休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ハイフェッツ プレイズ 偉大なヴァイオリン協奏曲集(6-6)

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~20190827
Jasha Heifetz plays Great Violin Concertos

ハイフェッツ プレイズ 偉大なヴァイオリン協奏曲集(6CD)

〈CD6-6〉72:39
(14)グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲 Op.82
     3:59/3:24/6:04/5:29
     RCAビクター交響楽団/ウォルター・ヘンドル     (1963)

     <★★★☆>
(15)ブラームス/二重協奏曲 Op.102
     14:46/6:49/7:43
     RCAビクター交響楽団/A・ウォーレンスタイン指揮/
     G・ピアテゴルスキー(cello)            (1960)

     <★★★△>
(16)J・S・バッハ/2台のヴァイオリンのための協奏曲 BWV.1043
     3:45/6:04/4:46
     ロンドン新交響楽団/マルコム・サージェント
     E・フリードマン(vln.)              (1961)

     <★★★△>
(17)ヴィヴァルディ/ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 RV.547
     4:14/2:25/3:11
     室内管弦楽団 /G・ピアテゴルスキー(cello)     (1964)

     <★★★>

  2010年/CD6枚組/クラシック/協奏曲/RCA/SonyMusic/輸入盤/中古屋

 

<CD6-6>

セットものの最終回です。


(14)久々という感覚のグラズノフです。
甘ったるい音楽ですが、オーケストレーションがうまい。ワタシやっぱりグ
ラズノフ好きですね。戦争前後あたりのハリウッド映画の音楽みたい。
第一楽章と第四楽章で、ちらっとコルンゴルトの映画音楽でこんなのがあっ
たような気がしたし、第四楽章のファンファーレのようなフレーズもどこか
で聞いたような・・・
ただし、ヘンドル/RCAビクター響は物足りない。朗々ワンワン鳴らしてくれ
ればなぁ。まあ年代のわりに録音がいまいちだったことが響いたかも。この
寄せ集めオケは決してヘタクソではないはずなのに。

 

(15)ワタシの持つイメージとは少し違った二重協奏曲でした。なにがどう
違うのか上手く言えない。上記と違ってオケも音もよく、重々しさなどいたっ
てオーソドックス。でもその重々しさが、いわばちょっと行き過ぎていて、ド
ローンとした感じとでもいうところでしょうか。
ちょっと惜しい。ワタシの好みではなかったということでいいと思います。
ヴァイオリンのみならず、ピアテゴルスキーの太く大人っぽい感じのチェロも
とてもよかった。

 

(16)いつごろからだったかよく覚えていないのですが、バッハを聴きたいと
思わなくなっちゃって今に至っていますので、言えることはほとんどありませ
ん。でも、、、あえて言うなら、きっちりと奏され、流れもあって、音質も良
好だったから、“超普通”かな。

 

(17)最後はヴィヴァルディ。大バッハより更に疎遠な作曲家です。
演奏のタイプはちょい古めだけど、これもうんと普通という感じでしたね。
64年録音というともうステレオ初期じゃない。なのにモノーラルの終わりごろ
からステレオ初期にかけて、フィリップスから膨大な量の録音を残したイ・ム
ジチの音に負けている感じ。この団体を中心にいろいろヴィヴァルディは聴き
ました。もちろんLPで。アーヨのソロも含めて、もっともっと明るい音色でね、、、
どうでもいいことですね。
聴きたい音楽ではありませんでした。    

 

(締めくくりに、WIKIから)
ハイフェッツロシア帝国領ヴィリナ (現リトアニア領ヴィリニュス) にユ
ダヤ人として生まれた。日本ではHeifetzという綴りをドイツ語風に読んでハ
イフェッツと表記することが定着しているが、もとはヘブライ語のחפץ(ヘフ
ェツ。「喜び」を意味する)に由来するイディッシュ語の苗字であり、ヘイ
フェツと発音される。
・・・
1917年にはカーネギー・ホールでアメリカデビューを果たす。同年のロシア
革命を避けるため、そのままアメリカ在住の道を選び、1925年にアメリカの
市民権を得た。そんな時代を経て、世界中を演奏旅行しながら多数の録音も
行う演奏活動を長く続けることとなる。音楽のみならず興味を持ったことに
対する極度の完璧主義と、アスペルガー症候群と思われる潔癖性癖の持ち主
だったが、現在ではその早期に完成された演奏スタイルと音楽に対する哲学
的造詣の深さからも、高度な精神活動を営む高知能者ギフテッドであったこ
とが指摘される。1958年から南カリフォルニア大学で後進の指導をする。
1972年に演奏活動から退いた・・・

