休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『Mr.ノーバディ』

20220301(了)

映画『Mr.ノーバディ』

  イリア・ナイシュラー監督//ボブ・オデンカーク/コニー・ニールセン/RZA/
  クリストファー・ロイド/マイケル・アイアンサイド
  2020年製作/92分/PG12/アメリカ/原題:Nobody/DVDレンタル
  <★★★☆>

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この主役のオッサン、どっかで見たなあと思いながら観ていました。
思い出した・・・
TVシリーズブレイキング・バッド」(09~13)の弁護士・・・そうそう、
ヘンなキャラが印象的でした。主役をなにかと助けることになってしまう、
日和見、軽薄で小ずるいヤツだが、憎めないキャラ。
眉を顰めつつ観てしまう面白いドラマで、NHKじゃ絶対放映出来ない。
化学の先生が麻薬を作って売りさばくに当たってのあれこれから、目をそ
らせない。元気のある方にはお薦め・・・
さて、
 
<映画.com>解説から; 一見してごく普通の中年男が、世の中の理不尽に
怒りを爆発させて大暴れし、やがて武装集団やマフィアを相手に激しい戦
いを繰り広げる姿を描いた痛快ハードボイルドアクション。・・・ 郊外
にある自宅と職場の金型工場を路線バスで往復するだけの単調な毎日を送
っているハッチは、地味な見た目で目立った特徴もなく、仕事は過小評価
され、家庭では妻に距離を置かれて息子から尊敬されることもない。世間
から見ればどこにでもいる、ごく普通の男だった。そんなハッチの家にあ
る日、強盗が押し入る。暴力を恐れたハッチは反撃することもできず、そ
のことで家族からさらに失望されてしまう。あまりの理不尽さに怒りが沸
沸とわいていくハッチは、路線バスで出会ったチンピラたちの挑発が引き
金となり、ついに堪忍袋の緒が切れる・・・
 
この解説、少しずれているかなぁ。わざとかもしれんが。
「世の中の理不尽に怒りを爆発させて」というのとはちょっと違う。しか
も、まさにその点がこの映画の面白さなんじゃないかしらん。マイケル・
ダグラスが、普通の男として理不尽さにぶっ切れてしまう作品を随分前に
観た記憶がありますが、それとは明らかに違う。
この男には裏というか、過去があって、その時のこととは完全に縁を切っ
た暮らしをしているらしい。それはすぐわかります。だからこのタイトル。
どう見ても筋肉マンじゃないし上背だってないし、強面でもない。なんて
ことのない人間になっている。その平凡さをけっこう長く見せる。2週間
分ぐらいだったよなと、観ているものに勘定させちゃう。

妻や子供から失望を持って見られるというのは確かにそうで、いかにもつ

らそう・・・

でも実は、その理由というのが・・・
とはいえ、決して新しい話じゃ全然なくて、この図式のストーリーの映画
って、ずいぶんたくさん観てきてます。
そんじゃ、詰まらなかったろう、と言われると、そうでもなくてね、面白
かったです。殆ど楽しい。ワタシ、鬱屈しているのかしらん・・・ ホント
はそこんところを掘らないといけないのかもしれませんが、でもねぇ、

「そこ」を掘り出せたら、映画なんてそんなに観なくてもいいことになっ

ちゃうかも。(上手く書けませんが)

 
マイケル・アイアンサイド(かなり太って見まがうジジイ)やクリストフ

ァー・ロイド(痩せた認知症寸前のジジイ)が随分お年寄りになってしま

いました。

バーブラ・ストライザンド/リリース・ミー

20220222(了)

