休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

町内会役員人事の紛糾

丁寧になると信じてでもいるんだろう、紹介するようなとき、なん

にでも「・・・になります」

イヤな言い方の風潮。
「・・・である」「・・・です」でよいではないか!
だいたい、これ、過去形にできるのか?(理由にならんか・・・)


町内会館の清掃に合わせて、班や町内の役職の決め方を、班として
て話し合いたいというT班長さんの呼び掛けで会が持たれた。
今回、当班から町会長を出さねばならないめぐり合わせで、班長
選出の任に当たったが、選ぶことができず、大弱り状態になったの
が理由と思われる。真面目な方。13人ほど集まって、車座になっ
て・・・。ワタクシメは結局一言もしゃべらず。言いたいことはほ
かの人がみんな言ってくださったから、喋っても同じだったろう。
結論は出なかったものの、状況の報告はやるとのこと。
町会長は誰でもできるというものじゃない。ワタシも10日ほど前
に二度なってくれと言われ固辞した。 

 夫婦そろっていること
  (ともども)退職していること
  年を取り過ぎていないこと(体力?)
  車を持っている(足がある)こと
この辺りが条件なんだって。なるほどね。よくはわからぬが、いろいろ
やることがあるということやな。
なるほど、同窓会ゴルフに毎回参加してくださるF先生は実に適任なんだ。
そのほかの役職は、たいしたものではないそうな。
町内では、
  副町会長
  会計
  防犯委員長
班内では
  班長
  副班長
  防犯委員
これぐらい。
中では「会計」がちょっと厄介らしい。

(ウチは条件には合わないが、全員合わなければ、一から回りなおしの
公算が大で、ならば・・・、家などなんにもないようなところにポツーンと
住み始めたウチは町内では古いほうで、親父が25-6年前に会長をや
った・・・嫌な予感)

サントラ「ユー・ガット・メール」

20200209(了)
「ユー・ガット・メール」オリジナル・サウンドトラック・スコア

 ①-⑲
 作曲&指揮:ジョージ・フェントン、⑫・⑲ハリー・ニルソン(vo.)
 CD/サントラ/1999/カルチャー・パブリシャーズ/(Ⓟⓒ 1998/ワーナー)/邦盤/中古
  <★★☆>

        *1998年製作/119分/アメリカ/原題:You've Got Mail
         ノーラ・エフロン監督/トム・ハンクス/メグ・ライアン/グレッグ・キニア

f:id:kikuy1113:20200224234655j:plainf:id:kikuy1113:20200224234744j:plain

『スノー・ロワイヤル』でジョージ・フェントンの名を見たせいで、な
にか聴きたくなり、手に入れやすそうなものを探して、これを見つけま
した。音楽の記憶はほとんどないけれど、全体としてはポップスのコン
ピレーションのようなものだったんじゃなかったか。見るとそういうの
がちゃんと出てるが、ニルソンの歌が二つ入っているものの、スコアの
サントラも出てたんだね。
どうせ、毒にも薬にもならないだろうと思いつつ・・・

 

残念なことに正解でした。
コミカル、軽妙、センチメンタル、ロマンティック、のほほん、、、
まあ言葉で言えばそういったイメージのもので、人生のキラキラした断
面に、小さい編成で優しく付けている。一切騒がない。
これだけ取り出して聴いても、映画に心酔でもしていた人以外にはほと
んど意味がないと言ってよさそう。
アクションやサスペンスと無縁なので、ハンス・ジマーのグループのよ
うなタイプのものでもない。どうでもいいことですが・・・ムード音楽
にだけは使える。邪魔にはならない・・・
このような音楽が穏やかに支えるのは、情況的に見て、普通なら成就す
ることなど叶いそうもない大都会での男女の互いへの想い。
男女とは、かたや巨大書籍チェーン店の店長(だったかな)、かたやジ
ャンル特化(子供用書籍でしたっけ)した弱小店のオーナー。
この小さな本屋がつぶれていくのを、ずーっと追いかけてゆくというの
がベースでした。
日本でも、町の本屋さんはすっかり減ってしまった。ジャンル特化、双
方向性、いろんな複合、そしてネット(通販)の使い方のアイデア・・・
等々。それでも生き残りは、よっぽどでなきゃなかなか厳しい。トーハ
ン、ニッパンも自身のことで精いっぱいで、弱小店をサポートするなん
て発想はないでしょうし(って知りませんけどネ、今どんな状況なんだ

