休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ペルルミュテール・プレイズ・ラヴェル

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20180601(了)
VLADO PERLEMUTER PLAYS RAVEL
〈CD1〉78:15
①-③夜のガスパール           21:14
④   水の戯れ                5:14
⑤   ハイドンの名によるメヌエット   1:54
⑥-⑩                    24:51
⑪   古風なメヌエット            6:03
⑫   左手のためのピアノ協奏曲    18:18
     ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮/コンセール・コロンヌ管弦楽団
〈CD2〉76:47
①-③ピアノ協奏曲 ト長調        21:41
     ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮/コンセール・コロンヌ管弦楽団
④-⑨クープランの墓            23:36
⑩   逝ける王女のためのパヴァーヌ 5:12
⑪-⑬ソナチネ                10:29
⑭   前奏曲                  1:13
⑮   高雅にして感傷的な円舞曲   14;02
    ピアノ;ヴラド・ペルルミュテール
    録音:1955(モノーラル)
    CD/クラシック/器楽曲/ⓒ&Ⓟ 1992 VOX/輸入
    <★★★★>

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クラシックのLPをポツリポツリと買い始めたころ、この方のショパンをよく
聴きました。(コンサート・ホール・ソサエティ盤、ワルツや前奏曲など) 概して穏
やかだが、ムードやセンスがいいというようなもので、角の取れた音色。
演奏だけでなく音色も、これらの曲の基本になった可能性大ですね。多
分少数派。
このラヴェルは、もちろん始めはLPですが、大人になってから手に入れ、
やはり結構頻繁に聴きました。ジャケットは違ったなぁ、もう処分してしま
ってありませんけど、、、
それをまたCDで手に入れなおすなんて、ヘンかもネ。
1955年録音の音質は、リマスターしたと書いてありますが、LP(モノ)より
良くない印象。この時期になるとモノーラル録音のおしまい近くで、それ
なりに究められていたはずにも拘らず、いまいちじゃないか。こんな音だ
っけか?もちろん後年の録音であるショパンよりも落ちる気がするし、音
域が妙に狭く感じる。こんなものだったかもしれないけど。
ちょい前に聴いていたブーレーズ/ドメーヌ・ミュージカルのCDでも端的
にわかったように、1955年というと、1958年頃以降のしゃきっとした録音
(たいていステレオにもなっている)に比べると、格段に落ちた。
また、ピアノのメーカーの知識はろくにないものの、スタインウェイなんか
のような角が鋭く強靭で、ある種金属的な(ステンレスみたいな)サウン
ドなんかでなく、もっと角の取れた音だったんじゃないかな。そのことは
昔、ショパンのLPでも感じたことだしね。
ただし、ホーレンシュタイン/コロンヌ管がバックを務めるコンチェルトは、
何故かソロのものより音質はまし。オケは比較できないがまずまずだし、
なんといってもピアノ音ですよ。ト短調のほうは、オケとピアノがいまい
ちかみ合っていないが、両コンチェルトともライブみたいな緊張感が漂
う。ペルルミュテールさんも張り切ってます。ひょっとすると、コンチェルト
の時のピアノはソロの時のものとは違うピアノを使ったのかもしれない、
素人の耳だけれど。
それから、ソロではそもそもペダルはあんまり使ってなかったとも言え
そう。
おそらくもっとちゃんとした装置で聴けば、もっとましな音で聞こえるんだ
ろう。
でね、ようやく車の中に持ち込んでみたら、あれまあ! このアルバム、
録音悪くないよ!やっぱりね、車の中って、大した装置でもないのだろ
うに(知らないもんね)、いい音場なんだよ、間違いなく。
いやぁ悪くなかった。柔らかい、角の取れた音色のピアノだが、なんと
か深みもあってピアノらしい。ワタシのために弾いてもらっているみたい。
協奏曲なんかねえ、上にもそれっぽいこと書いたけどね、2曲とも、まし
どころかいい録音! そして確かにピアノの音がソロと違う。
・・・なんて、音のことばかりになっちまった。
ラヴェルの曲というのは、指示を守って誇張しすぎるようなことがなけれ
ば、ちゃんとした曲に聞こえるって、何度か書いているんだけれど、この
方は確かラヴェル直伝ですからね、生前のラヴェルの指示を守っている
と考えていいわけでしょ。ワタシは全く文句はないな。
技術的にはこのかたのはすごいわけじゃないんだろうけれど、でも多分
下手ではないと思う。
でもね、そんなことよりなにより音楽の作り方。古いと言われればきっと
そうなんだろうが、こういった演奏をする人って、現在ではまずいないん
だろうけれど、ワタシは決して古いとは思わなかった。
(比較のために聴いたのはジャン=フィリップ・コラールのセット物。割と
好きな演奏なんですが、参考にはなりませんでした。)
このあと、Nimbusや日本コロムビアにいろいろ録音を残している。で
もおそらく技術的にはこのラヴェルのほうが衰えていないんじゃないか
と考えられるし・・・、ピアノがたいそう上手かったというラヴェル自身の
ピアノをリアルタイムで聴いているような気にもなれるじゃありませんか。

わたしのラヴェル事始めは、中学生のとき、陸上部の練習が終わって、
ヘロヘロになって帰宅した時、ちょうどラジオから流れ始めた「ダフニス
とクロエ」第2組曲
完全にノックダウンでした。ミュンシュ/ボストン響のもの。合唱付きでは
なかった。その後は管弦楽ばかり聴きかじり、ピアノ曲は大分遅れて聴
き始めたはずですが、覚えていないですね。

今から63年前の録音・・・
それを考えると、中学時代にラヴェルイカレタのは55年ぐらい前のこと
なんだから、このピアノの録音はその時点からほんの8年前・・・
そうなんだ。こんなふうに年齢を意識する形もあるわけだ。なんだかシー
ンとなってしまいます。
さてさて、この2枚のピアノのCDでは、「クープランの墓」「ソナチネ」「高雅
にして感傷的な円舞曲」がもともとたいそう好きです。弾いていて楽しいも
のかどうかは知りません。今更ですが、弾ける人が猛烈にうらやましい。
懐かしさで手に入れました。音は赦しちゃいます。満足です。
コンサート・ホール・ソサエティ盤も聴き直してみたくなりました。
(最初の数行で済んでいました。いつものことですが。)