休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『風の電話』

20210320(了)

映画『風の電話』

 
  監督;諏訪敦彦//モトーラ世里奈/西島秀俊
  音楽;世武裕子
  2020年製作/139分/DVDレンタル
  <★★★☆>

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大槌町でもって、震災や津波で両親と兄弟を亡くした(まだ見つかってい
ない)ハルは、広島県呉市で叔母と生活している。高校3年生。まるで気
の抜けたような高校生活をのろのろと過ごしている中、大槌に行こうと考
えている叔母が倒れたあと、なんで自分だけが残されたのかと激した勢
いで、ヒッチハイクのようなスタイルで、大槌町を目指すことになる。今
ふうに言えばロードムーヴィー。
始めは呉の土砂崩れ被害の現場でのオッサン。場所を移動しつつ、次は父
親なしで子を産もうとしている女とその兄。その次はアホな若者に絡まれ
たところを助けてくれるオッサン。このオッサン(西島)と共に東京や埼
玉を通過するんだが、車中生活者で、震災/原電と深くかかわっている。
トルコ人ヴォランティアを探したり、実家によってみたり、住む人を失い
ハクビシンの糞だらけの自分の家に行ってみたり。ここではハルは家族の
幻影を見る。このオッサン、ついにはハルの大槌町まで長々と付き合って
くれる。
そして復興が進みつつある大槌町。親しかったともだちのお母さんに逢い、
カモメの声を聞きつつ、家のあった場所に行き、「ただいま」を繰り返す。
 
ここで何度目かのもらい泣きですよ。まあこっちだって、これ、観たいじ
ょうそれを忘れないようにするしかないと考えざるを得ないわけですしね。
しんどいんだけれど、しんどがるわけにはいかない。
それにこのハル役のかた、うつろな心から時々激しい悲しみが噴出する、
その泣き方が上手いんでしょうかねえ、抵抗したんですが、そのたびにや
られてしまいました。いや決して茶化しているわけじゃない。どうせこう
いうふうな内容だろうし、わざわざドラマにしたんだろうからとある種覚
悟はしていたんですけどね。(えーー、上手く書けません)
 
1人になったハル。最後に「風の電話」のシーンになります。
とってつけたようなふうに見えなくもないのですが、これがなきゃこの映
画は終れない。タイトルの問題じゃないのです。ハル(実は春香)は、こ
ののちどんな生を生きることになるのかはわからないけれど、とにかく、

ようやく一歩踏み出せたというか、生き続けられる感覚みたいなものに出

会う。

 
音楽はムードを醸すだけのもので、可もなく不可もないと思ったんですが、
ま、ちゃんと聴けていたとは言えないですね。