休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

「兵士の物語」「プルチネルラ」(組曲)

アンセルメストラヴィンスキー全集 2 <3-1>

  ERNEST ANSERMET EDITION - STRAVINSKY(1882-1971)
●CD 5
 (9)組曲「兵士の物語」(1920) ①-⑨ 24:50
    ヴァイオリン、コントラバス、クラリネット、バスーン、トランペット、トロンボーン、打楽器
    <★★★☆>
 (10)組曲「プルチネルラ」(1922) ⑩-⑳ 22:04
    <★★★△>
   エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
   録音;ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
   (9)1961年5月 (10)1956年4月 
   1994年/CD4枚組/管弦楽/ポリドール/邦盤/(Decca/London)中古

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さて、仕切り直し・・・

 

●CD5

(9)組曲「兵士の物語」

解説では1918年の作曲となっていて、初演の指揮はこのアンセルメ
これはG・クレーメルの鋭い演奏で馴染んだので、アンセルメの演奏は、いわば
ロマンティックとさえ言えそう。とはいえそこは、ドイツ音楽系の伝統なんても
のには拘らない、「ご破算で願いましては」ふうに音楽に当たるタイプの巨匠、
ちゃんとドライで案外粗野な感じもある。そして不思議なペーソスが漂う。
楽器は6つといろんな打楽器。7人なのかな。
ヴァイオリンのソロが目立つので、思い出した。スイスロマンド管のコンサート
マスターに、その後ベルリン・フィルに移ったミシェル・シュヴァルベが在籍し
ていたんじゃなかったでしたっけ。これがそうかどうかは知りませんが。
へんてこりんなお話・・・
 
  休暇をもらった1人の兵士が出てくると、故郷の村へ帰って行く。川っぷち
 でヴァイオリンを弾いていると、老人に身をやつした悪魔が現れ、ヴァイオリ
 ンと引き替えに魔法の本をくれる。悪魔の家でうかうかと3年過ごし、兵士が
 故郷に帰ってみると、許嫁はとっくに結婚しているし、すっかり村の様子も変
 わっている。魔法の本で大成功を博したが、兵士の心は安まらず、放浪の
 旅へ出る。ある王宮で王女が病気にかかっているのを癒そうとしていると、
 悪魔が現れる。兵士はカードに勝ち、悪魔からヴァイオリンを取りあげる。兵
 士が楽しい曲の数々を弾くと王女は快癒し、二人は抱擁する。やがて故郷が
 恋しくなった兵士が国境を一歩出ると悪魔が現れ、兵士をさらって行く・・・
 
ワタシはこんなポンポコ、ドンドコ系の奇妙な曲でも、職場のCDプレーヤーで、
音を小さくしてかけたりしています。音が小さいから職場の方もあまり抵抗を
示さない。それをいいことに色々かけてます。ま、なにか鳴ってるなぁという程
度ですけどね。
色々のうちではストラヴィンスキーの小編成のものは、本当はけっこう「危険」
です。まあこんなヘンテコリンなものは一生聴くこともないような音楽というか
たが多いでしょうからね。ヴォリュームは絶対に上げない・・・
 
(俳優を使った録音を思い出し、聴いてみることにしました。)
兵士をスティング、悪魔をヴァネッサ・レッドグレイヴ、語りをイアン・マッケ
ラン。ロンドン・シンフォニエッタケント・ナガノ指揮(1988年、パンゲア/ソニー)
これもすごかった!極上のオケに支えられたラジオドラマみたい。レッドグレイ
ヴもマッケランも八面六臂、声の演技猛烈!ナガノのバックアップは、ビューテ
ィフル・・・案外アンセルメと似ていた気がする。
これは普通のCDとは言えないわけだけれど、今回聴いても、いやー、非常に楽し
く引き込まれましたねぇ。こう楽しんじゃあ、運転アブナイ・・・
ついでだと、更にロバート・クラフト盤(こっちはオケのみの組曲)も聴いてみま
した。そっけなくってね、ザッハリッヒ。当然運転は全く大丈夫。でもなかなかど
うして聴きごたえがありました。これも行き方・・・

