休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『さがす』

20230612(了)

映画『さがす』

 片山慎三監督/佐藤二朗/伊東蒼/清水尋也
 2022年製作/123分/PG12/日本/DVDレンタル
 <★★★☆>

大阪のドヤガイみたいなところに住む貧乏な父娘。
娘は中2か中3ぐらいで、勉強には身が入らない。オフクロさんの死をなん

なく引きずっている。父は生真面目なところと浅薄なところが同居する。

ある時父親が「お父ちゃんなぁ、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえ
たら300万もらえるでー」みたいなことを言ったあと、忽然と姿を消す。
娘は同クラスの男子に手伝わせて父を探し始め、ある男の存在に行き着く。
と、ここまでそこそこ長いんだが、そこからしばらくは、彼らが行き着いた
気色悪い男がメインのキャラとして描かれる。この男は、ネット上にいくつ
も出てくる自殺&安楽死願望を持つ人間(ほとんど女)とコンタクトを取り、
金をもらって幇助することを始め、一応成功してしまう。
そこらへんで半分ぐらいだったか。ようやく父親の話(視点)になる。なん
で姿を消したか。奥さんの死の経緯、上記気色の悪い男との接点等々。娘と
のニヤミス(失踪中だからネ)のどたばた、なんてのも。
 
ここまで書くと、そんなにややこしい話ではなく、近ごろ時々話題になる自
殺幇助にかかわるお話が中心にあるのですが、視点が変わることと、それぞ

れのキャラの描かれ方や演技力がなかなかすばらしくて、引き込まれてしま

いました。

佐藤二朗がそんなに臭くやりすぎていなかったのもよかったですが、何より
娘役の伊東蒼さんでしょうね・・・
 
エンディングのダブルの捻りは自然で、2時間超というのは長すぎなかった
と思います。
それに、最後のシーンは、それまで度々出てきながら卓球のシーンがなかっ
た「西成ピンポンクラブ」だったかな、ごく小さい卓球場の中。
父娘がピンポンをしながらの会話で終わるのです。すぐわかりましたけどね、
いつまでもラリーが終わらないっていうの。(彼らは勿論シェイクハンド
高校・大学と卓球部だったワタクシメ、やっぱり反応しちゃいました。ワタ
クシはギッチョのペンホルダー。当時は今みたいに大半が前陣速攻のシェイ
クハンドになるなんてことは想像もつかなかった・・・)
このピンポンの音、北野武の『座頭市』の最後に、踊りださんばかりにトン
カチ・トンカチと音楽に合わせて農民たちが大工道具を復興のために打ち鳴
らすエンディング・シーンがありましたが、それをちょっと思い出しました。
座頭市』だって、たぶんなにかの引用やアレンジだったのでしょうが、今

回のも久々だったせいかオモロかった。暗くならないよう、深刻にならない

よう、という感じかな。もっとも、あまりやられても飽きそうやけど。