 

アスペルガー症候群」とか「ギフテッド」とかいうのにハッとしました。
ほかにも面白かったのは・・・
シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲、依頼されたが断りあとで後悔した
パガニーニの演奏や録音が非常に少ないんだが、理由は遂に不明だった
・テンポの速さも、一応解釈の結果だったらしい
WIKIの伝記的部分を読んだ後では、付き合いやすい人ではなかったのはか
なり確か。決して傲慢の勝った性格という方ではなかったらしいとも思え
ましたね。わからないけど。
シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲はやらなかったとはいえ、ほかにも新
しい曲はいろいろ演られたんだろうな。聴けるものなら聴いてみたい気もす
る。

映画『ハンターキラー 潜航せよ』

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20190910(了)
映画『ハンターキラー 潜航せよ』
  監督:ドノヴァン・マーシュ//ジェラルド・バトラー/ゲーリー・オールドマン/
                        コモン/リンダ・カーデリニ
  音楽:トレヴァー・モリス
     2018年製作/122分/G/イギリス
  原題:Hunter Killer
  <★★★△>

 

〈映画.com解説から〉 ・・・ジェラルド・バトラー主演で描いた潜水艦アク
ション。ロシア近海で1隻の米海軍原子力潜水艦が消息を絶ち、捜索に向かっ
たジョー・グラス艦長率いる攻撃型原潜「ハンターキラー」は、現場付近に沈
んでいたロシア原潜の生存者を捕虜にする。同じ頃、ロシア国内で世界を揺る
がす陰謀が企てられていることが判明。ハンターキラーに陰謀阻止のための
過酷なミッションが下される。その任務を達成するには、絶対不可侵のロシア
海域へ潜航せねばならず・・・

 

(いきなりネタバレかもしれません)
エリートではないたたき上げの艦長がバトラーで、肉体美は拝めないが、威厳
やクソ度胸や経験に裏打ちされた勘や人間力をたっぷり見せてくれる。
これは上にも書いてないからネタバレということになるんだろうが、書かなき
ゃピンとこないんじゃない?
で、陰謀というのが、なんとクーデター!
書いちゃいました・・・ でもここまでなら大丈夫なんじゃないかな。
大風呂敷、大げさ、話がでかい・・・
軍とか潜水艦とかが出てくるアクションものというのなら、相当古臭い気はし
ますね。でもまあ王道でしょう。
それに、これだと(ひょっとするとなかなか微妙なのかもしれないけれど)ロ
シアからも文句は出ない。ということだよね?

 

フィンランドのお隣、まるーいコラ半島の東側の深く切れ込んだ湾でのお話。
海中でのシーンに不満はあったものの、楽しく観ました。  
年配の方は、キューバ危機なんかも連想させるこんな危ないストーリー設定
を案外懐かしんだりするんじゃないか。若者の反応は想像つきませんけど。

 

写真はジェラルド・バトラーには見えないなぁ。ケヴィン・コスナーと最近
亡くなったルトガー・ハウアーのそれぞれ若い時を足して2で割ったみたい
な感じ。ついでに言えば、一緒に写っているG・オールドマンは、もったい
なくも、あまり働きませんでした。

秋らしくなりました

9/19(木)

本日は仕事はお休みで、車の法定12ヵ月点検を済ませたあと、

犬の散歩をし、夕刻、ゆっくりしています。

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政治的な発言。朝日新聞のガス抜き(読者の?新聞側の?)的な

もの。このかたの憤懣を、ワタシはいつも楽しんでます。

マウンティングという言葉の使われ方がリアル。

 

(犬の)散歩

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9月19日時点。ツクツクボウシ、少しだけ鳴いてました。さすがに

