休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

サントラ『質屋』&『恐怖との遭遇』

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20160614(了)

(1)QUINCY JONES

             「THE PAWNBROKER」

 
 ① Theme From The Pawnbroker
 ② Main Title
 ③ Harlem Drive
 ④ The Naked Truth
 ⑤ Otez's Night Off
 ⑥ Theme From The Pawnbroker (Instr. Version)
 ⑦ How Come You People
 ⑧ Rack 'Em Up
 ⑨ Death Scene
 ⑩ End Title
 ⑪ Theme From The Pawnbroker (45 RPM Single Version)
 
  クインシー・ジョーンズ・オーケストラ/⑪サラ・ヴォーン
  クインシー・ジョーンズ(arr. Cond)他、F・ハバード/JJ・ジョンソン/O・ネルソン/
  K・バレル/E・ジョーンズ他、⑦ロッド・スタイガー他(narr.)
  録音:1964年、NY <MERCURY> Tot.38:18
 
 

(2)QUINCY JONES

  /「the deadly affair」

 
 ⑫ Who Needs Forever?
 ⑬ Dieter's First Mistake
 ⑭ Main Theme (Version No. 1)
 ⑮ Postcard Signed 'S'/Mendel Tails Elsa/Tickets To 'S'
 ⑯ Main Theme (Version No. 2)
 ⑰ Don't Fly If It's Foggy
 ⑱ Blondie-Tails
 ⑲ Main Theme (Version No. 3)
 ⑳ Ridiculous Scene
 ㉑ Body On Elevator
 ㉒ Bobb's At Gunpoint
 ㉓ End Title
 
  クインシー・ジョーンズ・オーケストラ/⑫アストラッド・ジルベルト
  クインシー・ジョーンズ(arr. Cond)、ハンク・ジョーンズ(p)他
  録音:1966年、Van Gelder Studio、ステレオ<Verve> Tot.29:03
 
  CD/映画音楽/Ⓟ&ⓒ 1996 PolyGram/VERVE(2LPs on 1CD)
  <★★★★>
 
(1)『質屋』
   ※1964年、米映、シドニー・ルメット監督/ロッド・スタイガー/ジェラルディン・フィッツ
    ジェラルド/ブロック・ピータース 116分
    (映画.com解説)ニューヨークで質屋を営むユダヤ人のソルはナチ
    の強制収容所で妻子を殺され、それ以来人間不信に陥っていた。
    ソルを尊敬し、その助手として働いていた若者ジーサスは金欲し
    さも手伝って、チンピラたちとともに自分の勤める質屋から金を盗
    み出そうとするが・・・。心を閉ざしていた男が絶望から立ち直って
    いく姿を感動的に描いた社会派ドラマ。
 
非常に世評の高い映画でした。学生時代にロードショーとして地方都市
で観たんですが、ロッド・スタイガーつながりの「夜の大捜査線」と、観た
時期はほとんど変わらない記憶なので、「質屋」はかなり遅れて回ってき
たんやね。インパクトはあったと思うが、なんたって昔のこと、どうでしょう、
ワタシ、どれだけ理解していたんだか、怪しいなあ。
さて、
クインシーの映画音楽としては最初期のもののはず。音楽の印象は「冷
血」や「夜の大捜査線」と比べてうんと地味で、正直ほとんど印象がなか
ったんだが、ひょっとして、と、手に入れてみた。
 
フルバンドものはマーキュリー時代そのものだが、コンボものも素晴らし
い。ウィズ・ストリングス物も、なんのことはない、お手の物で、クラシック
系の古い映画音楽作曲家のスタイルを踏襲しつつも、ジョニー・マンデ
ルやネルソン・リドルのような粋なニュアンスもちゃんとこめている。
①も歌で、Jack Lawrenceという歌手。知らない。サントラ全体のテーマ
のメロディ。
⑦だけは音楽じゃなく、スタイガーのわざとらしい訛りのあるセリフがメ
イン。始め抑えて喋りはじめるが、だんだん激昂してくるのがド迫力。
最後の⑪で堂々たるサラ・ヴォーンの歌が、次の映画の最初の⑫で脱
力系のA・ジルベルトの歌が、続いて流れてくるというのも、オツなもの。
 