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ワタシには名曲です。
そう、度々やるわけじゃないけれど、、、こうした比較も気が乗った時には、や
ってみてもいいもんです。
結果長くなりました。でもね、鑑賞記っぽくなりました。

 

(10) 組曲「プルチネルラ」

全曲版は1963年録音なのに対し、これは1956年。全曲版と同じ編成なのだから、
さすがに音質の古さはよくわかる。響きがこもって薄い感じ。演奏はそう遜色な
いんだろうけどね。全曲版の抜粋的な感じだから、聴くなら奇妙な歌が入っても
全曲版がいいなあ。バレエには拘らないが・・・
手近にあったブーレーズ盤(エラートの全曲版、1980年頃の録音)をちょっと・・・
 
久々のブーレーズ盤・・・
ズバリ言って、ブーレーズ盤はおっそろしいぐらい完璧です。歌も含め。圧倒的。
時間が演奏を練り上げてしまったってこともあるでしょうが、ブーレーズの才能
なんでしょう。これと比べては皆色褪せちまう。今でもそうじゃないかな。
あえて言うなら、キツイ。厳しすぎて重い。気楽には聴けないほどになってしま
った。カップリングの一つ『うぐいすの歌』もこれまたスゴイ。だから、その点、
アンセルメ盤はそんなことはない。誤解を恐れずに言えば、音楽がずっと緩い。
逆に落ち着ける。バレエを楽しめるゾ、ブーレーズ盤じゃそうはいかない・・・ 
こんな表現でいいかしらん。
 

「兵士の物語」に字数をついやしすぎました。

                              ~20210307

『ターミネーター ニュー・フェイト』

20210310(了)

映画『ターミネーター ニュー・フェイト』

 
  監督;ティム・ミラー//リンダ・ハミルトン/アーノルド・シュワルツェネッガー/
         マッケンジー・デイヴィス/ナタリア・レイエス/ガブリエル・ルナ
  音楽;トム・ホルケンボルフ(ジャンキー・XL)
  2019年製作/129分/PG12/アメリカ/原題:Terminator::Dark Fate
  配給:ディズニー/DVDレンタル

   <★★☆>

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           (この大きいほうは、大半がメカなのです)

 

<映画.com>解説から;・・・シリーズ通算6作目で、キャメロンが直接手が
け、名作として人気の高い「ターミネーター2」の正当な続編として描かれる
・・・ 人類滅亡の日である「審判の日」は回避されたが、まだ危機は去って
いなかった。メキシコシティで父と弟とごく普通の生活を送っていた21歳の
女性ダニーのもとに、未来から最新型ターミネーター「REV-9」が現れ、彼
女の命を狙う。一方、同じく未来からやってきたという女性戦士グレースが、
ダニーを守るためにREV-9と壮絶な戦いを繰り広げる。何度倒しても立ち上が
ってくるREV-9にダニーとグレースは追いつめられるが、そこへ、かつて人類
を滅亡の未来から救ったサラ・コナーが現れる・・・

 

 

上の解説を読む限りでは、なるほど続きっぽいですね。でも観てみて書いてお
こうと思えることは、ほとんどなかったです。
『T2』は1991年でしたか。ということは28年も前なんだなぁ。ウチの子ど
もたちも何度かづつ観てるよ、たしか。
これを観た人は猛烈に多いと思いますが、今回の「ニュー・フェイト」のほう
を観た方はかなり少ないでしょう・・・。知りません、想像です。
 