STREISAND/Release Me

①BEING GOOD ISN'T GOOD ENOUGH(From HALLELUJAH,BABY)
  (ジュール・スタイン/ベティ・コムデン/アドルフ・グリーン) 録音:1985年8月
②DIDN'T WE
  (ジム・ウェッブ) 録音:1970年3月
③WILLOW WEEP FOR ME
  (アン・ロネル) 録音:1967年3月
④TRY TO WIN A FRIEND
  (ラリー・ガトリン) 録音:1977年4月
⑤I THINK IT'S GOING TO RAIN TODAY
  (ランディ・ニューマン) 録音:1970年9月
⑥WITH ONE MORE LOOK AT YOU(From A STAR IS BORN)
  (ポール・ウィリアムズ/ケネス・アッシャー) 録音:1977年2月
⑦LOST IN WONDERLAND
  (アントニオ・カルロス・ジョビン/マーシャル・バーバー) 録音:1968年4月
⑧HOW ARE THINGS IN GLOCCA MORRA?/HEATHER ON THE HILL
  (From FINIAN'S RAINBOW/BRIGADOON)
  (B・レイン/E・Y・ハーバーグ//アラン・J・ラーナー/フレデリック・ロウ) 録音:1988年4月
⑨MOTHER AND CHILD
  (ミシェル・ルグラン/A&M・バーグマン) 録音:1977年4月
⑩IF IT'S MEANT TO BE
  (ブライアン・バーン/A&M・バーグマン) 録音:2011年8月
⑪HOME(From THE WIZ)
  (チャールズ・スモールズ) 録音:2012年5月
 
  バーブラ・ストライザンド(vo.)(1942- )
  CD/ヴォーカル/Ⓟ&ⓒ 2012年 Columbia Records/輸入/中古
  <★★★★☆>

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傑作!
2012年に出てんだ。10年前か。
もう映画にはそんなに出なくなっていたと思うけれど、⑩は2011年録音だし
⑪は2012年録音だから、その頃も歌は出してたんだ。
ともあれ、この11曲は、間違いなくアルバム未収録の音源だよねぇ。
一通り聴いて、あきれた。
これ、みんな没だったの? 信じられない。
まぁ、プロデュースはご本人だけどさ、誰かから、出してみたらぁ?勿体な
いよ、なんて言われたんじゃないだろうか。
 
ワタシとしては、昔っからファンなので、かなり臭くドラマティックに曲を
作ってしまう面でもって、ファンを選ぶところもあると十分わかっていたい
るもんだから、そういう歌い方が集まっているかも、でもそれでも全然かま
わなないと思ってました。
ところが、なんとなんと、むしろ逆といってもいいぐらいだったのです。
いずれの曲も非常に丁寧な曲の解釈で、アレンジも概して落ち着いている。
修飾音は少な目。声だってそう。魅惑の高音の伸びも然り。一体これらの何
が悪くてお蔵入したの・・・と、始めに戻っちまうか。
これもまたよし!

 

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年代の幅は1967年から2012年までと45年間にわたっている。
随分長い間の録音ながら、優劣なんて付けられない。
いずれもすばらしい。しかもみんな聴いたことがないんですよ!
曲個々の紹介はやめておきますが、最初の3曲でかんぜんに捕まれてしまい
ました。ミュージカルの曲っぽい①②、超有名曲をわざと難しい曲にしたよ
うな③。難しいと言えば⑦のジョビンの有名曲の超絶技巧もすごかった!
「どう、ワタシ、上手いでしょ?」と言わんばかり。
気持ちが、「懐かしむ」というんじゃなく、昔にタイムスリップでもしたよ
うな感覚かしらん。
 
録音が終ってOKが出ると、拍手だったり、本人の声やスタッフとのやり取
りが少し聞こえたりしているのもカットせずに残している。もっと入れてほ
しかったぐらいだね。彼女の一言が、やたら芝居っけたっぷりなのもグッド。
 
この第2集ってのが出ているとわかった。
勿論気になります。(へー・・・こっちのほうは評判よくないんだ)

 

以下はライナーに載っていた写真の一部

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  (この写真は、LPのアルバムで見たように思います)

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   (クリス・クリストファーソンとのデュエットもの用の写真でしょうか)

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   (ミシェル・ルグランとのセッションですね、「愛のイェントル」あた

    りのかなぁ。いや、映画のほうでなくアルバム用のもののように思え

    ます。没になった⑨が含まれるセッション。二人の間にいるのが、ア

    ランとマリリン・バーグマンという名作詞作曲のコンビ)

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   (後姿がご本人で、これも見た覚えがあります)

 

映画『スレイヤー 7日間の煉獄』

20220223(了)

映画『スレイヤー 7日間の煉獄』

  ジャステイlン・P・ラング監督//ガイ・ピアーズ/バディール・デルベス
  2020年製作/87分/米映/原題:The Seventh Day/DVDレンタル
  <★★>

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「普通の神父」じゃなく、その中の「エクソシスト」になるのはたいへんで、
教科書やスライドや映像なんかで教えられるようなもんじゃない、悪/EVILと
いうのは極めて狡猾で、予想もしないところに潜んでいる・・・
などと若い神父に、ベテランで変わり者というエクソシストは教える。