声がダブらない。アブラゼミはもう聞こえない。
池のはたでは、ギンヤンマの徘徊飛翔がまだ見られましました。

ウスバキトンボはまだまだたくさん・・・
ほぼ快晴。日差しが柔らかい。
昨夜なんか寒かったもんね。

柴犬娘、分かれ道でとまり、ワタシの顔をじっと見ます。
どっちへ行くの?という意味の場合が大半だが、ワタシこっちへ行

きたいんだけどな、という意思表示込みの時もたまにある。
ご希望に沿わないときがあっても、ワタシは翻すことはほぼありま

せん。残念そうに見えても、こっちの都合優先。
でも、ご希望通りに行きそうになると、彼女はその方向へどっと力

を入れて、首が締まるのもかまわず駆けだすのです。

今日はすごすご、でした。

 

『恐怖の報酬』(W・フリードキン)が40年ぶりに、完全版として

よみがえって劇場公開され(去年)、そして今年はDVDやブルーレ

イディスクが発売になる。
本編121分(公開時92分)、特典映像200分。
新聞の宣伝です。映像商品のCMとしては大きい。
レンタル店に並んでくれても、ワタシが観るのは来年でしょうね…

 

2年ぶりの中学校の同窓会の案内が来ました。11月。
農業で成功しているらしい男(もちろん同窓生)の経営するバーベ

キューハウスでの開催。こんなところでやるのは知る限り初めてで

す。
自転車で行ける距離なんだが、帰りは自転車を押して帰らなきゃな

らん。飲酒運転だもんね、アカンでしょう。
すぐそこのイメージながら、歩きでは遠いから、案内通りバスや電

車かな。えらい遠回りや。
そしてそのすぐ後に、その同窓会からスピン・オフしたゴルフコン

ペの案内も届きました。同じ11月。
同窓会と同じ月であることを考慮して、安いコースにしてくれたよ

うです、わかってらっしゃる。

それでも出費は出費だなぁ・・・

ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード

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20190902(了)
ジョン・ケージ(1912-1992)/
プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード」

  ①ソナタ 第1番 2:24
  ②ソナタ 第2番 2:01
  ③ソナタ 第3番 2:23
  ④ソナタ 第4番 2:16
  ⑤第1 インターリュード 3:43
  ⑥ソナタ 第5番 1:29
  ⑦ソナタ 第6番 2:09
  ⑧ソナタ 第7番 2:08
  ⑨ソナタ 第8番 2:53
  ⑩第2 インターリュード 3:46
  ⑪第3 インターリュード 3:12
  ⑫ソナタ 第9番 4:01
  ⑬ソナタ 第10番 3:17
  ⑭ソナタ 第11番 3:46
  ⑮ソナタ 第12番 3:07
  ⑯第4 インターリュード 2:51
  ⑰ソナタ 第13番 3:42
  ⑱ソナタ 第14,15番「双子座」 6:20
   ―リチャード・リポルドの作品にならって―
  ⑲ソナタ 第16番 5:00

   高橋悠治(プリペアド・ピアノ)
   録音:1975年12月、東京、コロムビア第1スタジオ Tot.60:27
   2004年12月/CD/現代音楽/コロムビア・ミュージンク・エンタテインメント/中古
   <★★☆>


インターリュード(インタールード);
間奏または間奏曲のこと。コーラス単位で繰り返されるテーマ(主題)の
中間に配置されている、比較的短い演奏部分を指す。この種の演奏部分が
楽曲として独立したものを間奏曲という。

プリペアド・ピアノ
言葉そのものは「準備されたピアノ」の意だが、通常は・・・
グランドピアノの弦に、ゴム、金属、木などを挟んだり乗せたりして(こ
れを「プリペアする」「プリパレーションを施す」などという)音色を打
楽器的な響きに変えたものをいう。このようにすることで、ピアノ本来の
音色が失われ、金属的な音や雑音の多い独特な音が得られるほか、多くは
その音の高さも幾分不明瞭になったり、元の高さとは異なる音高となった
りする。 そもそもが、この作曲家の発明になるものとされている。

作曲は1946~1948年。

 

お薦め現代音楽としてリストアップされていたものの一枚。

 

インターリュードというと、普通、ああ、ゆっくりできるんだな、きれい
なんだろうな、などと思う。
でもこれは、いろいろ細工をしたピアノを、いろんな道具でもって、いろ
んな音を立てる。これをソナタと言われても、インターリュードと言われ
ても、ねぇ、困ってしまうなぁ。