ろう)。

 

最終バンド⑲に、ニルソンが歌う「Over The Rainbow」が入っています。
実はこの曲、中で時々ちょっと形を変えて出て来ます。映画のテーマふ
うな扱いだったのかもしれません。ともあれ・・・
アレンジャーはゴードン・ジェンキンズ。古いタイプのポップスやジャ
ズの伴奏の編曲者でその名は昔から知ってます。つまり大ベテラン。
ここまでの楽曲のサウンドと違和感がほとんどない。どちらかが合わせ
たんだよね。特に興味を覚えたわけでもないんだけれど・・・
マイクを咥えんばかりにして歌うニルソンの歌唱スタイルは、何十年か
前に見たことがありますが、それではこれは歌えない。実に丁寧な歌唱
を披露しています。感心しました。

 

たくさんのポップスやニルソンの歌はともかくとして、こういう品のい
い音楽が繋いでいたんですね。よくあるパターン。アルバムにする量の
楽曲がかろうじてあったんだ。忘れられてしまいがちな音楽たちです。
点数は低いのですが、嫌いというのでもないんですよ。

 

映画『ドッグマン』

20200217(了)
映画『ドッグマン』
  監督:マッテオ・ガローネ//マルチェロ・フォンテ
  2018年製作/103分/伊・仏合作/原題:Dogman
  DVD/レンタル
  <★★★>

(映画.com解説から) ・・・ガローネ監督が、1980年代にイタリアで起こ
った実在の殺人事件をモチーフに描いた不条理ドラマ。イタリアのさびれた
海辺の町。娘と犬を愛する温厚で小心者の男マルチェロは、ドッグマンとい
う犬のトリミングサロンを経営している。気のおけない仲間たちと食事やサ
ッカーを楽しむマルチェロだったが、その一方で暴力的な友人シモーネに利
用され、従属的な関係から抜け出せずにいた。そんなある日、シモーネから
持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒を担ぐ羽目になったマルチェロは、
その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失ってしまう。
娘とも自由に会えなくなったマルチェロは、平穏だった日常を取り戻すべく
ある行動に出る。・・・

f:id:kikuy1113:20200223134629j:plain

ウーン、難しいとは思うけれど、上の解説はあまり解説としてはプロらしく
ない感じです。最後の最後に近いところが書いてあるけれど、そこまでの経
過がこの映画だと思います。不条理てのも違うな。
最後は・・・珍しくちゃんと観ていたカミサン、あきれているような、怒っ
ているような、ともあれ気に食わなかったようです。

 

いいオッサンになっても、どうしようもないダチとの縁が切れず、あわよく
ば余禄にあずかろうという欲を捨てきれない、極めて弱気で優柔不断な男の
一面。彼の悪いダチへの我慢を観続ける時間が長い! そうそう、コカインと
言っていたようだけれど、あんなに簡単に(?)手に入るものなのかねぇ。
ここはイタリアの田舎町らしいんだが。
もう一面は優しさ。特に動物(特に犬)に対して。犬を預かったり、風呂に
入れたり、トリミングしたり、散歩したり。ある時などは危機一髪で冷蔵庫
の中から助け出したり(これは表現が怪しかった)。
写真のようなドデカイ犬もいましたねぇ。ありゃ多分グレート・デン、ほん
とにデカかった。襲われるとは思わないものの、しなだれかかられたって、
絶対支えきれない。
さてさて、このギャップが、まあ、人間らしいということでしょうか。

 

