休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ストラヴィンスキー;交響曲 三題

アンセルメストラヴィンスキー全集 2

                      3-2

  ERNEST ANSERMET EDITION - STRAVINSKY(1882-1971)
●CD 6
 (11)交響曲 ハ調(1939-40) ①-④ 30:38
    <★★★☆>
 (12)3楽章の交響曲(1942-45) ⑤-⑦ 22:31
    <★★★☆>
 (13)管楽のための交響曲(ドビュッシーの追憶に)(1920) ⑧ 9:05

    <★★★★>

f:id:kikuy1113:20210401001857j:plain

  エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
   録音;ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
   (11)(12)1960年3月、(13)1963年2月
   1994年/CD4枚組/管弦楽/ポリドール/邦盤/(Decca/London)中古

 

●CD 6

(11)交響曲 ハ調

ストラヴィンスキー交響曲というと、この「ハ調」「3楽章」「管楽」以外

に、習作的な「1番」と「詩篇」です。「ハ調」「3楽章」「詩篇」が人気。
特に「詩篇」かなあ。ワタシはそうなんだけど・・・。で(11)「ハ調」。
さて今回、比較・参考にするために引っ張り出したのは、マイケル・ティルソ
ン・トーマス/ロンドン響(アビー・ロード・スタジオ、1991年録音、BMG)。
先に書いておくと、録音はホンワリして鋭くは感じないけれど、独特で良い。
オケは極上、解釈はもはやすっかりクラシック(新古典主義という意味とは関
係ありません)。猛烈にカッコイイ。だから、アンセルメ盤は分が悪くてね、
そんなこと言ってもたいして意味ないのに、もちろん比較そのものだって本意
でもないのに、「言い訳」が必要だなんてつい考えちゃう・・・ 情けない。
 

知りませんでしたが、作曲した1938年というと、娘、妻、母と相次いでなくし

たんだそうで、評論家に言わせれば、それなのに、曲にはそのストレスや感情
面がまるで現れていないのは不思議だ、とのこと。
でもどうでしょう、そう思って聴いてしまうという面はなきにしもあらずだけ
れど、ちょっと慟哭めいた音がいくつか聞こえたように思うんですが、ご本人
は「そんな状況」に拘る気はさらさらないとか、音楽にそんなことを反映させ
るものじゃないなどという言葉をのこしているんだって。基本的スタンスとし
て、音楽に感情的なものを盛り込むことはしない。それはなんだかよくわかり
ますね。感情的な音楽との聴き方の違い、受け止め方の違いが、考えてみると、
独特なんですよ。全体的な感想の代表的な言い方になってしまいました。
名曲だと思います。
 

(12)三楽章の交響曲

これもまだ新古典主義風ですね、「春の祭典」のようなプリミティヴな面がそ

こかしこに現れる。わくわく感があり、ピアノがとても効果的。
アメリカでうけを狙う必要があって作った曲だったそうで、カッコよくできて
いると思います。
M・T・トーマスの演奏だと、あきれるほどスマートにビューティフルに録ら
れているけれど、アンセルメが分が悪いというほどじゃない。英デッカの録音
だって、ここでも十分威力を発揮しているし。すこし重いかな。でもカラフル
さじゃ負けていないんじゃないか。ポンポコ、ドンドコの音楽にはなっていな
いから、聴きやすい人が多いでしょうね。
どっちかというとどうでもいいほうだったこの曲、ワタシは好きになったぜ。
 
(11)も(12)も、生で聴いたことがありません。いずみシンフォニエッタ

大阪あたりで演ってくれないもんか。(次は夏で、ピアソラとツェムリンスキ

ー。その次は来年2月で、坂田直樹(知らない作曲家)やバルトークです)

 

(13)「管楽のための交響曲

ドビュッシーに捧げられたというだけで、ドビュッシーと内容的にはあんまり

関係がないんでしょうねぇ。
  「同質の楽器の異なったグループの中に、短いリタニー(連禱)のような
    具合に繰り広げられる厳粛な儀式」
だそうで、交響曲とは本当は違う。それより、前の2曲より20年も遡るんだ。
「兵士の物語」や「プルチネルラ」と年代的にかわらないころの作曲。
ストラヴィンスキー以外では聴けそうもない管楽アンサンブルのサウンドが実
に魅惑的!

f:id:kikuy1113:20210401003547j:plain

    (ロバート・クラフトのアルバムのライナーに見つけたもの。

     ストラヴィンスキーの特色がよく捉えられていて、とても

     うまいですねぇ)

                              ~20210311