休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ホラー小説『火喰鳥を、喰う』

20260312(了)
原 浩/『火喰鳥を、喰う』
 始まる日/二日目/三日目/四日目/五日目/六日目/七日目/八日目
 /最期の日 
 解説 杉江松恋
 2022年11月/小説(ホラー)/KADOKAWA/単行本2020年12月/娘から
 <★★★★>

ワタシ(雄司)の伯祖父が終戦の数日前にニューギニアで死ぬ。
あまりに生への執着が強いもんだから、怨念のようなものが付けていた日記
に宿ったみたいな感じ。死ぬ直前の関心事というか出来事が、ジャングルを

逃げ回って常に空腹だったことから、火喰鳥をなんとか捕まえて食うこと。

ちょっと単純化しすぎかもしれませんが・・・
 
始まりの始まりは墓石から伯祖父貞市の名が削り取られる事件。ゾワ。
その後、貞市の付けていた日記がひょんな経緯から日本に戻る。
その日記の開陳に立ち会った人々に、不思議なことが起き始める。妻の弟の
様子がヘン。戦友の死が混乱・・・。別の次元というか、別の隣り合った世
界とでもいうものが、禍々しい事象を伴って、開き始める。
雄司はそうした事象に関連している(読者にそう思わせる)らしき、おぞま
しい悪夢を見るようになる。ゾワゾワ。
妻の特殊な能力が露見したり、同じような能力を持った妻の元カレがちょく
ちょく現れるようになったり、祖父が失踪したり・・・
どうも裏には、貞市がいるような雰囲気。本の表紙のような鳥(これが火喰
鳥のイメージなの?)も出てきそう。ヒェー! (オーバーか)
 
かなりテクニカルながら強引な気もする。「怖いぞ怖いぞ」の世界に引きず
り込もうとする小説ですな。娘が去年、おいて行った本のうちの一冊です。
こういうゾワゾワっとさせるものが好きらしい。(いい歳して、は余計か)
ていうと、なんだぁ、カミサンと同じような趣味があるんじゃないか。やれ
やれ、母娘だの。今頃気が付いてどうすんねん・・・
 
皆が狂ったようになってゆくのも、「違った世界」が接触、交差してどちらが
正しいのかわからなくなる状況も、映像的で手が込んでいて面白いですね。
一応主人公たる雄司(ほとんど一人称)にも、当初から何かがまとわりつい
ているように読ませる表現が多いので、きっとそれも回収されるんだろうな、
などと思いながら、読み進めることになりました。(結果、まさにそこがキモ)
 
なんたって、今は読むのはたいてい寝る前なんで、ちょっと読んでは寝てし
まう。いくらコワイところでも、さっと切って、コロッと眠ってしまう。夢
は見てないと思います。(夢は見ますが、こんなんじゃない)で、次に読み始
めると訳が分からなくなっていて(ま、いつものことです)、元に戻るのに結
構苦労するのです・・・
 
でもでも、厄介な作りのお話でしたねー。
途中までは、なんとなく見えていた気になっていたんですが、見えては壊さ
れ、見えては壊されで、訳が分からなくなってきて、どういう世界になった
らおしまいなんだろうと思っていたら、いろんな「次元」や「現実っぽいも
の」が、周到にある時間軸で括られようとする、みたいな感じでしょうか。
第二次世界大戦末期から端を発するのですが、それがホラーっぽい幻想譚と
なってサークル風に今に至るなんて。当然ミステリーでもあるんで、具体的
には書けませんけどね。
面白かったですよ。でもね、ワタシにはもういいかな、こういうのは。