エクソシストは数は少ないが、そういう実力のある何人かが少数精鋭ふうに

徒党を形成しているらしい。このへんが新機軸なような感じかな。
 
このベテランエクソシストと、エクソシスト希望の若い神父の二人が、僅か
な練習の後、向かうのは、悪魔に憑かれてしまった12歳ぐらいの少年のい
るところ。
若い神父は、エクソシストになる気があるんだかないんだかよくわからない、
気弱な面をやたら見せる。彼をベテランエクソシストが教え、鼓舞するとい
うのが流れで、少年のところに着く。
少年は施設にいる。家族を皆殺しにしてしまったからだ・・・
少年を調べ始める。
あくまでも新人エクソシストに対処させるというスタイルで、憑いた悪魔を
呼び出してはビビる、撃退される、を繰り返しながら調べを進める。
 
で、はじめに触れた「徒党」って? 一体どうなっていくの。
 
こういう映画、必ずつくられるんですねぇ。
あのチューブラーベルズの音楽と共にわくわくして観た『エクソシスト』が
下敷きになっていてやや現代的にアレンジされているけれど、衝撃的第一作
の猛烈な大騒ぎと言っていいほどの外連はなく、新人エクソシストが成長す
るかどうかを見せるのが趣向という感じでした。
これだと続きものにならないと、解決の程度も、悪魔の意図もよくわからな
いと言えそうな気がしました。
ホントのところは(お金をかけて)もっとド派手にやりたかったのかもね。

武満 徹/『弧』 のことなど

20220305(メモ了)

武満 徹/『弧』第一部 &映画音楽

 

下の武満徹の記事に反応して・・・ +α

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音楽鑑賞記というほどのものではありません。
ちょうどこの記事を切り抜いたころ、カミサンがテレビで心中天網島
いうのを観たと言っていたのです。(なんと懐かしい!)
映画自体のことをなんと言っていたかは忘れたが、音楽のほうはホラーっぽ
くて面白かったとかなんとか。
これ、武満の音楽だったのはちゃんと覚えてます。
それより、カミサンが武満の音楽に反応したのが珍しいし、なんとその頃切
り抜いたのが武満の曲のコンサートの記事という偶然も珍しかった。

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   ビクターの音源を使ってタワーレコードが企画したシリーズやったん

   やね。こういう帯も妙に懐かしい

 

そんなことで、記事で触れている『弧(アーク)』を探し出して2-3度、車
の中でかけてみました。記事のコンサートは全曲らしく、演奏が難しいとか。
こっちのCDは「第1部」だけ。
全曲、聴きたいと思ったけれど、これしか持ってません。
「アーク」自体はあまり印象の強い曲じゃなかったのですが、久しぶりの武満、
他のもっと知られた3曲のほうも含めて、皆素敵でしたね。
 
ところで映画音楽も多かった武満なので、時々は手に入れたりしてきましたが、
カミサンの観た『心中天網島』ともうひとつ『いのちぼうにふろう』は、共に
学生時代に観て、映画自体も面白かったんだけれど、音楽がさらにインパク
がありましてね、いつか聴いてみようなんて思ったんでした。
オッサンになってから武満の音楽はいろいろ手に入れて聴きましたが、これら
はいまだに手に入れられずに、いつの間にかこっちはジジイになっちゃった。
二つの映画音楽は、思い立って探したことは複数回あります。
武満は亡くなり、このCDの指揮をしている岩城宏之も亡くなってしまった。
 
 このCDの「アーク」第1部の録音は、作曲されたてのほやほやの曲だっ
 たんだ。
 
ま、それだけのメモです。
 
大阪でのコンサートだったら、行こうかどうしようかって、ちょっと悩んだ
でしょうね。

 

 

(ついでに)20220312

もはやカリスマ的になったロシアの指揮者ワレリー・ゲルギエフの記事が、2

度続けて新聞に載りました。

一つは、首席だったミュンヘン・フィルを下されたという小さい記事。(3/8

頃)もう一つは「ロシアの音楽家 政治とのはざまで/指揮者ゲルギエフ氏 国外

の職を続々降板」と題された長い読み物(3/11)。

この方はプーチンの特命を受けて、へこんでいたロシアのクラシック音楽界を、

マイリンスキー歌劇場を皮切りに立ち直らせたことで世界中から褒め称えられた

が、今は、プーチンに近い人物であって、当然のように外され続けている。

しかしこれらの記事のどこにも、ゲルギエフのコメントも意思表示もない。なに

も語っていないようです。

 

