休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ジミー・レイニー 4クラシック・アルバムズ プラス

20240810(メモ了)

JIMMY RANEY

     Four Classic Albums Plus

   CD2枚組/ジャズ/Ⓟⓒ 2012AVID Entertainment/中古

<CD1>77:50
(1)JIMMY RANEY A (①-⑫)
   ホール・オーヴァートン(p)、テディ・コティック(b)、アート・マーディガン(ds)①-④
   ジョン・ウィルソン(tp)⑤-⑫、ニック・スタビュラス(ds)⑤-⑫
   録音:1954年2月3月5月、Hackensack

(2)JIMMY RANEY 

     FEATURING BOB BROOKMEYER(⑬-⑲)

   ボブ・ブルックマイヤー(vtb)、テディ・コティック(b)、オシー・ジョンソン(ds)
   ディック・カッツ(p)⑬⑭⑰⑱、ハンク・ジョーンズ(p)⑮⑯⑲&CD2①
   録音:1956年7月

  

<CD2>79:46

(2)JIMMY RANEY 

     FEATURING BOB BROOKMEYER(①)

(3)JIMMY RANEY VISITS PARIS(②-⑬)
   ボビー・ジャスパー(ts)、Roger Guerin(tp)、Maurice Vandair(p)
   Jean-Marier Ingrand(p)、Jean Louis Viale(ds)
   録音:1954年2月、Paris

(4)JIMMY RANEY PLAYS

     FEATURING STAN GETZ(⑭-⑰)

   スタン・ゲッツ(ts)、ホール・オーヴァートン(p)、レッド・ミッチェル(b)
   フランク・イソーラ(ds)
   録音:1953年4月、NY
(5)IN THREE ATTITUDE(⑱)
   ホール・オーヴァートン(p)、レッド・ミッチェル(b)、オシー・ジョンソン(ds)

  

 

クラシック音楽を主に聴く人間ではありますが、ここに収められているジャズは

すでにモダン・ジャズで、ほぼ70年前、たかだか70年前の録音であり音楽で

す。

 
ギタリスト・ジミー・レイニーの4つのアルバムを聴きながら思ったのは、ジャ
ズには高校生の時にコルトレーンの「マイ・フェイヴァリット・シングズ」に出
逢って以来、ポツリポツリと接してきて、もう60年近いんだなあという感慨。
いくらか前衛っぽいものにもチャレンジしましたが、どうもここんとこは粋なも
の、軽いもの、くつろいだもの、ラテンの匂うものなどに嗜好の傾向が向かって
しまうようです。
死ぬときまで音楽を聴いているのか、なんていう話とは違うのですが、でもたぶ
ん、生きる気力や年齢や肉体とは関係があるんでしょう。
 
そんなことで、ジミー・レイニー。正直ほとんど知りませんでしたが、まさに上
記のような嗜好の範疇に入っていて、出来のいいアルバムが揃っていました。
地味には聞えるものの、十分に長いフレーズでもってスムーズに歌う音楽の流れ
に、テクニックが用いられているのが、非常にすばらしい。
鑑賞記としてはそんなものなのですが、、、ちょろっとはメモってみます。
 

(1) このアルバムでいっぺんに好きになりましたね。

前半がギター+ピアノ・トリオ。後半はそれにトランペットが加わる。前半のほ

うがよかった。面白かったのは、レイニーのギタ—だけでなく、もう一本ギター
が聞こえたこと。例えばピアニストがギターも弾いたりしたとか。英語のライナ
ーではわからなかった。
後半もそんなに悪くないんだが、トランペットの出来(技量)が今ひとつだった
のが惜しい。                        <★★★☆>
 

(2)「featuring BOB BROOKMEYER」

ジャズ・ミュージックを評価、表現するときによく用いる「グルーヴィー」だと

か「アーシー」だとか「ファンキー」なんて言葉がありまして、それぞれの定義
なんてものは、書いてあるがよくわからない。レイニーやブルックマイヤーは白
人ではあるけれど、それらの言葉は、黒人ぽさ、ブルースっぽさでもって、非常
に素敵なものをさす。それらに強引に「洗練」も加えたようなのが、ワタシの
「グルーヴィー」感で(正しくないはず)、それがこのアルバムに当てはまる感
じです。そんなエエカゲンなことなんですがね、このアルバムも、ちょっとほめ
過ぎかもしれないが、なかなかいけてます。