さてさて、どう書いておけばいいものか・・・「新しい運命、あるいは破滅」。
例えば「T2」を・・・“二重にした”、というようなイメージですかねぇ。
ジャッジメント・デイまで、収斂させながら、何度でも作れます、理屈では。
サラ・コナー(ハミルトン)が老けて出てくるのは納得できるのですが、『T2』
のおしまいに、溶鉱炉でもって溶け去ったはずのサイバーダイン社の・・・型
ターミネーター(ロボット/シュワルツェネッガー)も髭を蓄え髪も白くなった老け
姿。しかも人間というものの認識を深め、学習した状態で登場する。
ものすごく悟っているのにも、家族を持っている(!)のにも仰天・・・
 
音楽担当は見たことがある名前です。「アリータ バトルエンジェル」がそ
うでした。印象には残らなかった。
ここでは、元のブラッド・フィーデルのスコアの音色を変えてみたという感
じです。

「オリエント急行殺人事件」「遥か群衆を離れて」「レディ・カロライン」

20210301(了)

THE FILM MUSIC of Sir RICHARD RODNEY BENNET(1936-2012)

R・R・ベネット : 映画音楽集

オリエント急行殺人事件 11:18
    1974年/英・米/S・ルメット//アルバート・フィニー//アガサ・クリスティ
「遥か群衆を離れて」 15:28
    1967年/英・米/J・シュレジンジャー//J・クリスティ//トマス・ハーディ
③④「レディ・カロライン」 17:43
   Elegy for Viola and Orchestra
   Ⅰ. Molto vivo- Lento- Alla marcia- Lento 8:03
   Ⅱ. Marstoso-Andante con moto-Poco agitato-Alla breve 9:39
    1973年/英/ロバート・ボルト//サラ・マイルズ/ジョン・フィンチ
夜はやさし/ニコルのテーマ 2:04(premiere recording)
    1985年/米?/?監督//メアリー・スティーンバージェン
「魅せられて四月」 19:20
    1992年/英/マイク・ニューウェル//ミランダ・リチャードソン//エリザベス・フォン・アーニム

フォー・ウェディング(4つの結婚式と1つの葬式)

   /愛の場面 3:27

    1994年/英/マイク・ニューウェル//ヒュー・グラント/アンディ・マクダウェル
 
  ラモン・ガンバ指揮/BBCフィルハーモニー管弦楽団
  録音;2000年1月&7月、英、マンチェスター Tot.69:45
  CD/Ⓟ&ⓒ 2000 Chandos/映画音楽/輸入盤/中古
  <★★★★△>

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①②と⑦は映画を観た人も多いでしょう。というかワタシはその3つしか知り
ません。①以外は勿論例によって、映画は忘却の果て。音楽のほうも、いさ
さかなりとも覚えていそうなのはやはり①のみという感じ・・・
 
さて①「オリエント急行殺人事件」。
恥ずかしながら、もううっすらとしか覚えていないはずだと思ったら、そもそ
も覚えているつもりの音楽とまるで違ってました。
出だしからこんなにわくわくさせる音楽(これ、最高!)が鳴っていたなんて、
全く思わなかったのです、かなりクラシカルだね、嬉しいことに。
だいたいがねぇ、ダンス音楽でできていて、始めがワルツ、そのあとが2拍
子の普通のダンス音楽、そのあとがタンゴ。繋ぎにもワルツ(だけじゃない
けれど)を使ったりしている。でもともあれ、特に出だしのワルツがすごくゾ
クゾクさせてくれました。R・シュトラウスの「ばらの騎士」だとかラヴェル
の「ラ・ヴァルス」だとか・・・いろいろ連想しちゃう。列車まで思い浮かべ
てしまうのは、やっぱり映画の影響かなぁ。
11分ちょいが騒ぎ立てることなくなかなか充実していて、こんなにしっとり
品よく美しかったのね。驚いた! もっと早く聴いてりゃよかった。
 