ワタシの好き嫌いからすると点数は多目。これはもう犬とのシーンに免じ
て。

恋するソマリア

20200206(了)
恋するソマリア高野秀行

 第一章 片想いのソマリランド
 第二章 里帰りのソマリア
 第三章 愛と憎しみのソマリランド
 第四章 恋するソマリア

  2015年1月/ドキュメンタリー/単行本/集英社/中古
  <★★★★>

f:id:kikuy1113:20200221002833j:plain

表紙の美人は普通の女性ではありません。
危険極まりない南部ソマリアを堂々と案内するジャーナリストで、「南」
のケーブル・テレビ局をまとめる野心満々の若きボス。

(紹介文)
アフリカ大陸の東端に広がる“世界一危険な地"ソマリア
そこには、民主国家ソマリランドと海賊国家プントランド、内戦が続く
南部ソマリアがひしめきあい、現代のテクノロジーと氏族社会の伝統が
融合した摩訶不思議なソマリ社会が広がっていた。
西欧民主主義国家とは全く異なる価値観で生きる世界最大の秘境民族=
ソマリ人に夢中になった著者は、ベテランジャーナリストのワイヤッブ
やケーブルTV局の支局長を勤める剛腕美女ハムディらに導かれ、秘境の
さらに奥深くへと足を踏み入れていく。ある時はソマリランド初の広告
代理店開業を夢想。ある時は外国人男子にとって最大の秘境である一般
家庭の台所へ潜入し、女子たちの家庭料理作りと美白トークに仲間入り。
ある時は紛争地帯に迷い込み、銃撃戦に巻きこまれ・・・ もっと知りた
い、近づきたい。その一心で台所から戦場まであらゆる場所に飛び込ん
だ、前人未到の片想い暴走ノンフィクション。

f:id:kikuy1113:20200221003041j:plain

どこそこに行ってきました、と言いたくなってしまういつもの高野節本。
ホントはこの前に書かれている『謎の独立国家ソマリア・・・』のほう
を先に読んでおくべきなんでしょうけど、まあこちらは興味本意なんで、
思ったが吉日ということで、賞まで獲っている上記をさておいて、新し
いほうを読むことにしました。
北に小国ジブチと、全体主義で情報がほとんどないヤバイ国いうことだ
けしか知らないエリトリアがあり、ジブチに最も近いのが超優秀だと評
判のソマリランド、海賊行為で有名なプントランド、国の体をなしてい
ない南部ソマリアが並ぶ。ソマリアは国際的にはまだ国として認められ
ていない!(北のジブチも国と書いたが、実はここも国としては認めら
れていないそうな) 民族的にはソマリ人というのは、隣のエチオピア
ケニアジブチにまたがって存在している。

f:id:kikuy1113:20200221003114j:plain

思ったらいてもたってもいられなくなるタイプの著者が始めに入るソマ
リの世界はもちろん国家的に安定しているソマリランド。空港を出てす
ぐに人に取り巻かれてしまったところで、今度は警官に連れていかれ、
こりゃ逮捕かと縮み上がるが、実は安全にと保護された。そうとは思え
ず、おおいにビビるというような導入からこの本は始まる。
彼を助け出してくれたのは、ケーブルテレビ局の面々。彼らは揃って常
道を無視して体を張った、やったもん勝ちのジャーナリスト魂の持ち主
たち。この先も彼らの助けでプントランドや南部ソマリアにも潜入して
行けたわけです。
彼らの感じが、若い自分が所属していた時の早稲田の探検部さながらだ
ったんだって。そういや、いまや日本人探検家で今もっとも有名な角幡
唯介さんも所属したんでしたね(あぁ、共著まであるんだ)。


治安が安定している北のソマリランドは、砂漠が多く遊牧民の国。知恵
を出し合って安定した国家なり政府なりをイライラと運営している。国
を維持するのにいわばきゅうきゅうとした感じがあり、国情もぎくしゃ
くしている印象ですね。アフリカの東端にあって、明らかに中東系。
これに対し、南は国の体をなしていない。20年以上政府というものがな
かった!いま、政府は一応できたらしいが、日々テロが起きて不安定。
国土のほうは、北とはまるで違い、土地は肥沃(川がちゃんとある)で
農業ができていて、雰囲気は圧倒的にアフリカなんだって。
またそこの人々が、意外に生き生きしている不思議がよく伝わってきま
した。
気が付けば、真ん中、海賊国家プントランドのことについちゃあ、ほと
んど言及なかった。
南北の行き来は頑張ればだけれど、できちゃうんだ・・・でも、南じゃ
あ要人に随行を許される(≒頼まれる)というような事情があったんだ
が、不思議なことに、隣の隣の国のウガンダ兵(実にのんびりしている)
の護衛を受けていた。