更に、今日3/12の記事(多事奏論というよく見るコラム)からは、、、

音楽自体も外されて、プログラム変更になっているらしい。例えばチャイコフス

キーの「序曲  1812年」なんて・・・ ああ、なるほどね、ロシアでナポレ

オンが痛い目に遭わされた話を題材にしたものだもんなぁ。フランス、あるいは

西側からすれば、一種の敵性音楽・・・

音楽(文化)に対して修正を強要するソ連政府に、音楽の中でいろんな手管を使

ってかなり抵抗したショスタコーヴィチなんかはどうなんだろう、、、

ま、まだ語れる時期じゃないか・・・

 

  (毎日暗い気持ちで眺める新聞・・・ なんとなんと、間抜けもいいとこ。

   武満の音楽会、ゲルギエフを中心にした長い記事、そしてすぐ上の多事

   奏論は、3つともすべて同じ方の書かれたものでした。)

 

ドビュッシー・ラヴェル 管弦楽作品集/ジャン・マルティノン 8-3&8-4

20220123&0130(了)

DEBUSSYRAVEL ORCHESTRAL WORKS

  /JEAN MARTINON 8CD 3&4/8

 

【Disc3】ドビュッシー管弦楽曲全集3 (72:52)

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 子供の領分(orch.:A・Caplet) 2:40/3:57/2:46/2:57/2:46/2:49
 組曲(orch.:アンリ・ビュッセル) 4:06/3:17/3:01/3:10
 神聖な舞曲と世俗的な舞曲<1904> 4:39/4:36
    ハープ:マリー・クレール・ジャメ
 おもちゃ箱(バレエ、<1920>orch.:A・Caplet)13:08/9:16/6:20/2:56
                             <★★★★>

 

【Disc4】ドビュッシー管弦楽曲全集4 (74:52)

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 ピアノと管弦楽のための幻想曲 ①8:03 ②8:30 ③7:20
    ピアノ:アルド・チッコリーニ          <★★★☆>
 レントよりおそく ④6:00
    ツィンバロン:ジョン・リーチ           <★★★△>
 クラリネット管弦楽のための狂詩曲<1909-10> ⑤8:11
    クラリネット:Guy Dangain             <★★★☆>

 サクソフォーンと管弦楽のための狂詩曲

   (orch.:L・ロジェ=デュカス<1901-08>)⑥10:02 

    サキソフォン:Jean-Marie Londeix          <★★★☆>
 カンマ(orch.:シャルル・ケクラン<1912/1913>) ⑦20:24
    ピアノ:Fabienne Boury             <★★★★>
 ダンス;タランテラ(orch.:ラヴェル) ⑧5:44
                           <★★★☆>
  ジャン・マルティノン指揮
  フランス国立放送管弦楽団
  録音;1973年、パリ、Salle Wagram
  CD/クラシック/管弦楽/8枚組/Ⓟ1974・1975 EMI ⓒ2012 Warner Music Group
  /輸入/中古

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【Disc3】ドビュッシー管弦楽曲全集3

「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」以外は自身でないオーケストラ編曲もの。
こういう集め方って、ちょっと面白いですよね。
例えば「聖セバスチャンの殉教」とか「ペレアスとメリザンド」から何か選
ぶとかしなかったんだ。徹底して歌なしったら歌なし。
子供の領分
 1.「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」 2:40  2.「象の子守歌」 3:57 
 3.「人形へのセレナード」 2:46  4..「雪は踊っている」 2:57
 5.「小さな羊飼い」 2:46  6.「ゴリウォーグのケークウォーク」 2:49
いろんなものにも用いられたりしている超有名なピアノ組曲が、そっくりそ
のままオーケストレーションされていて、ほんとに上手い!カプレというか
たは最後の「おもちゃ箱」でも見事なんだけれど、「子供の領分」だって負
けてない。ここでのマルティノンの指揮もきっといいんだろう。コミカルな
「6」以外の慈しみがいずれも最高。 ついでに言わせていただけるなら、オ
リジナルのピアノにだって負けてないみたい。
カプレさんはドビュッシーの友人で、いくつかのオーケストレーションの手
助けをしているほか、自身も優れた作曲家だったというのはいくらかわかる
気がする。残念ながら早逝してしまったそうな。何か聴いてみたい気がする。
冨田勲は「月の光」というアルバムで、4と6をシンセでやってましたっけ。
組曲
オリジナルのピアノ連弾よりこっちのオケ版のほうがビュッセルの名と共に
よっぽど有名なんじゃなかと思うが、そうでもないんだろうか。
い素敵なんだけど、ちょっと聴きすぎてきたかな。ビュッセルさんには失礼