②「遥か群衆を離れて」。J・クリスティやT・スタンプよりアラン・ベイツ
覚えているといった記憶しかないつもりだったのですが、なんと、こっちの音
楽は覚えてました。しかもすばらしい。Chandosの録音もいいのだろうが、な
んとも繊細かつ華麗なオーケストレーションにほとんど感激。ここまで素敵な
ら、覚えていても不思議じゃない・・・なんてね、そんなことはないでしょう、
どうせ後になって何度か聴いてたんやろな。
15分半でも足りない感じ・・・もっと長く聴きたいですね。陳腐だけど、文学
の味わいとでも言いますかね。
イギリスのクラシック系の作曲家には好きな方が多いんですが、またまた一人
増えました。
ところで、映画音楽のサイトの主さん、この映画のサントラを扱っていなかっ
た。なんでなのかなぁ。ほとんど信じられない。正直言って「オリエント急行
より傑作じゃないかしらん。考えられる理由としては、CD化されていないから
か。あるいは使いまわしか、真似か・・・
鼻歌に出来る、実に美しいメロディライン等で活躍するソロ楽器は、オーボエ
とたぶんイングリッシュホルン
考えすぎかもしれないが、こんなに素敵な音楽に支えられる映画だったんだよ
な・・・
 
③④「レディ・カロライン」; 「ヴィオラ管弦楽のためのエレジー」という
サブタイトルがある通りで、ヴィオラの協奏的作品としてプログラムに乗っけ
ても受けそう。
②があまりに素敵なので、この「レディ・カロライン」はちょっと割を食った
感じ。文学的な波乱万丈を思わせる、とてもロマンティシズムあふれる音楽。

それは特に③で、①や②のようなキラキラ感のあるオーケストレーションもあ

る。

④はLove Theme的な始まり。メロディがなかなかいい。③にはないテーマが
その後も色々流れるので、やはり波乱万丈なんでしょうね。近ごろのまとまっ
たメロディやテーマらしいものを作らない映画音楽の傾向からすると、古臭い
し、手間もタイヘンなんじゃないかという気がします。
 
⑤「夜はやさし」は、タイトルからして知りません。
リズムセクションがついた、とてもオシャレな楽曲。40年代、50年代とい
ったところの表現でしょうか。間違いなく素敵なんだけれど、1テーマ、2分
だけじゃあ、なんとも言えない・・・
 
⑥「魅せられて四月」も知りませんが、このCDでは最も長い時間を割いてい
るので、力作なんだろう。感覚としては「レディ・カロライン」と似た傾向の
音楽のよう。でもはっきり違っている点は、オンド・マルトノを使っているこ
と。シンセかコンピュータを使っているのかと思いきや、奏者名が載せてある

ので、実際に使っているんだ。でもどうもオンド・マルトノだけじゃないと思

う。

ほかにもオーボエ、ヴァイオリン、チェロなどがソロを取る。なんといっても
オンド・マルトノの特色は際立っている。でもね、少し慣れてくるちと、オー
ボエのソロのほうが正直なところ優れている気がする。(映画の中身はあえて
見ないでおきます) いやぁ、でも②③④の波乱万丈の感じがないだけで、音
色もメロディも、他に負けないぐらい美しいです。
 
⑦「フォー・ウェディング」;これも⑤と同じで、一つのテーマだけ。「愛の
場面」なんて書いてあるとおり、とてもロマンティックで美しいけれど、それ
だけじゃあ、言えることはほとんどない。甘ったるくて美しい・・・それだけ。
 
 
でもね、短い⑤と⑦以外はしっかり組曲ふうに繋いだものだったようで、ベネ
ットの魅力は余すところなく表現されていたんじゃないでしょうか。現代音楽
というものじゃなく、古風でロマンチックなクラシック系の音楽の系譜といっ
ていいでしょうが、キラキラ感たっぷりの魅惑のオーケストラル・サウンド