 

ここで、国民性のこと。
明治維新後の日本に似てはいるものの、漱石や鴎外のように近代的自我
なんぞで悩みはしないし、イスラムの規範がしっかりして、しかも伝統
的な氏族社会なので、個人がアイデンティティに苦しむなんてことがな
い、「自分は何者なんだ」などと問うこともない・・・
なんでも天に代わって正義をなすストレート勝負(これはケーブルTVの
仲間たち)。
さらにさっきの続きで、、、
外国にはたくさん出ているが、絶対と言っていいほどソマリ人だけのコ
ミュニティの中だけで生きる。例えば日本に住んでも日本に対し驚くほ
ど無関心。『人間集団を形作る内面的な三大要素は「言語」「料理」
「音楽(踊りを含む)』と著者は最近考えているが、その一つ「音楽」
だって99%、ソマリのものしか聴かない。結婚の相手だって同じ。
それから、カートという飲酒に似た使い方の嗜好品(食べる葉っぱ)で、
みんなハイになりがちのような気がする。
更に、ソマリ民族の氏族社会への拘わりや徹底ぶりが何度も書かれ、読
んでいる分には理解できるが、現場じゃウンザリだろうに・・・
だからこそソマリランドでは政党は三つだけなんていう思い切った策ま
で採っている。わかっていてもどうにもならない「氏族依存症」という
ビョーキ。

よく言えば超・外向きなのに、思考や感覚は超・内向きというヘンテコ
リンな国(国民性)の人びとを相手に、疲れても疲れても臆面もなくソ
マリア愛を語る高野氏。
何度も訪れた結果、ケーブルTVに入り込んだメリットを生かして、まあ
これだけではないんだけれど、家庭に入り込むこと、家庭料理を食べる
こと(非常に難しい)・・・とか、秘境たる治安が悪いはずの南部ソマ
リアでモガディショやその外のコワイ世界を見て回ること、も叶えてし
まった。家庭に入り込んでの女性たちとのコミュニケーションがなんと
もおかしい。

そうは言っても、こんな付き合いにくい連中相手に、ほんとにもの好き。
気ー長いワ。


どこかのんびりした感じに受け止めてしまう高野節だけれど、実際は猛
進に近く、言葉習得の特技も生かして、情報量は思いのほか多かったで
すね。本の耳は折るもんじゃない!
ほんの僅か紹介したにすぎませんが・・・ソマリに行った気に? なりま
したヨ。ほんとです。ただし、著者のソマリ愛は(肝心なところなんだ
けれど)残念ながらよくわからなかった。その一方的な愛情・・・
そして最後は、脱力が伴うような話で終わりました。この“脱力感”、こ
の冒険家の他の本でもまま感じてきたことのような気がします。

 

メモを繋げたらいつも通りのだらだらになっちゃった。
ワタシとしては珍しくさらっと読んでしまいました。

金管七重奏のための音楽集 1

20200127(了)
金管七重奏のための音楽集 1

 

(1)メンデルスゾーン/オルガン・ソナタ第2番 ハ短調 Op.65 
   ①-④ 8:52              (S・コックスによる金管六重奏編)
(2)シューマン/4つの二重合唱曲 Op.141
   ⑤-⑧ 12:46               (S・コックスによる金管七重奏編)
(3)ブラームス/11のコラール前奏曲 から5曲 Op.122
   ⑨-⑬ 12:31               (S・コックスによる金管七重奏編)
(4)ブラームス/宗教的歌曲 Op.30
   ⑭ 4:21                 (K・ナイトによる金管七重奏編)
(5)ブルックナー/二つのエクアーレ
   ⑮第1番 ハ短調 WAB114 ⑯第2番 ハ短調 WAB149 2:50   (3tb)
(6)ブルックナー/4つのモテット Tot.15:16
   ⑰この場所は神が作り給う WAB23          (K・ナイトによる3tb&チューバ編)
   ⑱キリストはおのれを低くして WAB11   (S・コックスによる2tp&3tb編)
   ⑲アヴェ・マリア WAB6           (S・コックスによる金管七重奏編)
   ⑳正しき者の唇は知恵を語る WAB30            (S・ヒックスによる金管七重奏編)