ながら、カプレさんならどんなオーケストレーションをしただろうかと、思

わぬでもない。

神聖な舞曲と世俗的な舞曲
これは大好きな曲で、これもいささか聴きすぎているから、あまり言うよう
なことはありませんね。まああえて言うとすると、どちらの舞曲もちょっと
モノトーンというか、もうちょっと色彩を感じるゆっくりめの演奏(録音)
を知っていて、それと比べてしまいます。(え―、この先、ラヴェルを聴く
ときに似たような感想を書きつけるかもしれません)
おもちゃ箱
若い時にちょっと聴いたぐらいなので、実に新鮮。時々記憶のあるメロディ
が出て来ます。
ピアノ版ができた後、共同でオーケストレーションにかかっていたが、ドビ
ュッシーが亡くなってしまったので、あとはカプレがかなり遅れて完成させ
た。ただバレエとしての完成はできたとは言い難いみたい。
ピアノがふんだんに入っていて、本来ならピアノ入りは普通あまり好きでは
ないんだけれど、これは「ペトルーシュカ」みたいで悪くないですねぇ。と
いうか、ひょっとすると「ペトルーシュカ」の影響もあるかも。総じて本家
ドビュッシーよりかなりカラフルんじゃないかしらん。
 
思った以上にいい一枚になっていました。

 

【Disc4】ドビュッシー管弦楽曲全集4 

見過ごされがちなドビュッシーの一面が集められています。

ピアノと管弦楽のための幻想曲

(ed.Andre Jouve

「編集者」の意味の名前が載ってます。編集じゃなきゃ何?編曲?

多分初めて聴きます。いい曲ですね。①ではフランクの一派のサウンド
たいなのも聴かれるけれど、本家の音もする。②の緩徐楽章は聴きいっち
ゃう。「月の光」のような雰囲気。③は①の調子に戻る感じ、かな。

ちょっと個性不足は否めないが、、、いわば「ドビュッシーのピアノ協奏

曲」やね。

レントよりおそく
ドビュッシーのワルツ!聴いたことはあるけれど、、、独立した曲なのね。
オリジナルがピアノ版とオケ版の両方。他にヴァイオリンとピアノ版、ピ

アノ連弾などにアレンジもされている。で、なんでツィンバロンと弦楽合

奏のヴァージョンがここに? 

一聴、美しく気取っている。鼻歌っぽくていい。
クラリネット管弦楽のための狂詩曲
オーケストラ部分がとてもチャーミング。それもいい音で録られているこ
ともあって、聴き映えがしました。
サクソフォーンと管弦楽のための狂詩曲
上記クラリネットと同様にわりとよく知られた曲。軽い曲かもしれないけ
れど、オーケストレーション、いいですよね。ただまあ、ドビュッシー
身じゃないというう感じのところは色々あります。でももうこの曲なんか、
普通にドビュッシーの曲として『小組曲』みたいに演奏されているから、

なんだかんだ言っても始まらない。マルティノンさんも真面目に付き合っ

てる。

カンマ
1幕3場のバレエ音楽としてピアノ版はできたが、オーケストレーション
のことで依頼者と意見が合わず、少しだけオーケストラパートが残され、
放置された。それをもとにケクランが完成したという。20分もある作品。
どういうきっかけがあったのだろう。好きなケクランなんだもの、とつ

い期待してしまうが、聴いたことないどころか、タイトルも知りません

でした。どんな出来なんだろう・・・

「エジプトの伝説的な踊り子カンマが、敵に包囲された都市を救済する
ために償いの踊りをして、生け贄となった人々を救う」といった内容。
一聴、エキゾティシズムは少なかったですね。踊りはちょっと色気のあ
るもののようだけれど、どうもここにはドビュッシーがあまり多くいま
せん。むしろケクランがしっかりいる感じ。そのあたりが人気や評価の
分かれ目になっているのかもしれない。ドビュッシーよりカラフルだよ
ね。騒ぐところは少なく、スペクタクルはそうない。おしまいのほうで

