたため、買っていたチケットを使えずじまい。
これは自分としてはたいそう珍しい事件でした。内容は前音楽監督西村朗さ
んの追悼の意味合いが濃いプログラム。
で、今回のが藤倉大さんが音楽監督として実質的に最初のプログラム。
1年ぶりのISOです。藤倉さんはスコットランドで自作のオペラの仕事が
あって、いたはらへんのですって・・・(藤倉は大阪出身)
 
(1)オリヴェロス(1932-2016)はアメリカの女性作曲家。
The Well (1982)とThe Gentle(1983)は別の曲で、それを切れ目なく繋い
であるそうな。例えばThe Wellはある旋法に基づいて7音が選ばれて即興の
指示を受けるんだが、5つの言葉が星形に置かれて、まあそこからどこへ向
かって行くのか、即興が始められる。The Gentleのほうも7音が別の旋法の
もと選ばれ、今度はリズムのパターンが規定された上で即興へ。
図形譜みたいなものなんでしょうか。
いやいや、どちらも文章で指示がなされているとか。もっとも、あまり即興
感はなかったし、尖った感じもなかった。偶然性の産物らしいのに、結構音
楽的に感じました。
楽器は10人ぐらいだったか。ただ、何かの楽器の代わりか、箏(後半の藤
倉作品でソロを取る片岡リサ)が使われて、フィットしている気がしました。
 
(2)川島素晴はこのオケのアドバイザー作曲家なんで、ちょくちょく演奏
される。今回も遊び感覚の曲で、メシアンの有名曲「世の終わりのための四
重奏曲」へのオマージュ風な曲らしい。同じ楽器構成で、その楽器名(ピアノ・
チェロ・クラリネット・ヴァイオリン)の一部を繋げたちょっとふざけたタイトル。同曲の
楽章にも対応し、様々なリズムパターンや作曲技法を工夫したという。その
辺はワタシにわかるはずもないけれど、明るく楽しい四重奏でした。正直メ
シアンはまったく感じなかったな。
 
(1)(2)は指揮者なしなので、出番なし。飯森さんはプレトークでは当然

出てこられたんだが、普段着というか、燕尾服ではなかった。例えて言うな

ら、どこかヤクザのオニイサン・・・

 
(3)故西村朗のこの曲は指揮者も実演したことがないそうな。
オルゴンというのは、あるユダヤ人精神医学者の発見による性エネルギー、
生命エネルギーのことで、つまるところ「自然界のオルガスムスの音写」な
んだとさ。てことはエロティシズムとも関係ある? 間違いなく、あるよう
に思いましたね。指揮者は傑作だと断言していましたが、考えるまでもなく、
なかなかの際物でしょう。
そして、はっきり言って、今日の6作品では頭抜けてインパクトがありまし
た。規模も大きかったしね。ピアノの低弦叩きのサウンドもリズムもグッド。
2拍子・3拍子・3拍子がその順序をどんどん変えながら進んでいくという
のも、考えてみればなかなかエロっぽい。最後のオルガスムスもね。
ただし、合計は8拍子なんだが、2・3・3がどんどん順序が変わってゆくも
のだから、指揮者は指揮なんぞしてられない、気が狂う。そこで、計8拍な
ら4拍でも合うから、4で振っちゃえ!となったんだって。なるほど。
その昔、ストラヴィンスキーがさ、自作「春の祭典」なんてぇのを指揮する
時、自分じゃちゃんと振れないもんだから、大雑把な拍子で振ってた、なん
て話を聞いたことがありましたっけ。連想しました。
 
(4)フェルドマンは、いつまでたっても終わらない、なんていう奇妙な音楽
で知られかたですよね。なんだったかピアノの単調にしか聞こえないものを
聴いたことがあるぐらいです。(俳優のオリヴァー・プラットに似ている)
これは「ソミ♭―」というフルートの音型を一貫して鳴らし続け、そこに他
の楽器が響きを重ねる。フェルドマンとしては異例な作品なんだって。ただ
し指示は何もない。つまりダイナミクスなし、伸び縮みなし、ただ優しく…
本当に追悼の音楽として書かれたとある。のっぺりと優しい音楽で、5‐6分
しかなかったのじゃないか。ワタシ、気に入った。
 
(5)公募作品。作曲者は観客の中にいて、若!!! 明らかに20代やね。
山梨や富士五湖あたりでのうすぼんやりした風景からのインスピレーション
だそうな。「朧げへの好み」だからね、インパクトはやや弱かった。
ヴィオラ・フルート・クラリネットという三重奏。リズムらしいものはなく、
ぼんやり淡い音楽で、それがなかなか素敵でした。10分ちょいぐらいだっ
たかな。なかったかも。珍しいことだけれど、演奏が難しいため、三重奏な
のに飯森が自ら言い出して、指揮をしたそうな。三人の前にドンと座ってね。
飯森自身もこんな指揮は初体験だったって。
 
(6)藤倉音楽監督の箏協奏曲・・・
去年の始めだったか、三味線協奏曲を聴いて、正直面白くなかったのです。
でもその後、このオケの音楽監督になるというんで、CDを1枚聴き、「伝記」
を読んだりもしたわけですが、さすがに三味線よりはずっとよかったですよ。
箏は音がちゃんと響くからね、三味線のような違和感は全くなかった。
でも・・・実は音楽にはあまり魅力を感じなかった。ちょっと残念。
伝統奏法はちゃんと研究されたそうだけれど、そっちの問題じゃない感じだ
った。箏の演奏技術は大変なもののようでしたけどね。その辺が外国では受
けたのかもしれない。でもこれぐらいだと東洋趣味レベルで、これでは日本
人には多分受けにくいというか、物足りないと思う。
伝記には書かれていたような記憶があるから、最近の作品ではないでしょう
ね。今ならもっと面白く書けるんじゃないか。なんてね、ゴメンナサイ。
 
関係ない話・・・ 箏の片岡リサさんは大阪音大を出た後、阪大の大学院に
籍をおいて研究した由。リサの横文字はLisaとなっている。エリザベス
かいな。芸名なんやね。
 
いろんな編成の盛りだくさんなプログラム。楽しみました。
もうちょっと「尖った」曲も聴きたい気がしたのは、わがままかもしれない
んだけれど、本心です。はい、できるだけ墓場近くまで、楽しむべし。
 
次回は7月11日、予定されているプログラムは・・・
 ①リゲティ:100台のメトロノームのための交響詩
 ②P・エトヴェシュ:リゲティ牧歌(日本初演)
 ③R・ワーグナー:ジークフリート牧歌
 ④V・アザラシヴィリ:チェロ協奏曲
 ⑤グバイドゥーリナ:音楽の玩具箱(2024室内管弦楽版/日本初演)
①はひょっとして、舞台に100台のメトロノームを置くヤツ? あの楽器のな
いやつかいな。メトロノームを1台づつ鳴らし始め、100台まで増えると
壮観!点々だったものがものすごく分厚い音の塊にまで成長する。で、分か
りますよね、今度は減衰してゆくわけです。けったいな試み。だいたいこれ、
メトロノームだけで、楽器はない、操作員がいるだけ。これを音楽(会)だ
と言えるかどうかもよくわからない。CDで聴いたことはあるけど・・・ 
ホンマニこれやるんやったら、、、チャレンジングではあるね。ハハハ。
②は藤倉さんの自伝に何度も出てきた作曲家。③なんでワーグナーなん?
なにか工夫/細工があるのかな。⑤は去年亡くなったからでしょうか。
現時点では、②④⑤に期待