休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

英国合唱作品集/Flowers of the Field

イメージ 1
 
20150711(了)
合唱作品集/FLOWERS OF THE FIELD
(1)バターワースシュロップシャーの若者 10:22
     A Shropshire Lad ― Rhapsody for Orchestra
(2)フィンジ/レクイエム・ダ・カメラ(C・アレクサンダーによる補筆完成版)22:29
          Requiem da Camera
  Ⅰ、Prelude 5:20
  Ⅱ、How still this quiet cornfield is to-night 9:14
  Ⅲ、Only a man harrowing clods 3:37
  Ⅳ、We who are left 4:18
(3)アイヴォー・ガーニー/トランペット(P・ランカスターによる管弦楽編) 5:45
    The Trumpet
(4)ヴォーン=ウィリアムズ/オックスフォード悲歌 22:01
    An Oxford Elegy
  ヒラリー・デイヴァン・ウェットン指揮/ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
  シティ・オブ・ロンドン合唱団(2-4)、ジェレミー・アイアンズ(4)ナレーター、
  ロデリック・ウィリアムズ(2)バリトン、その他
  録音:2014年7月、英、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール、(2)(3)世界初録音
  <★★★☆>
 
(メーカー惹句) これらの作品には、全て第一次世界大戦における大虐殺への悲しみ
が根底に流れています。4人の作曲家たちはそれぞれ、バターワースのようにその
戦いで命を落とすか、多大なる犠牲を払いながら後々の生涯を生きていくことになり
ます。「シュロップシャーの若者」は彼の同名の歌曲集のエピローグとして構想され
た、人生のはなかさをそのまま閉じ込めたような美しい作品です。 歌曲集の中の
「最も美しい樹」のメロディが使われた郷愁溢れるメロディは涙を誘わずには入られ
ません。フィンジはこの戦いで彼の最愛の教師アーネスト・ファーラーを失いました。
無論彼はそれ以降も波乱万丈の生涯を送るのですが、当時彼は師だけでなく、最
愛の家族も失うなど、人生観に大きな影響があったことは間違いありません。この
室内レクイエムは恐ろしいまでの静けさに満ちています。未完成で終わった作品で
すが、一度はP.トーマスの加筆版が演奏され、高く評価されました。ここではクリス
チャン・アレクサンダーによる新版での演奏です。
ガーニーは戦場で吸い込んだ毒ガスにより健康を失い、その後半生を病院で送り
ました。この「トランペット」は人類の愚かさを告発する作品です。
そしてヴォーン・ウィリアムスの「悲歌」は、彼の失われた友人のために書かれた作
品であり、普段はそういう音楽を書かなかった彼が、晩年になって至った境地を表
しているものです。合唱はほとんど言葉を発することなく、物語は語り手によって紡
がれていきます。
(1)イギリス音楽の魅力の一つ、落ち着いた景色から受けるそこはか感が横溢する
名曲。オケが小さいだけに、痛ましさにも似たニュアンスがよく出ている。
あとは初めて聴くものばかり。
(2)補筆完成版とあるけれども、ちゃんとフィンジですね、これ。Ⅰは(1)から続いて
いるかのような感じだったけれど、Ⅱ~Ⅳのように歌が入るとわかる。
もっと大掛かりな慟哭する曲は聴いたことがあって、それも好きなのですが、こちら
は静かな祈りのよう。オケは伴奏に徹しているわけではなく決して貧相じゃない。
(3)名前も初めての作曲家。人類の愚かさ云々はわらないものの、輝かしい、い
い曲。
(4)いかにもV=ウィリアムズらしいオーケストラであり合唱。(1)ではオケが少々弱
弱しい感じだったのが、ここではすごく立派に響く。編成も(1)より大きいんじゃない
かな。ナレーションが有名俳優ジェレミー・アイアンズというのが売りだろうし、渋い
声は魅力的だけれど、全体としてヴォーン=ウィリアムズであるのが、とにかくいい。
好きなイギリス音楽から、好きそうな内容のものを選んだわけですが、間違ってな
かった。地味ながら、品よく優しいアルバム。
こんなコンサートに行ってみたい。