極み。その手が好きな方には大推薦のアルバムです。勿論ワタシも気に入りま

した。

特に①②③④は比類なき傑作だと思います。
 
ちょっと長くなってしまいました。
ベネットに興味が向いたのが遅かったようです。
今回は、録音や演奏はよくても、いわばサンプラー
始めの三つなんざ、もっとたっぷり聴きたいもんです。こんないい音で聴いて
しまっちゃ、サントラはきっと聴き劣りするでしょうけどね。もっとも、幸か
不幸かよさそうな作品は高いか手に入りにくいようです。クラシック系の作品
が2枚、同じChandosから出ているので、いつか手に入れてみたいですね。

 

※付録

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       (犬の散歩中・・・すごい赤、紅、なのでパチリ。)

『シェイクスピアの庭』

20210306(了)

映画『シェイクスピアの庭』

 
  製作・監督・主演;ケネス・ブラナー//ジュディ・デンチ/イアン・マッケラン/

               キャスリーン・ワイルダー/リディア・ウィルソン

  音楽;パトリック・ドイル

  2018年製作/101分/G/イギリス/原題:All Is True/DVDレンタル
  <★★★★>

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引退後のシェイクスピアは、あまりよくわかっているわけではなさそうだけ
れど、といっても、ある程度はわかっていて、それを膨らませたんでしょう。
盛りだくさんながら、わかりやすくまとめてあって、楽しかったですね。
 
ロンドンの劇場で同業者をしり目に大成功し、49歳で引退。広い屋敷と庭。
庭の一角を早逝した息子(ハムネット)のための庭に自分で作り直し始めるんだ
けど、気付けば、それまでなおざりにしていた家族とその周りは、遺産の相
続をはじめとして、もめごとだらけ。
息子への断ちがたい思いを通奏低音(実はミステリー含み)としつつ、様々
なことに、再認識と懺悔をする羽目になります。
不倫ぽい状態の長女(スザンナ)、鬱屈しているらしいひどく嫌味な次女(ジュ
ディス)、一見物分かりはいいがどこか冷たく、これも鬱屈しているらしい年
上の妻(アンナ/ジュディ・デンチが絶品というか、堂々としている)。
成功者に対し様々言い寄ってくる人たち、妬み嫉みをぶつけ続ける人達。
例えば、14歳で学校をやめ、旅行すらしていないのに、なんで人生や世界
がそんなふうに分かるのだ、とか・・・
それについちゃあ、いい答えが用意されるんですけどね、断筆の理由はよく
わかりませんでした。
本人としては、当時の教養としてのギリシャ語なんてものは話せなかったが、
足りないもの、必要なものは、自分の中にあるものから想像、再構成すると
いうことで、実力でもって這い上がったという認識を語っている。
 
いろんな話がどうなってゆくのか気になる中で、一つだけポツンと独立した
エピソードとして、初期のパトロンで、どうもいろいろとあったらしい大立
サウサンプトン伯(I・マッケラン)が立ち寄って、シェイクスピアと二人だけ
で会話を交わす。意味深なシーンという扱い。観ちゃったから、もうこれが
ないと寂しいものの、ちょっと浮き気味だったかな。
そのサウサンプトン伯には、脱落してしまった競争者たちには得られなかっ
シェイクスピアの成功の形を、「金」と「紋章」(大事だったよう)と
「家」、そしてとりわけ「詩」だと言わせていました。
 
息子に関するミステリーなんて書きましたが、そうややっこしい話ではない
とはいえ、ここに書くわけにはゆきません。
最後の映像は麗しい終わりかたになり、「言葉」で締めました。すごくいい
エンディングだったもんだから、印象が大分上がりましたね。
 
屋敷と庭がなんとも見栄えがしました。さすがイギリスという感じ。
音楽は名手パトリック・ドイル。久しぶりに聴きました。抵抗感があるとか

いうんじゃありませんが、残念ながらあまり印象に残るものではありません

でした。

 
 (シェイクスピアは、ゴルフは知っていたはずで、かなりの確率で、プレ
  ーをしただろうと言われています。単なる連想です。同窓会ゴルフが来
  月あると案内が来ました。また珍しいことにその翌月、パートの職場関
  係でも話が来まして、出費がきついですが、練習しないといけません、
  もうちょっと暖かくなってほしい。)

