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(帯紹介文) まるで巨大な鉄槌を振り下ろすかのように、重々しい打撃音 |
が延々と続くこのフランスの作曲家ランシーノによる「レクイエム」の冒頭。 |
ここを聴いただけで思わず頭を垂れてしまいたくなるような、衝撃的な作 |
品です。20世紀になって書かれたレクイエムは、宗教的な観点よりも、よ |
り人間の存在について掘り下げるものが多いのですが、この曲もその一 |
つの形と言えるでしょう。テキストは「めぐりあう朝」の原作者として知られ |
るパスカル・キニャール。彼との3年間に及ぶ共同作業からこの作品が生 |
まれたと言います。彼らは死と永遠の時間について、答えの出ることのな |
い質問を、レクイエムという形式で聴き手に突き付けます。人生というもの |
は「壮大なフレスコ画と神聖な式典」なのでしょうか?それとも・・・。マー |
ラー、ブルックナーで音楽というものを高みに引き上げた名指揮者インバル |
による、人間の暗部に光を当てるかのような明晰な演奏です。 |
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紹介文にあるように、始めの重々しい打撃音の連続は、なかなかインパク |
トがある。 |
そのプロローグがトラックとしていちばん長く、ここのみフランス語でほかは |
ラテン語のよう。 |
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概して、神々しかったり、天に召される感覚、なんてものは少なく、せいぜ |
い最後の2トラックにその片鱗があるかもという程度。 |
ひたすら悩みまくるしかない人間というものを歌う感じが多い。 |
そういう意味では‘今更’であって、‘衝撃的’なんてことはない。 |
なんてね、上手く喩えられないのでもどかしい。 |
「‘人間の暗部’なんてありふれたものを突きつけて(作る側は)楽しいも |
のなのか!」 |
などと逆切れすることもないのだが、レクイエムが美しくないのは、寂しい |
じゃないか・・・ |
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今風の鎮魂の形・・・ |
と、その言い方はヘンやね。 |
オーケストラのサウンドは、斬新というわけでもないが、なかなか魅力的。 |
他の作品も聴いてみたい。 |
(今年初めに聴いたポルトガルのA・ピーニョ・ヴァルガスの「レクイエム」 |
が粗削りでも心揺さぶるものであったのに対して、こちらはもっとテクニッ |
クのある作曲家で、多分著名。)
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