  

        (演奏)セプトゥーラ
   録音;2013年11月、英、ロンドン、ニューサウスゲイト、セントポール教会、Tot.56:51
   CD/室内楽/吹奏楽/Ⓟ&ⓒ 2014 Naxos Rights US. Inc./中古
   <★★★>、ブルックナーのみ<★★★△>

 

〈帯紹介文から〉 バロック、もしくはそれ以前の時代には金管のための
アンサンブルは数多く存在していました。ガブリエリやモンテヴェルデ
ィ、バッハやヘンデル。彼らは神の声を楽器へと移し替える際に輝かし
金管楽器の音色を好んで用いたのです。しかし、ロマン派時代の作曲
家たちは金管七重奏のための曲を書くことはほとんどありませんでした。
そこでアンサンブル「セプトゥーラ」はブラームスブルックナー、メ
ンデルスゾーン、シューマンの合唱曲とオルガン作品を金管アンサンブ
ル用に編曲。あたかもオリジナル作品であるかのように、自然で素晴ら
しい作品へ造り替えているのです・・・

f:id:kikuy1113:20200218181236j:plain

これがNAXOSにおけるこのグループの第一集のようです。
これの出来がよほどよかったか、その後何枚もアルバムが続けて出され
たから、はじめのも聴いてみようと思ったわけです。ブルックナーのモ
テットだけは聴いたことがありますが、他はまったく知らない曲ばかり。

録音がよく、金管合奏へのアレンジもアンサンブルもすばらしいみたい
で、確かに、あたかもオリジナル作品であるかのよう、です。
普段であればまず自分から聴こうという気にならないジャンルも、この
編成ですからね、ちょっと楽しみにして聴きました。メンデルスゾーン
ロマンティックでいいメロディ。最後は華々しく盛り上がりました。
シューマンはどこかピアノ曲を思わせるところがあったなぁ。
ブラームスのコラール、まるで堂々たるバッハという感じに響くのね。
好きかどうかはともかく、興味深かった。

で、期待したのはやっぱりブルックナー・・・
(5)は編曲者や編曲内容が書かれていない。もともと金管合奏用なの
かもしれないが、編成すらわからない。で、しょうがなく中の英語解説
をちらちら見てみると、3本のトロンボーンのみ。これらはもともとこ
ういう編成なんでしょうかねえ。オルガンのような気もするんだが。2
トラック併せても3分ほどと短い。色彩よりは「敬虔」という音。
(6)、チューバが加わった⑰のモテットでは、ちょっとワーグナー
匂いました。⑲はさすがマリア様で、ブルックナーにしては甘味があり
ます。⑳はカノンだかフーガだかも、しっとり終わるところも、いいで
すね。美しい。ブルックナーはもともとオルガン奏者で、どうしてもこ
ういう長ーい残響に向いた曲を作っちゃうことになったんじゃないか、
なんてつい思いました。

アレンジは皆うまいもので、以前聴いた2枚でそれは十分わかっていま
した。
とはいっても、本盤でワタシに最もしっくりきたのはブルックナーとい
うことになります。バロックものもあっていいに違いないでしょうが、
もう教会の中のようなのはいいので、次に聴くとしたら、近代現代もの
だな。

カラヴァッジョ展

珍しく絵画展です。昨日、いやもう一昨日ですね。

 

2/15(土)
カラヴァッジョ展、16日までというので、行ってきました。
あべのハルカス美術館

f:id:kikuy1113:20200217003402j:plain

岡崎市美術博物館で初めて観たのが18年前。正業を辞めた翌年だった。
その後は本物を一度も観てないけどね。絵画の追いかけはやらないが、
でもまあ、絵画で最近忘れられなくなった最たるものは、このカラヴァ
ッジョとフェルメール、あとはバルビゾン派のもの。カラヴァッジョは
この後も何回かは日本でも展示されたことぐらいあるだろうが、近い会
場ではなかったに違いなく、知らない。今回だって、ごく近くだから観
に行く気になった・・・