ケクラン/バスーンのための作品集

20210223(了)

シャルル・ケクラン/バスーンのための作品集

    Charles Koechlin(1867-1950)/Works for Bassoon
(1)喜劇の影 Op.193 36:22
  ①-⑫ バスーンとオーケストラのための12片
(2)3つの小品 Op.34 9:48
  ⑬-⑮
(3)ファゴットソナタ Op.71 10:45
  ⑯-⑱
 
  エッカルト・ヒュープナー(バスーン)
  (1)南西ドイツ放送交響楽団/ローラント・バーデル(指揮)
  (2)(3)インゲ=ズーザン・レームヒルト(ピアノ)
  録音:(1)1995年4月、(2)(3)1996年1月
               /南西ドイツ放送、ハンス・ロスバウト・スタジオ 57:54
  Ⓟ1998年/CD//協奏曲&室内楽/cpo/輸入盤/中古
  <★★★★△>

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ハイ、またケクラン。
 
(1) 決まった一つのコメディからの「印象」なのか、いくつか複数のコメデ
ィから受けた印象の集積なのか、よくはわかりませんが、可笑しみやペーソス
といった言葉の語彙や語感で捉えたに違いない音楽が12も並んでいる。
さほど大きくないらしいオーケストラで、深く、且つふんわりと、バスーン
包み込んで、そのセンスが、いかにもケクランらしい。いい言葉が見つからな
いのはいつものことで、精妙且つ幻想的。しかもコメディに寄り添っている。
と、こんな言葉じゃなにを言っていることにもならない。
 
一つ連想したのは、描いている世界は随分違うものの、似通ったサウンドのよ
うに思えたものは、ケクラン事始めの曲。まあこれは交響詩集なので、そのど
れだとは言いにくいのだが、『ジャングルブック』です。
・・・ワタシの持っているこの曲のCDは、今となってはやや不満の残る演奏
で、もう少し精度の高いアンサンブルの演奏で聴き直してみたいという気がし
ています。そう拘ることもないんだけど。
ケクランのオケを伴う曲の生演奏なんてプログラム、見たことがない。望めな
いのかねぇ・・・、ワタクシメの好みって、そんなにマイナーなものなのかし
らん、ちょっと悲しくなる。
 
(2) これは(1)と(3)の間にあって、いかにも地味。そしてケクランです
から、滋味・・・ 4:20,2:42.3:08といたって短い。レントの⑬はゆ
ったりとした沈んだ感じの景色、でしょうか。⑭は讃美歌風なアンダンテ。讃
美歌にしてはほんのり色っぽいか。ワタシ、めちゃめちゃ好きな音色。⑮はや
や気持ちの高ぶったアンダンテ。しまいにゃむっつり押し黙ってしまうけれど。
 
(3)は(2)較べれば、長さは似たようなものでも、しゃきっとして、随分構
えが違う。
これはフランスのバスーン(バソン/ファゴット)作品集というCDでもって聴いたこ
とがあって、実はそのCD、このケクランを聴きたいがために手に入れたもの。
Chandosで録音もよかったが、そのバスーンの音色がものすごくよかった。え
らく艶っぽくてね。で、それがフランスのファゴット、つまりバソンの音色な
んだったら少し話が違うかもなあとは思っていたのです。
フランスのバソンは今の普通のファゴットとは仕組みが違い、操作が難しく、
しかも音も小さいという。(2017年6月26日にアップしてました。探すのにち
ょっと手間取りました。)
今回の「バスーン」を聴いていると、どうもこっちこそが「バソン」なんじゃ
ないか。少々くすんだ感じで地味・・・ どうだったんでしょう、よくはわか

