| 20220114(了) |
宇佐美りん/『推し、燃ゆ』
| 2021年3月号 文藝春秋/小説/中古 |
| <★★☆> |

| あかりという17か18の女子高生で、バイトをして一応独立をしようというふ |
| りをしているのは、立派な親の手前であって、どんなことにも意欲がない、 |
| 何かしてみたいというものもない。劣等感に鬱屈した、自分というつまらな |
| い生き物に飽き飽きした感覚で日々を過ごしている。 |
| ただ一つ、8歳ほど年上の男性アイドルを推すこと(応援すること)だけが |
| 生きがい。日常に立ち向かう「すべ」のすべて。それを彼女は「背骨」に例 |
| える。その行為のためにしか自分は存在しない、意味がないと感じていると |
| いうのね。 |
| ものすごくありふれた、あきれるほどのわかりやすさ。 |
| 話はこのアイドルがファンを殴ってしまうという事件が起きたあたりから始 |
| まり、あかりの心の動きやうじうじした考え方、ついでに日常、が開陳され |
| 続ける。 |
| このアイドル自身にも当然周りの目や説明責任などが求められるというのが |
| 世の常なものだから、たいへんなのだが、不思議と彼女には事件の理由は深 |
| 掘りの対象ではないようで、応援は引き続きなかなか行動的。 |
| もっとも、「推し」に対しては、愛しているとかいう感じではないみたい。 |
| セックスや自慰の対象でもない。 |
| なのに、すべての思索が、この「推し」を「推す」という行為を正当化する |
| こと、そういう行為自体に寄り添うこと、に捧げられていて、いっかな発展 |
| しようとしない。 |
| 炎上は「推し」のアイドルとしての最後も予測させ、あかりの「推し」は終 |
| 焉を迎えてしまうはず。もちろんその先はわからないが、そこが何らかの切 |
| 替ポイントになりそう。もっとも、そこでお話は終ってしまって、あとは読 |
| 者まかせ。そこまでで十分でしょ?と言わんばかり。 |
| そうそう、このアイドルがファンを殴った事情はついにわからないままにな |
| っちゃった。あかりの推理はあったけど・・・ |
| この中編を最後まで読ませてくれるのは、間違いなく文章力。 |
| 選者の評はダラダラっとななめに読んだものがいくつか。文章力のことはか |
| なり多かった印象ですね。中身の世界に新しさはないんだけれど「なにはな |
| くとも文章力でしょう」って感じ。 |
| ワタシの「ああ、勘弁してくれ!」という気持ちはどうしようもなかったけ |
| れど、そのうちに(≒恐いもの見たさの感覚の間に)読了してしまった。 |
| やれやれ、やられた、読まされちゃったよ・・・ |
| 「この世界の住人」にこの文章は紡ぎだせるんやろかと思わせる・・・その |
| ニュアンスやら関係性やらが文学なのかもね。 |
| 2021年で最も読まれた小説なんだそうな。( ・・・ ) |
| ほぼ間違いなく苦手な世界のお話だろうと思っていた小説を、まあどうせ短 |
| いだろうと予想して、ただ同然の雑誌を手に取ってみました。 |
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(本編と選評の一部以外の記事は読んでません・・・ こんな大部なもの、 |
| 全部に目を通す人なんているんだろうか。新聞と同じで、隅から隅までなん |
| て無理だろうなぁ。この雑誌だと、芥川賞受賞作を云々したり載せたりする |
| のが、きっと大きな売りの一つなんだろうね。雑誌は色々だけど、もう、な |
| んだか苦しそうです・・・ ) |
| よく観られた、よく読まれた、ってのが続きました。 |