 *ジャケットにはモノラルの表示があるが、結構露骨に、左右に音が
   分かれてます。昔流行った‘偽ステ’なのか、もともとステレオだっ
   たのか。どうでもいいことではありますが。
 
(2)『恐怖との遭遇』
  ※1967年、英映、シドニー・ルメット監督/ジェイムズ・メイソン/マクシミリアン・シェル
    107分/日本未公開/原作;ル・カレ「死者にかかってきた電話」
なんと、ジョージ・スマイリーが出てくる最初の小説、というより、ル・カレ
の最初の小説。英国の諜報活動のお話。読んだはずやけど、もう、なー
んにも覚えてません。老獪なスマイリーの出てくる5冊の、あとの3作は
まだなんとなく覚えてるかも。『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』
『スクールボーイ閣下』『スマイリーと仲間たち』。
最初のはルメットだったんやね。スマイリー役は多分ジェイムズ・メイソ
ン、少し老けすぎかな、、、でもけっこうピッタリな気がする。
で・・・アストラッド・ジルベルトの歌で始まるサントラは、地味な諜報活動
だとか秘密情報局の話だというのに、全て(ホントにすべて!)ジャズ系
ボサノバで統一、メロディのヴァリエーションで構成されている。 言われ
なきゃこれがクインシーの音楽だとはとても思えない。ボサノバがもう完
璧に米英に(欧も?)に定着していたことがわかる。ボサノバの草創から
はそんなにたっていないのに。 もともとジャズとは相性がめちゃくちゃよ
かったわけだけどね。
コンボでのもの、ブラスが入ってのものなどは当然うまいのは当たり前だ
が、ストリングスでのオブリガートや、フルオーケストラでのドライブも、正
式な教育を受けているからでもあろうが、そのセンス、さすがとしか言い
ようがない。
ところで、このムードたっぷりなボサノバ、映画にどうフィットしたんだろう。
ル・カレだよ!(驚いても、50年前じゃね、話にならん)
 
というわけで、シドニー・ルメット監督の2作が、たまたま音楽も共にクイン
シー・ジョーンズの映画担当の最初期にもあたっていたということで、出
来過ぎなほどうまいカップリングのサントラCD。
悪かろうはずもない。音質はまあまあ。悪くはないというところ。
 
カポーティ』を観たことで俄然記憶が呼びさまされた『冷血』(1967、リチャ
ード・ブルックス監督)のクインシーのサントラ、非常に薄気味悪い音楽(や
はりジャズ系)の一部はいまだ覚えている(気がする)が、ちょっと調べて
みたところ、現在は少なくともCDでは手に入らないよう。残念。
スタイガーを忘れられなくさせた『夜の大捜査線』(1967、ノーマン・ジュイソン
監督)のクインシーのサントラは、これはずいぶん前に手に入れて持っ
ている。良くも悪くも、レイ・チャールズの歌があまりに有名(いや実際名
曲だし名歌唱でもある)で、クインシーが霞んでいるが、スコア部分も悪
くないサントラ。
この後の映画音楽担当となると・・・
   「マッケンナの黄金」監督J・リー・トンプソン 1969年
   「ミニミニ大作戦」監督ピーター・コリンソン 1969年
   「ジョンとメリー」監督ピーター・イェーツ 1969年
   「ゲッタウェイ」監督サム・ペキンパー 1972年
   「カラーパープル」監督スティーヴン・スピルバーグ 1985年
全部観ているはずだけれど、一番よく覚えているのは恥ずかしながら、
最初の「マッケンナの黄金」。ホセ・フェリシアーノの歌とともに・・・。
ともあれクインシーの映画ったら、これだけ。
どんどん映画から遠ざかってしまって、本来のジャズやフュージョン
プロデュースのドン(≒偉人)みたいになっていく。
TVドラマのテーマ担当(上記と同時期)で、「鬼警部アイアンサイド」な
んていう、クインシーのことも音楽のことなどもろくに知らない人でも、
 “ああ、これ知ってる!”
と言うに違いない曲もものしている。
因みに、プロデュースで一番売れたのって、マイケル・ジャクソンのアル
バム『スリラー』なんじゃなかったっけ、記憶違いかもしれないけど。
天才クインシーも、もう84-85歳なんだなぁ。