少し盛り上がり、そこらへんには異国趣味、エスニック風味もあります

ね。そういうお話なんでしょう、静かなエンディングもグッド。

ワタシが気になりそうなピアノのサウンドもうまく取り入れていて、実
にいい雰囲気でした。
間違いなく4枚目の目玉! ケクラン色が強いとは思いますが、こりゃも

っと聴かれていい曲じゃないですかねぇ。これ、ワタシは時々聴きたく

なりそう。

ダンス;タランテラ
これも知らないです。
天才ラヴェルとしては、やっつけ仕事かもしれないが、見事な色付け。
しゃきっとして、みずみずしいセロリーの噛みごたえみたい・・・なん
てね。ドビュッシー自身のオーケストレーションだと、もちろんこうは
ならなかったんじゃないかしらん。
 
3枚目、4枚目なんて、作曲者自身のオーケストレーションでないもの

が多いものだから、それほど重要視されてこなかったであろう作品が集

められてます。

でもね、前向きな表現をするなら、オーケストレーターの競演、饗宴と
も言える。しかも、ビュッセルやカプレの見事な仕事ももちろんいいの
だが、4枚目にはねぇ、なんと、ワタシの愛するラヴェルとケクランの
オーケストレーションが並んでいるのです。ま、ラヴェルのものは小品

過ぎるのが残念だけどね。今さらだけれど、例の『展覧会の絵』ほどの

大作が聴いてみたかった・・・

 
そしてマルティノンさんは曲の出来を信じ、軽んじることなく一から楽
譜を読み込んでやってみましたというふう。それは1枚目2枚目も同じ
だったように思います。
ワタシの感じかたが少し変わったというところもきっとあるとはいえ、

なるほどの高い世評。手垢の少ない古びにくい演奏になっていたんじゃ

ないでしょうか。

この一種の爽やかさとでもいうものが、次のラヴェルではどう出るのか。
 
去年の年末近くから聴き始めたセットもの、ここらでちょっと休憩。

『このミス 2022年版』

20220224(了)

このミステリーがすごい!

                                        2022年版』

  2021年12月17日/宝島社

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加藤シゲアキ米澤穂信、佐藤究ら、直木賞作家やその候補になった話題
の方などのインタヴューが豪華。(表紙には佐藤究の名がない、、、かな
りギリギリやったんやろね)
 
毎年一回、目を通している雑誌です。略して『このミス』。
中の作品たって、もうほとんど読まなくなっているんですが、つい。
この雑誌は1988年に出版され始めた。ワタシは91年から読み始めました。
当初から書評を載せている人がまだいますね。みんなジジババになっちま
っているんだよな・・・
 
10位以内に限らず、中に面白そうなものはいくつもありましたよ。
でもまぁ、この雑誌に目を通すのは年中行事で、やっと果たせました。

 

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朝日新聞の金曜の夕刊に、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』の新訳が掲
載されてきました。それがこの2月18日に終了。84回の連載でした。
一応全部読み、全部残し、袋に詰め込んでおきました。
第1部と第2部ぐらいしか記憶になく、第3部と第4部は新鮮でしたね。
約300年前のこの(文明)批評精神旺盛な作品には、わかりやすい注釈
もふられていて役に立ちました.。
始めはくすくす笑えるところが多かったが、第4部ともなると、原作者も
相当おかしくなっていたのか、それともこれも批評精神の表われなのか、
ガリヴァーはフウイヌムという馬の世界の価値観に染まってしまい、シン
ドイ精神状態で終わって、人間社会に復帰適応できるんだろうかと思わせ
るなんざ、特異なエンディングだという気がしました。
2/25には翻訳の後記として、訳者大森望さんが締めていましたが、その大
森さん、忙しいでしょうに、しっかりミステリーも読まれたようで、『こ

のミス』の選者の中にはちゃんと名前がありました。

 

1年半以上もほぼ毎週のように読み続けた『ガリヴァー旅行記』の読書感

想文としては、ちょっと寂しすぎだよね・・・

ツェムリンスキー/オーケストラと合唱の作品集  2-2

20220201(了)

ZEMLINSKY;

