休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

佐藤雅美/『へこたれない人』 物書同心居眠り紋蔵

20201107(了)

佐藤雅美/『へこたれない人』

         物書同心居眠り紋蔵

   (目次)
  音羽者の知恵

   へこたれない人

  夢見る夢之介
  牛込原町名主支配離れ願い一件始末

   へこたれない人 (その二)

  帰ってきた都かへり
  青菜に塩の冷汗三斗
  それぞれの思いやり
 
   2013年1月/単行本/講談社/歴史小説//中古
   <★★★☆>

f:id:kikuy1113:20201117235634j:plain

一年少し前に亡くなって、朝日の死亡記事がちいさいなぁと感じたのを
覚えています。
 
ナルコレプシーは依然ある。面倒なことをうまく収める重宝な同心とし
て、上から、同僚から、うまく使われているけれど、本人はそんな自分
の位置には満足しているようで、心が騒ぐようなことはない。子供達も
大きくなって、精神状態はいいとさえ言えそう。
そんなところへ変わった同心が二人、書き加えられてゆく。その一人が
「へこたれない人」こと、山本庄蔵。
2篇の主要人物をつとめ、ほかでも名が出てきたりする。
同心を務めつつも、周旋、斡旋ごとが何より好きで、なにかと後者へ入
り込んでしまう奇妙なキャラ。
それが職務中に本職以外の余技でルール違反を犯してしまい、とうとう
役人を馘になる。それどころか、たいそうヤバいことになりそうになる
が、なんとかこっぴどい罰を逃れる運があり、同じ町で動き回れること
になる。不思議に軽みのある雰囲気のストーリーである。紋蔵もしっか

り絡む。

そのお話のおしまいのところが、こう。

f:id:kikuy1113:20201117235747j:plain

 

その二は、もう役人ではなくなっているのに、さも役人であるかのように、
庄蔵が番所の中に入り込んで、そこで周旋・斡旋の仕事をこなしたりした
ことから、話がややこしくなって事件が起きてしまうというような。だん
だんとシヴィアな話になり、紋蔵や彼の「息子」も絡んでくる。
その話の出だしのところをパチリ。

f:id:kikuy1113:20201118000124j:plain

以下は、やがて起きた事件の簡単な総括を紋蔵がし、そして予想

してみせるところ。

f:id:kikuy1113:20201118000426j:plainf:id:kikuy1113:20201118000456j:plain

紋蔵、ちゃんと居眠りしている。

新展開は良いとしても、なんとなく地味になりましたね。
理屈がよくわからないようなお話もありました。
でも、御番所なんかの雰囲気はよくわかるし、舟をこぐ紋蔵や中間管理
職や同僚、友人、親戚たちも生き生き描かれている。

 

ワタシはシリーズ5つほどの内、知っているキャラは三つほど。その中
でもこの紋蔵さんのキャラが気に入って、時たま読んできました。出来
ればおしまいまで読みたいと思っています。

 

f:id:kikuy1113:20201118002909j:plain

佐江衆一さんの死亡記事が載った。小さいもんです。それなりに

売れた方で、これも寂しい・・・ 直木賞を受けていた佐藤雅美

さんも、まあこんなふうでした。