休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『ボーは恐れている』

20241227(了)

映画『ボーは恐れている』

 監督;アリ・アスターホアキン・フェニックス
 2023年製作/179分/アメリカ/原題:Beau Is Afraid/DVDレンタル
 <★★>

一年の最後に、なんともはや、感想文の書きにくいものを選んだものか。
ヤレヤレです。
 
この50歳前後ぐらいの不運な男の物語の前段部分が、性に目覚めるあたりか
ら直前までは、オッサンから見せ始められるんだから当然と言っていいんだが、
小出しにされる。
たくさんの逸話の表現も映画全体に深く絡みついているので、一応先を知るた
めに観続けるしかない。
頭のいい?勝手な母親と、いまいち頭がいいとは言えない(中には自閉症なん
て言葉もちらっと出てくる)、ひどく臆病な男の、救い難い関係を、描いてい
る。今は死んでしまっているらしい父親のことも、散々ネタになる。
そもそも、ボーの住むみ町の様子がいかにも変。異常者ばかりなので、こりゃ
あ普通の表現と言えるわけはない、ほとんどSF的とわかる。まあ「ダークファ
ンタジー」が近いか。この言葉には違和感もありますがね。
彼の周りで起きることは眉を顰めざるを得ないことばかりが繋がっている。タ
メ息やおどおどを繰り返すボーにだんだん、眉を顰めるのがめんどくさくなっ
て、笑ってしまうようになって来てしまった。現実と非現実の境目が曖昧で、
それらがことごとく「悪夢」といっていいものなもんなんだから、いちいち気

味悪がってちゃあ観続けられんよ・・・。(観ている間に間に合えばいいんだ

ぜ、きっと)

 
長い3時間のうちでいえば、母親がどうやら死んでしまったらしいということ
がわかるのは、いたって初めの方で、決心するまでには時間がかかるが、母の
家は車で5-6時間というところらしく、そこへ行かなくちゃということになる。
ところが、もう、けったいなことが起きること起きること! 母親のこと(≒死
のこと)がストーリーのエンジンになっているんだか、なっていないんだか、
よくわからない。匂わせてくれていたように、お話としては二転三転します。
(こんなの、ネタバレにはならないと思います)
 
最後の、天国か地獄か、みたいな裁判は、これでもかという悪夢の仕上げにな
っている。よくもここまでこしらえたもんです。
終わって脱力。
疲れるってんじゃないけれど、3時間かけて観たいってもんじゃなかったです
ね。この優柔不断ふうな性格自体が、ここまで極端ではないとしても、自分に
通じるところもあるからなおさらなのです。嫌いとも、そうでもないとも言い
にくい。点数低すぎたか・・・。
 
この映画作家にはやられてるんだった。これはエンタメなんですよ、いや―な

気分になってくださればいいんですよ、なんておっしゃってるんでしたっけネ。

なるほどね。

とはいえ、ワタシとしましては、今後選ばないように名を覚えておかないとい

けない(すぐに忘れるのです)。

確かにこれも戯画であって、つまりエンタメだと思うけれど、楽しめません。