りません。なんとか比較対照するものがあったからこそのコメントになりまし

た。

でも、音は地味でも、曲はやっぱり良かったですね。もう少し「狂ったら」、
大好きなラヴェルにも通じる。
こんな、ピアノ伴奏のバスーンファゴット)が素敵だと書くなんて、、、

10数年前には考えられなかった。上記アルバム時にも同じことを書いたかも

しれない。

 
ほぼハズレのないケクラン、今回も(もう驚かないけれど)大満足。

 



『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』

20210226(了)

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』

  シュリラーム・ラガバン監督//アーシュマーン・クラーナー/タブー/
                     ラーディカー・アープテー
  2018年製作/138分/G/インド/原題:Andhadhun/DVDレンタル
  <★★★>

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   (器類の整然もカレンダーっぽいのもヘンなのに、なかなかぼろを出さない!)

 

<映画.com>解説から; 盲目を装っているピアニストが殺人事件を目撃してしま
ったことをきっかけに、クセの強い登場人物たちが繰り広げる裏切りや騙しあい
を描いたインド製のクライムコメディ。本当は目が見えるが、芸術のために盲目
で通しているピアニストのアーカーシュは、ある日、大スターのプラモードから
演奏を依頼され、彼の豪邸を訪ねる。しかし、そこでプラモードの妻シミーが、
不倫相手と結託してプラモードを殺害している現場を目撃してしまう。死体も犯
人も見えないフリでその場を切り抜けたアーカーシュだったが、駆け込んだ警察

の署長こそ、現場にいた犯人だった。そこからアーカーシュの災難はさらに続き

・・・。

 
コメディのジャンル。
でも、サブタイトルがなきゃ、大分イメージが違うなぁ。
 
始めは盲目だと思い込んで観てましたが、あれ?なんだぁ、食えない奴!とわ
かります。棚やテーブルの上などのものがやたらときちんと並んでいたりするの
で、ちょっと引っかかりはしたのです。
しかしそれが、解説にあるように縛りになって、アレアレ・・・と軽い笑いを誘
う。偽盲目のぼろを出さない表現はけっこうオモロイ。
でも、人が死ぬ雰囲気じゃないところ、いきなり事件が起きてビックリさせられ
る。それだけならどうもなぁ、と思っていると、どんどん妙な方向へ転がってい
き続けて、転がりがいっかな終わらない。
最後は、ストーリーの中で主人公が夢として語っているロンドン(?)まで引っ
張っていく。
こういうスラプスティックもインド映画は得意なんでしょうね。
でも、ちょっと長すぎた気がします。
コメディは難しい。
 
 
関係はありませんが・・・
最近のインドのニュースとして、最もインパクトがあったのは、聴き違いでなけ
れば、トイレを1億何千万器作ると宣言(モディ首相?)して、いくらか進みつ
つあるというもの。
IT大国、核保有国、なのにカーストや差別、そんな中にトイレ事情。古いが文化
・・・不自然に見えるけれど・・・
理解/無理解の壁にたちまちぶち当たるのが、宗教上の「不浄」扱い、だとか、野
外排泄でもって女性が動物や痴漢に襲われるのを、よく赦しておける、だとか。
インドの少なくともトイレ事情はようやく変わりつつあるのかな。
そのトイレ、下水道整備を伴わせるものだけでなく、汚物を使えるものに変えて
利用するという方向性でも進めているとか。

ストラヴィンスキー/プルチネルラ・妖精の口づけ・きつね 他

~20210131

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アンセルメストラヴィンスキー全集 1(3-3)