日本コロムビアのPCM録音なので、音は悪かろうはずもないが、用途とし
ては、事務所だとか静かな場所で、音量を絞って流し、何か“音楽みたいな
もの”が流れているなぁと感じる程度でいい、というようなもんじゃないで
しょうか。ケージさんに失礼ではありますが、、、
そういったBGMとしてはもっと高い点数を付ける用意があります・・・は

はは。

ソナタもインターリュードも特に違いは感じませんでした。
ちなみに、職場ではOKでした。もうやってみました。反応は嬉しいことに
ゼロ! 車の中はというと、これが合いませんでした。残念・・・、これで
いい時もあるかもしれませんが、普段はまあダメですね。

ハイフェッツ プレイズ 偉大なヴァイオリン協奏曲集(6-5)

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Jasha Heifetz plays Great Violin Concertos
ハイフェッツ プレイズ 偉大なヴァイオリン協奏曲集(6CD)

〈CD6-5〉74:19
(11)モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第4番 K.218
     8:04/6:20/6:45
     ロンドン新交響楽団/マルコム・サージェント      (1962)

     <★★★☆>


(12)モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第5番 K.219 “トルコ風”
     9:31/9:57/6:42
     室内管弦楽団/(ハイフェッツ弾き振り)           (1963)

     <★★★☆>


(13)モーツァルト/協奏交響曲 K.364
     12:18/8:50/6:52
     RCAビクター交響楽団/I・ソロモン指揮/W・プリムローズ(vla.)   

     <★★★☆>                   (1956)

  

     2010年/CD6枚組/クラシック/協奏曲/RCA/SonyMusic/輸入盤/中古屋

 

<CD5>
オールモーツァルトの一枚。
聴いた大半がそう好きでもなければ嫌いでもないというのが現実で、もち
ろんそれにはかなり幅があります。大好きというのは案外限られるのです。
この3曲は少し‘好き’寄り、かな。
録音条件はそれぞれ少しづつ違う・・・

 

(11)第4番、よかった。
なんと、テンポが速くない。いや、他の2曲もそうでした。
モーツァルトについては、こうなんだろうか。不思議といえば不思議。
この4番はサージェントさんがいいのか、オケの音も美しく充実していて、
かつ、書いたようにスピードが速くない、結果、全体としてなんとも「普
通!」しゃきしゃきとはしていても、奏法は例によってポルタメントやレ
ガートなどがあるものだから、ちょっくら古めかしくロマンチック。


(12)第5番も4番に準ずる。録音はその1年あとみたいだけれど、オケの
ほうは比べると4番よりちょっとだけ引っ込んだ感じに聞こえる。でも、
弱点じゃない。意外にテンポは細かく動かしたりしながらの弾き振り。き
びきびしている。オケは契約のためか団体名を書かれていないが、かなり
優れた団体なんじゃないか。'準ずる’なんて失礼かも。ただこの曲は、例
えば「ジュピター」ほどでないにしても、とても特徴的なフレーズがあっ
て記憶に残りすぎるため、飽きが来るのがちょっと早いんじゃないかな。
いや、でもこの録音もよかった。


(13)協奏交響曲
前2曲よりは録音の古さがあって、オケの厚みや柔らかさが、実際にはもっ
とあるはずなのに、やや平板で固目なのは残念。やっぱり並んでるから比
べてしまいました。その点以外は上記2曲に決して引けを取らない演奏な
んじゃないか。テンポはちょっと速め。でもオケはまあまあだし、名手の
誉れ高いプリムローズさんもさすが。

 

モーツアルトは、古楽器によるピリオド奏法のしゃきっとした演奏に触れ
る機会が増え、それが好ましいと思うようになったものだから、この演奏
のようにソロもバックもかなり激しくビブラートをされると、ああ随分違
うなあ、なんて感じるのですな。
でもでもその上で申し上げるなら、きちっと一本筋の通った演奏は、3曲と
も思いのほか心地よかった。ハイフェッツモーツァルトなんて知らなか
ったし想像できなかったからね、わりと新鮮でしたよ。ひょっとすると、
ご本人もモーツァルトを好んでおられたりしたんじゃないかと、あつかま
しくも想像してしまいました。