さて、岡崎で観ることができた本人の絵は7作。しかし実際に観られた
のは6作のようで、1作は来なかったらしい。タイトルは不明だけれど、
通し番号がひとつ飛んでいる。今の今まで気づかず。そのほかは「バロ
ック絵画の先駆者たち」という括りの31作。スパダリーノという画家の
作品が「その他」の中では気に入ったと書いている。買った解説付き写
真集(翻訳もの)にその時の資料が挟んであったのでわかった。


今回は本人のは10作載っていて、実際は2作を観られず。チケットを買
うために並んでいたところ、係員が一人一人に「この2作が事情でお見
せすることができません」と告げまわっていた。50日ほどの展示期間中、
毎日、客全員にこれをやっていたと思しい。このお詫びでもって観るの
を止めた人はほとんどいなかったろうが、、、いや、なんとも言えんか。

f:id:kikuy1113:20200217003531j:plain

岡崎で観た作品と今回観た作品中、重複したのは二つ・・・
 執筆する聖ヒエロニムス
 法悦のマグダラのマリア
この2作が実際、一番素晴らしかったな。重複してもこれらは外せなかっ
たのかもしれないね。特に「法悦のマグダラのマリア」。新約聖書の中
でも特異な人物だからということが大きいのだけれど、目の表情の異様
な忘我感はなんともいわくいいがたい。

ほとんど描かなかった静物画が1点あって、写真では知っていたものだけ
れど、これもよかった。日本初公開の4作を含むあと6作の中では、「歯
を抜く人」が面白かった。すごいと思える作品はいずれも度肝を抜くほ
どにドラマチックなんだが、これなんかは珍しくコミカルな味がある。
(集団の場合往々見られる画家自身を思わせる顔はない。)
今回観られなかった2作のウチの一つは岡崎で観ているが、もうひとつは
知らない。やはり気になった。


今回の本人以外の画家たちの作品は33作。「1600年前後のローマにおけ
るカラヴァッジョと同時代の画家たち」というふうに括られていた。
大半が、天才にしてならず者で、最後は怪しい死に方をしたカラヴァッ
ジョに影響を受けたり彼を崇拝したりした画家たち(それをカラヴァッ
ジェスキというそうな)の作品で、経歴以外に、カラヴァッジョとどう
絡んだかを軽い告白めいた言葉にして添えてあったのが楽しい読み物に
なっていた。絵のほうは似て非なるもので、あくまでカラヴァッジェス
キだった。

ところで、去年の11月の新聞記事で、代表作の一つと目される「キリス
トの埋葬」が今秋、30年ぶりに日本に来るとあった。ミケランジェロ
彫刻からテーマをいただいたような作で傑作。これを後年、ルーベンス
が模写した。カラヴァッジョのほうが断然素晴らしい。残念ながら会場
は東京。たった1作しか来ないのならどうでもいいが、そうでないなら
大阪でもやらんかのぉ。
(本物をどっと観るには金も時間もある人に限られるってのが、こんな
時だけは癪に障る。すぐに忘れるけどね。)

 

まとめとしては、18年前も今回も、カラヴァッジョ(1571-1610)の
全貌を見渡せるほどの展示作品数とは言えない。きっと相当散らばって
いるんだ。いつか網羅した展覧会があるといいね。それも、近所で。ま、
望み薄。
39歳で亡くなったのは確実なようだけれど、ほんとに病死なのかいまい
ちはっきりしない。でも確かにいたイタリア・バロックの画家が、死後

400年もたって、日本でも今や人気の画家のようなのが、なんか嬉しい。

またプッチーニになりました。

  METライブビューイング2019-20  ■第3作
プッチーニ蝶々夫人

  ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 上演日:2019年11月9日
  映画/なんばシネマパークス/鑑賞:2020年2月11日

 

18時30分から22時過ぎまで。
間の解説やインタヴュー役は、去年ブリュンヒルデを演ったクリスティ
ーン・ガーキーさん。「ワルキューレ」ではそう感じなかったのに、イ
ンタヴュアーとしてはなんとも大柄なかたでした。