  ERNEST ANSERMET EDITION - STRAVINSKY(1882-1971)
CD 3
 (5)バレエ音楽「プルチネルラ」全曲(1919-20) ①-⑱
    ソプラノ、テノール、バス
      <★★★★>
 (6)バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」(1928) ⑲-㉘
      <★★★☆>
CD 4
 (7)バレエ音楽「妖精の口づけ」全曲(1928) ①-④
      <★★★☆>
 (8)バレエ音楽「きつね」全曲(歌と踊りによるブルレスケ)(1915-16) ⑤
    テノール2,バス2、ツィンバロム
      <★★★☆>
 
  エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
  録音;ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
  (5)1965年2月 (6)1955年11月 (7)1963年10月11月 (8)1955年11月
  1994年/CD4枚組/管弦楽/ポリドール/邦盤/(Decca/London)中古

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●CD 3
(5)バレエ音楽「プルチネルラ」全曲(1919-20)
普通聴くのが組曲だから、これは長いけれど歌も入って新鮮ですね。ペルゴレー
ジのメロディが手を変え品を変え出てくる、その出方が楽しいし、歌があるため
に、どこかオペラブッファふうだし。
オケの編成は組曲と同じなので、演奏は似たようなものだと思うが、、、サウン
ドがやや柔らかい気がするのは録音のせいか。例によってテンポの変化は少ない
ので、地味な印象を受けた。ひとつ前のバレエ「うぐいすの歌」より管がなお少
ないから、うんと室内楽に、そして「新古典」に近づく。柔らかいと書いたが、
軽みや粋な感じは十分。1965年録音。
生で聴いてみたい曲です。
 
(6)バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」(1928)
弦楽だけの古典的なバレエ音楽で、その楚々とした典雅さがよく出ていて、例え
ばよく聴いたカラヤンベルリン・フィルのぶ厚い後期ロマン派を思わせるサウ
ンドとは、えらい違い。
 
 
●CD 4
(7)このバレエ音楽「妖精の口づけ」(1928)は、案外大編成みたい。たっぷ
り鳴る音は、同年の「ミューズの神を率いるアポロ」以上。
お話はアンデルセンの「氷娘」を脚色したもの。そのままじゃあ、ディズニーは
取り上げないが、弄れば、あるいは・・・ 
ストラヴィンスキーが意外にチャイコフスキーが好きだったということは昔なに
かで読みましたが、これなんかまさにチャイコフスキー愛に満ちたもの。まあも
ともとチャイコフスキーを引用する意図の曲なのかもしれませんが、4つの部分
の内、前3つは、ストラヴィンスキーとしては能うる限りの可愛さやチャーミン
グさを発揮していると思いますね、いくらチャイコフスキーに負っているといっ
ても。もっとも名曲扱いはしてもらえてないんだろうな。40分超の大作。
アンセルメのほうは、けっこう気持ちのこもった演奏を展開している気がします。
1963年録音。
 
(8)上記より10年以上も前のバレエ音楽「きつね」全曲(1915-16)のほう
はぐっと小編成。歌は英語。1955年録音、何度も書くように、優れた録音。
この曲はなぜかよく聴いて印象深い。特によく聴いたのがロバート・クラフト
揮のNAXOS盤で、いささかそっけないが、いいかえればテキパキした演奏。見
通しよくドライで、テンポが速め。十分面白かった。それがこのアンセルメ盤で
録音がいいからかもしれないがカラフルで、音に厚みが、ドラマにふくらみが、
増したよう。客観的にはどっちも行き方で、どちらも好きですね。
こずるい狐が、たくさんの妻を持つとぼけて鷹揚な、そして決して馬鹿でもない
雄鶏をつけ狙う話で、雄鶏は騙されては危機一髪のところで仲間である猫やヤギ
に助けてもらうことを繰り返し、とうとうしまいには雄鶏が食べられてしまうの
かと思いきや、狐のほうが成敗されてしまうという話。民話をもとにして作った
ストラヴィンスキーの半ばオリジナル。

 

 

第一集がこれで終わり。
第二集は「結婚」を除き、バレエ以外の作品。
ちょっと休憩してから、再開しましょう。楽しみです。