ツェムリンスキー:歌劇『フィレンツェの悲劇』

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20190904(了)
ツェムリンスキー:歌劇『フィレンツェの悲劇』
Alexabder Zemlinsky(1872-1942);Eine florentinische Tragödie
   Oper in einem Aufzug op.16 nach einer Dichtung von Oscar Wild,
   deutsche Übertragung von Max Meyerfeld 

   グイード(フィレンツェ大公の息子)   :ケネス・リーゲル(テナー)
   シモーネ(フィレンツェの裕福な織物商人):ギレルモ・サラビア(バス)
   ビアンカ(シモーネの若い妻)       :ドリス・ゾッフェル(メゾソプラノ)
   ベルリン放送交響楽団/指揮:ゲルト・アルブレヒト
   録音:1983年10月・11月/ベルリン/イエスキリスト教会(アナログ録音)
   1985年/CD/オペラ/コッホ・レコード/輸入盤/中古
   <★★★★△>

 

オスカー・ワイルド原作。舞台は16世紀ルネッサンス期のフィレンツェ
一幕もので、登場人物は3人のみ。
〈あらすじ〉
 フィレンツェの商人シモーネは、自分の妻ビアンカフィレンツェ公イー
ド・バルディに寝盗られているのではないかと疑っている。シモーネはグイ
ードに高価な衣裳を売りつけると、我が家にあるものを何でも差し上げまし
ょうと申し出る。グイードビアンカが欲しいと言い出す。シモーネは、ビ
アンカを自室に押し込め、糸紡ぎでもやっていろと言う。シモーネが立ち去
ると、ビアンカは「あの人なんか大嫌い、死ねばいいのに」と口走る。これ
を小耳に挿んだシモーネは、姦通や死について思いを巡らせる。
 やがてシモーネが立ち去ると、グイードビアンカだけが舞台に残され、
二人の恋人同士は互いの愛情を口にする。グィードが帰宅しようとしたその
時、シモーネはグイードに決闘を挑む。初めは剣で、次に刀で命がけの決闘
であった。とうとうシモーネがグイードの首を締め上げる。それまで「シモ
ーネを殺して」と叫んでいたビアンカであったが、やにわにシモーネに近寄
ると、「知らなかった。貴方がこんなに強いだなんて」と言って夫に擦り寄
って行く。シモーネも「お前がこんなに美しかったとはね」と言ってビアン
カを抱き寄せる。そして幕が下りる。 (WIKIから)

 

またまた不倫のドラマ。なんだけれど、なんといっても、上記のごとく終わ
りの二人の仰天のセリフがふるっている。‘ヴェリズモ’という感じじゃない。
その辺が、オスカー・ワイルドということなんでしょうか。リアルなベルク
のオペラをまるで“跨ぎ越して”いる。
始め、前知識なしで流したら、ワーグナーの神々の世界のなかで、まあさほ
ど高尚とも言えないような、神というよりはいたって人間ふうな悩みなどを
を歌っていたりする、なんてのを想起してしまったのですが、ここでは更に、
な-んだぁ、このサウンドで不倫かよーっ」て感覚でしたね。


裕福な商人が帰宅すると、若い妻と名家のボンボンが自宅での逢瀬中。
主人は始めこそ慇懃に対応するも、徐々に本音が出始める。若妻はもっぱら
間男の側。ボンボンは丁寧に対応されてかなり油断している。この三人の虚
虚実々から、えぇっ!?というカタストローフまでがお話。
だから、‘Tragödie’っていうのとちょっと違うでしょう。

 

はじめのところは、序曲でもないが、長くオーケストラだけ。これはもとも
とのテキストが、ストーリーの始めのところが欠損していたため、その部分
を音楽で表現したということだそうな。だからなかなか大切な存在の音楽。
もっともそのストーリー部分はなくても、一幕もののオペラとしては十分成
立していると言えそうです。でも、決して不穏でもないその音楽がまた素晴

