休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

(ピランデルロの)『遺灰は語る』

20260415(了)
映画『遺灰は語る』
 パオロ・タヴィアーニ監督/ファブリツィオ・フェラカーネ
 2022年製作/90分/PG12/イタリア/原題:Leonora addio/PrimeVideo
 <★★☆>

なんだかへんてこりんな、多分ユーモア系と言っていい作品。
まずは、1934年にノーベル賞を受けたピランデルロの遺灰にまつわるお話。
最後にわずかにカラーになるまではモノクロ。どうやら実写フィルムを適宜
使いながら、うまくモノクロで作り上げている。
 
ピランデルロ、なにか若い時に読みました。分厚い本だった。戯曲集だった
ような気がする。もう完全に忘れました。(もう、こんな書き方ばかりにな
りましたが、しょうがない) 本は処分しちゃった・・・
 
戦前、亡くなる前に遺言ふうに、生まれ故郷のシチリアの岩の中に遺灰を
納めてくれと言う。ムッソリーニの宣伝の役に立ったかどうか。葬儀は行
われずじまい。戦後までは建物の壁の中に隠され、戦後になってから、シ
チリアの特使なる律儀な人(たち)が、遺灰を取り出し、焼き物のでかい
壺に詰め替え、木箱で囲って、一路シチリアへ。
しかし戦後すぐということもあってか、すんなりと行かず、トラブルがいろ
いろと出来する。飛行機に乗るつもりが駄目になったり、列車でコトコト行
くも車内で事件が起きるし、シチリアでは葬儀用の棺桶のことで揉め、、、
まあそういった経緯が映画になったというに近いでしょうか。
彫りの深い仏頂面をした人々しか出てこないが、どこかくすっと笑いたくな
るような感じ(あくまで「くすっと」ですけどね)があります。
確か亡くなってから15年もたって、ようやく岩の墓に納まったのだそうな。
作家の遺灰の長い旅。
 
シチリアでの岩探しは短いシーンだけれど、モノクロ画面がとても美しかっ
たですね。

遺灰たって、ここでの遺灰は粉々の砂みたいなもんでね、日本の焼き場で、
「ハイ、これ喉仏ねー」とかなんとか、係のオッサンに言われながら、良
かれと思うものを骨壺に箸でちょこちょこっと入れたようなもんじゃない。
その遺灰、かなり多くて、岩に収める缶に入りきらず、たくさんこぼれちゃ
う。それをある係員が捨てずに持ち出し、海岸へ行き、海に向かって撒いち
ゃう。まあそれがエンディングみたいなものなんだが、そこらへんになって
やっとカラーになる・・・
 
ところで、始めに「まずは・・・」と書き始めたのは、、、ピランデルロの遺
灰が納められたり撒かれたりして終わるかと思いきや、なんと、ピランデル
ロが最後に書いたという小品をドラマ化してくっ付けてあったから。
これはカラーです。タイトルは『釘』。15分か20分ぐらいだったか。
当時、ニューヨークはブルックリンで起きたという事件をもとにしたらしい。
イタリアからの移民の少年が、拾った大きい釘で、少女を殺ちゃったという
もの。 殺害のわけは「定め」と訳されてましたが、purpose と言っていたよ
うだから、目的? ん?神の意図? 
警察も殺害の意味するものが分からないし、観ているワタシだって、そのド
ラマの意味するものも、『遺灰は語る』のほうとの関連も、ピンと来ません
でした。根深かそうなイラつきと狂暴な気持ちとが突然ドッキングした。
それを「衝動的」というんだろうが、どこか「実存」ふうでもある。
「なんでやのん?」の答えからはますます遠ざかっちゃう。こっちは、「宗
教性」というぐらい曖昧ならばともかく、「宗教」による遡りはしたくない、
ごめん被りたい、という感覚が頭をもたげ、それ以上考えるのは止めました。