20230510(了) |
映画『ポゼッサー』
ブランドン・クローネンバーグ監督/アンドレア・ライズボロー/ |
クリストファー・アボット/ショーン・ビーン |
2020年/103分/R18+/カナダ・英合作/原題:Possessor/DVDレンタル |
<★★★> |
中身からすると「乗っ取る人」。人を、あるいは人格を乗っ取る。 |
またヘンテコリンなの、観てしまいました。「SFノワール」ですか。 |
せんだって観た『TITANE チタン』と「ケッタイさ」をくらべることになって |
しまうとは、よっぽどヘンな選び方になっているんだよ。 |
人を殺すことを請け負っている会社のようで、対象である人物の近くにいる人 |
間を拉致し、脳を通じて乗っ取るんだが、そこに入り込む役の人がいて、そう |
いう設備に寝かされた状態で、人物を操る。操るというよりは入れ替わって動 |
く。セックスシーンが何回も出てくるので、それに気を取られたりするが、基 |
本的にお仕事。 |
ここで乗っ取る側になっているのは女性。始まってすぐにある殺しは、コンパ |
ニオンに入り込み、仕事のあと自分を銃でパンとやれば済むところ、たまたま |
見つけた食事用ナイフで標的を残酷にもめった突きする。駆けつけた警察に射 |
殺されることで乗っ取りからかろうじて「脱出」する。殺し方も自殺方法も、 |
どうやら筋書き通りでない。乗っ取り役の女性の変調を匂わせる。 |
その彼女、家庭に戻っても乗り移り仕事による変調があるのに、検査を適当に |
うっちゃらかして次のお仕事に就く。今度のはでかい案件で、本作のメイン。 |
殺す相手はショーン・ビーン演じる大物。乗り移る相手はその大物の娘のカレ |
シ。女が男に乗り移って男の彼女とセックス、なんてぇのは奇妙さを感じさせ |
ることがないでもないものの、本筋はそうでなく、問題はやはり乗り移り役の |
女の変調で・・・ |
この変調ってのは、乗っ取られた側の人格と何らかの融合をしてしまって、離 |
脱しにくくなるということ。しかも乗っ取った側の精神に無視できない影響が 残る。 |
そういうことに、ハラハラしていいものやら、どうもよくわからん。意味あり |
げに出てきたヘンな震える白い物質が関係しているのかどうか、なんてのもあ |
るが、やはりよくわからん。この作品もどうも生理的な抵抗感があるなぁ。 |
仕事はハチャメチャな首尾へと進んでゆく。 |
人の脳や意識の中に入ることで、入られた人の人格と同期したり、分かれにく |
くなっちゃうような表現がしこたま出てくる。この描き方が気色悪く、妙にね |
っとり、べたついた感じ。ポスターがその「イメージ」やね。多分この感覚こ |
そがこの作品の最大の目的といってもいいのかもしれない。 |
こういうのあったような気もしますが、思い出せません。 これはきっとある程度評価されたんでしょう。 |
カタストローフはなかなか考えられたもので、はたと膝を打つというのでもな |
い、明るくないからね、でも、なーるほど、そうきたか!というものでした。 |
親(パパ・クローネンバーグ)も親なら、子(この監督さん)も子やねぇと、みんな |
思うわけだ。 |