らしい。最初っから捕まれます。

オペラ『こびと』も素晴らしかったが、サウンドがなんとも豊饒、ゴージャ
ス。R・シュトラウスの影響などという記述はもちろん正しかろうが、まず
ワーグナーであり、次にはマーラーであり、そしてやはりR・シュトラウ
ス。またなんと、門下であったコルンゴルトからの影響なんてことまで書い
てある。それらが一体になって、かつツェムリンスキーのオリジナル。
アメリカで一応成功したコルンゴルトが門下だなんて、考えたことなかった
ですね、なるほどなぁ。だからこその映画っぽいサウンドでもあるんだろう。
ともあれ、後期ロマン派の最上の結実と言っていい音楽でありサウンドじゃ
ないでしょうか、マーラーとジャンルを棲み分けて。
シェーンベルクがツェムリンスキーを忌み嫌った(?)のも分かるような素
晴らしい出来、なんて解説にあるのは、まるで音楽史上の‘ヨイショ’、楽し
いネタ、みたい。
  『こびと』が「無邪気さと美の裏側にある残酷さ」をテーマにしている
  のに対し、『フィレンツェの悲劇』は、力(権力と暴力)と若さとエロ
  スの相剋というテーマで貫かれている。
大仰な! これもいまいちピンときません。というか、もっともらしく言われ

たくないし、大体そんな言い方、つまらん。

先日の「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」の二本立てのような
オペラ映画が、いまいち面白くなかったもんだから、これで結構気分的には
収まりましたヨ。
これの映像があったら、映像に注意が向いてしまって、音楽のほうをちゃん
と聴けるかどうかわからへんけどね。
G・アルブレヒト指揮/ベルリン放送交響楽団も確実な演奏のようだし、奥

行きのあるサウンドで、とても優れた録音(アナログ!)だと思います。

 

(ジャケット写真では、男二人がどちらも禿げているのが、ちょっとつらい)

 

 

 

映画『家へ帰ろう』

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20190904(了)
映画『家へ帰ろう』

   パブロ・ソラルス監督//ミゲル・アンヘル・ソラ
   2017年製作/93分/スペイン・アルゼンチン合作

   原題:El ultimo traje/The Last Suit
   <★★★☆>

 

新作DVD観ました。

(映画.com解説から) ホロコーストを生き抜いたユダヤ人の老人が、70年の
時を経て、友人との約束を果たすためにアルゼンチンから故郷ポーランド
旅する姿を描いたロードムービーブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立て
屋アブラムは、自分を高齢者用の施設に入れようとする子どもたちから逃れ、
故郷であるポーランドを目指して旅に出る。そして、その旅には、第2次世界
大戦時、ユダヤ人である自分をナチスの手から救ってくれた親友に、自分が
仕立てた最後のスーツを渡すという目的があった・・・

 

この爺さんはオフクロより数歳若い。
意固地でなんともめんどくさく付き合いにくそう。
いちいち傲慢な感じで、悉く人とぶつかる。オレと違って(?)孫にはわり
と優しいけどね。
でも、基本的には傲慢というよりは年寄りというだけなのであって、意地が
悪いとか悪人というわけじゃ全然ない。物わかりもホントは悪くない。
でも、もう気になることは減ってしまい、上記解説にあることぐらいに少な
くなってしまったということ。 ポーランドユダヤ人として死ぬまで関心が
失せることがないこと、70年もうっちゃらかしてしまっていたこと、だけ

になった・・・

 

子どもや孫たちはスマホを使う今に生きている。時代に対応し変わって行く

のでしょうがない。爺さんはもう対応することをやめている。
4人の娘たちのうちの3人に、追い立てられるかのように(まああくまで‘よ
うに’ではあるけれど)、70年前の約束を果たす気になるきっかけを与えら
れる。

 

ブエノスアイレスからマドリッドへは空路、そこからは陸路でポーランド
ある町まで、切り落としたほうがよい右脚を引きずり、興味深いいろんな目
に遭いながら目指す。言ってみりゃあ、ブエノスアイレスの娘3人以外は、
会う人はみないい人・・・なのね。
しまいにゃあ、この爺が(めんどくさいには違いないんだけれど)鬱陶しく
なくなっている。
ユダヤを思わせる音楽がずっと聞こえている。片道切符のロード・ムーヴィ

ー。


やれやれ、わかっているようなものなのに、カミサンともども、泣かされち
まった。

でも、ポスターの“観客総なめ”ふうなやすっぽい表現は苦手です。