今シーズンは、なんとなくプッチーニ(「トゥーランドット」)を観て
しまい、更になんとなくあと3枚チケットを手に入れてしまいました。
で、2枚分は、5作目のベルク(「ヴォツェック」)と8作目のワーグナー
(「さまよえるオランダ人」)を先に決めてしまい、あと一つ。
2作目のマスネ(「マノン」)は興味があったのですが、去年の12月は
時間が取れずじまい。現代ものは観たいが第4作のグラスじゃイヤ。ガ
ーシュインは黒人のミュージカルでもともとあまり好きじゃないので、
パス。へンデルは相当斬新な演出だろうがこの時代の音楽に興味なし。
残るは3作目「蝶々夫人」と9作目「トスカ」のプッチーニ、10作目のド
ニゼッティ(「マリア・ストゥアルダ」)の中から一作ということで、
これまでちゃんと観てこなかった「蝶々夫人」を選択。

f:id:kikuy1113:20200215002744j:plainf:id:kikuy1113:20200215002758j:plain

演出はアンソニー・ミンゲラ版。もう亡くなっているが・・・そうです
よね、このかた、映画『イングリッシュ・ペイシェント』や『コールド
・マウンテン』の監督。脚本家でもある。そういやパトリス・シェロー
ゼフィレッリなんかもオペラの演出をしばしばやっていて、なんでそ
んなにオペラの演出をやりたいんだろうとよく不思議に思ったものです。
(好きだからという理由以外にはいまだに思いつきません)

もう二つ外堀・・・、長崎の領事シャープレス役はもともとプラシド・
ドミンゴが演る予定だったが、ジェイムズ・レヴァイン同様、セクハラ
疑惑ででしょうか、早々に降板が決められたよう。超がつくビッグ・ネ
ームだから、いろいろ取りざたされたことだろうし、チケットの売り上
げにも影響があったかもね。
もう一つはピンカートン役のアンドレア・カレも直前に降板がきまり、
控えのブルース・スレッジが代役を務めた。
これらの理由もワタシはどちらも知らない。そういう大きな二つの降板
が重なるなんてことがあるんや。
オリンピックの控え選手のように「控え」って、ちゃんと用意してるも
んなんやね。思い返せば指揮者ではよく聞いたものですが、なるほど、
歌手でもあって不思議はない。恥ずかしながら知りませんでした。

さてやっと中身・・・

 

蝶々さん役ホイ・ヘーさん。高音の声量や強さがいい。弱音になるとち
ょっと表現が薄味になるようでした。大拍手を受けてましたが、お芝居
もいまいち。それでも第3幕は盛り上がりました。中国系の方。大写し
になるもんですから、ついもう少し可憐な感じのかたのほうがいいなと
・・・(スミマセン、ゴメンナサイ)
ピンカートンのスレッジさん、立派な体躯でお芝居のほうはこれという
ものはなかったものの、いい声でした。
シャープレスのジョットさん、ドミンゴでなくてもよかったんじゃない
でしょうか。素敵だと思ったら、拍手も大きかった。
スズキ役の小柄なドゥショングさん、彼女は抜群に安定した歌唱の上に、
お芝居も頭抜けてよかった。ワタシは彼女が最もよかったな。
凝った照明と、障子の多用がなかなか面白かった。まあ象徴的と言って
いいのでしょうが、実は便利てさを優先したんじゃないかしらん。
また、子供を文楽ふうに扱ったのはすごいアイデア。操作担当の3人が
あとでインタヴューを受けてました。あそこまでよくできたもんです。
ただし、3歳にしてはちょっと大きすぎだったかもしれない。
あんまりぴんと来なかったのは衣装。この出し物、この演出の時は昔っ
からヘンテコリンだなぁと、特に日本人は感じたことでしょう。
そんなところです。さすがオケは上手く、指揮者も巧者だったと思いま

す。

ドニゼッティを選ぶべきだったかどうか・・・
決めるには、ワタシなりにいろいろありまして、わからないです。

 

f:id:kikuy1113:20200215003211j:plain

この日の新聞に、ミレッラ・フレーニが2/9に死去したことが載っていた
んでした。ワタシでも知っている名歌手。声は好きなタイプでした。ニコ
ライ・ギャウロフの奥さんだったことは朝日の記事には書いてありません
でしたが・・・あのパヴァロッティ(1935~2007)と同い年で幼なじみだ
ったんですか。それは知りませんでした。

わずかに知っている中では、ワタシはやっぱり「ミミ」かなぁ。