  CORAL AND ORCHESTRAL WORKS

  /CONLON  2/2

(Disc2) 77:15

(3)付随音楽『シンベリン』組曲/(1913-15)17:16
  ①4:46 ②3:57 ③1:18 ④3:57 ⑤3:16         <★★★★>
(4)『春の埋葬』(1896-97,1903)/24:17
  ⑥4:17 ⑦2:39 ⑧4:01 ⑨2:22 ⑩3:04 ⑪1:50 ⑫6:03<★★★△>
(5)舞踏詩『ガラスの心臓』(1901-04)/35:21
  ⑬7:31 ⑭7:26 ⑮3:20 ⑯17:03              <★★★△>

 

  ジェイムズ・コンロン指揮/ケルン・ギュルツェニヒ弦楽団
  (3)デイヴィッド・キューブラー(テノール)
  (4)デボラ・ヴォイト(ソプラノ)、ドニー・レイ・アルバート(バリトン)
    デュッセルドルフ市楽友協会合唱団
  録音;(1)(2)1995、(3)(5)1997、(4)live 1996/i以上ケルン
  CD/クラシック/管弦楽+合唱/Ⓟ&ⓒ 2002 EMI(現ワーナーM)/中古

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Alexander von ZEMLINSKY(1871-1942)

(Disc2)

(3)付随音楽『シンベリン』組曲

シェイクスピアの戯曲「シンベリン』(「喜劇」もしくは「問題劇」)をもとに
したもの。ストーリーはブリテンの王と、王の望まない結婚をしようとする娘と
その恋人の話をベースにした実にややっこしいもの。(CD1の『人魚姫』もそう
いや、かなりメンドクサイ話でしたっけ。オペラもヘンなのあったなぁ、そうい
う題材、好きだったのかもね、)
「人魚姫」のようなファンタジーではないものの、とてもかっこのいいスタート
の①。マーラーの方向ではないが、含みを感じるしんねりした雰囲気の②。短い
ヴァイオリンに誘い出されるようにテノールが歌いだす③、、、歌は個々だけ。
たった1分ちょいだけど、うんとマーラーっぽい。仄暗い(とても好きな)雰囲
気の楽曲④で、次への重要なつなぎという感じのゆっくりした行進曲。最後⑤は、
ファンファーレが鳴ってからは、どこか説明的な進み方で、いかにもエピローグ。

 

(4)『春の埋葬』

詳しくは 『ソプラノ、バリトン混声合唱管弦楽のためのパウル・ハイゼの詩
によるカンタータ《春の埋葬 (Frühlingsbegräbnis)》(1896年/97年、1903年改訂)。
ワタシは歌や合唱よりは、活躍する木管オーボエクラリネット、ホルンなど
のニュアンスが素敵だったというぐらいでした。まあ、ロマン派の音楽です。詩
の中身は知りませんが、騒がしくない美しく奥ゆかしい音楽です。抵抗感など殆
んどないのですが、多分これから是非とも聴きたいと思くことはないでしょうね。

 

(5)舞踏詩『ガラスの心臓』

ホーフマンスタールの台本による舞踏詩(Das gläserne Herz)。
脆く傷つきやすい心、ちょっとしたことで機嫌や心証が損なわれてしまうような
気難しさを持つ人を扱って、 綺麗で繊細だが取り扱いには注意を要する、という
ニュアンスを残す話なんでしょう。物語は見つけられなかった。
(4)同様で、このころは(1)のようにうまくゆくものもあったが、(2)や(3)
のような独自色を常に発揮できるところまではいかなかったものと思われます。
それでも、最後の⑯などは、とても充実したものでした。
特色としては、ドイツ系ではあるものの、(4)にしてもこの(5)にしても、ウ
ィーン情緒や、北欧・東欧の香りなんかが嗅ぎ取れる気がするところなんか、そ
うかもしれません。
舞踏詩というのだから、一種バレエのようなものだったのでしょうか。

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コンロン/ケルン・ギュルツェニヒ管はたいそう充実していて、このオーケスト
ラル・サウンドのレベルはたいへんな高みに達していたんじゃないでしょうか。
いくつかのオペラとともに、ワタシには(1)(2)(3)はエヴァーグリーンです
ね。いまいちピンとこないのが最も有名な『叙情交響曲』。なんでなんだろう。
また聴き直してみよう。
それにしても、新聞で関西で開かれるオーケストラのコンサートの宣伝はチラチ
ラ見るものの、ツェムリンスキーの名はとんと見かけません。残念なことです。