ブルックマイヤーが吹くバルブ・トロンボーンというのがよくわからなくて、調
べてみました。やっとわかりました。要は、スライドしないトロンボーンにトラ
ンペットのようにピストンが3つばかりついているんだ・・・ クラシックの太
管によく用いられるそう。見たことない。ジャズに多い細管でもあることはある
そうな。ブルックマイヤーはそのバルブ付きを使っていて、だからあんなに小回
りが利く感じのトロンボーンだったんだね。ひょっとすると重たい?
最後の曲だけがCD2にまたがって入っているが、なんと、このバラードが、妙な
ことに実にヨロシイ。ハンク・ジョーンズのピアノもブルックマイヤーも絶品じ
ゃないかしらん。                      <★★★☆>

 

 groovy ;ジャズミュージシャンの間で使われていたスラングで、「素敵 
     な・格好いい」という意味を持つ形容詞
     (拍子抜けするような曖昧な言葉なんだ)
 earthy ; 黒人的で、ブルースのニュアンスの強い演奏のこと。 音楽的
            な構造や、譜面に起こせるようなはっきりとしたアーティキュレーシ
            ョンというよりは、ビブラートやフレージングの間合いなど微妙なニ
     ュアンスに表われる独特の「泥臭さ」を指すことが多い
 funky ; ジャズやソウルなどの音楽で、泥くさく粘りつくような感覚。ま
     た、その演奏やそのさま(groovyとは範囲が違うわけだ)

 

(3)JIMMY RANEY VISITS PARIS

前回聴いたジャズ、スート・シムズのセットものでは、パリ録音のものは出来が

がいまいちだったので、ちょっと心配しましたが、杞憂でしたね。②をはじめ、
ところどころでフランス人の好みを考慮したようなバロック趣味(例えばカノン)
やメロディアスな演奏があり、スタンダードナンバーの比率も多かったけれど、
基本的には阿った感じはほとんどなくいつも通り、というふうで、(1)と遜色
ない出来だった気がします。ジャスパーのテナーは流暢だし、フランス人プレイ   
ヤーも達者。                        <★★★△>
 

(4)JIMMY RANEY PLAYS

レイニーも含めたリズムセクションの勢いというか、生きの良さというか、その

へんが(3)とは明らかに違っていて、やっぱり自国の雰囲気という感じ。
スタン・ゲッツのテナーも文句なし。(ジャケットではゲッツの名はスヴェン・
クールソンなんてスウェーデン人みたいな名になっている)
録音がこの4枚のアルバムの中ではもっとも古く、十分聴けるけれど、若干音が
つぶれるところがあるのは惜しいが、それよりなにより、このアルバムにはたっ
た4曲しか入っていないことになっている。21分ちょい。収録時間の問題でこ
この4曲以外は削って、調整のために別のアルバム「In Three Attitudes」から1
曲入れた構成になっている。しかもその別のアルバムについては、演奏者の名前
しか書いていない。乱暴な話だ。
古いがレイニーもゲッツもいい演奏であるだけに、惜しい。   <★★★☆>
 

(5)IN THREE ATTITUDE から「Indian Summer」

その穴埋め的な一曲。歌うギターとピアノ・トリオ、言ってみりゃあリズム・セ

クションだけの演奏。そのリズムセクションだけのものと、別のソリスト二人の
合わせて「三つ」の形態というだけ。アルバムは56年、NYで形態別の録音。
むしろ(3)のかわりにこのアルバムだったらもっと良かったろうに、なんてね。                   <★★★☆>
 
タイプが違うギタリスト、ケニー・バレルのリ-ダーアルバム7枚分を集めたも
のをちょっと前に、引っ張り出して鳴らしていましたが、リズムセクションの立
場に徹しがちで地味なもので、やはりワタシは、1フレーズ毎が長く、ちゃんと
(!)歌うレイニーのほうが、ギターを聴くにはずっとよかったと思う。好みの問
題ではありますが。この2枚組には構成上の問題はあったにもかかわらず、魅力
は十分伝わりました。もっと早くに知っておればよかった。

 

いっぺんでアップするには長すぎましたね。ご容赦。