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男の苗字が原題のロック。ロンドンに向かって車を走らせ始める。 |
舞台はこの車の中だけ。スピーカーにした携帯で喋るだけという非常 |
に限られたシチュエーションの作品。 |
携帯で喋る相手はほぼ6人。 |
大きなビルを建てるプロジェクトの工事主任的な男で、翌朝基礎の大 |
量のコンクリートを流し込むのを皮切りに大きな建築工事が始まるの |
を前に、敵前逃亡的に現場を離れざるを得なくなった。ここでは上役 |
的な男と、後を任せなきゃならない若い男が相手。 |
ロックが現場を離れざるを得なくなったのは、以前にたった一度犯した |
過ちによって妊娠させてしまった中年女のせい。ロンドンの病院にい |
て、早産で今まさに子供を産み落とそうとしている。不安で気も狂わん |
ばかり。 |
あと3人は自宅にいて、ロックと一緒にサッカー観戦をしようと待ってい |
る。妻と男の子ふたり。 |
以上6人。 |
そしてもう一人、実際にはいないのだが、後ろの座席にいるように語 |
り掛けてしまう存在があって、これはロックが相当に恨みに思っている |
ダメな父親。逃げ出したか亡くなっている。 |
ということで、女のいるロンドンの病院に着く2時間前に車を走らせ始 |
め、到着の40分前あたりまでを描く。86分は時間通りのよう。 |
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どういうスタンスで観たらよかったのかな、と、つい思いました。 |
中間管理職、夫、父親、そしてスキのある男・・・ |
まあ、結局は、作る側ではないので、過失のために仕事を失ってもい |
いのかだとか、孕ませてしまうようなことがあったとして自分ならどうい |
う対応ができるだろうか、カミサンとはどういう会話になるだろうかとか、 |
想像なんぞしながら観るしかないかぁ、などと。
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こんなシチュエーションなのに劇的で楽しめたようでもあるし、父親と |
違って逃げないつもりであるものの、みんな失ってしまう可能性が大 |
きいつらい状況に少しは感情移入して楽しめなかったようでもあるし |
、、、こんな場合の映画も案外なかなか難しいことになっちまう。 |
映画としては見事な挑戦であり出来具合だったと思います。 |
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蛇足です。 |
この映画、夜のハイウェイだから成立している。孤立のムードがあっ |
ていいと思う人も多いだろうし、もちろんそうなのだが、ワタシは個 |
人的には夜のハイウェイなんて好きじゃない。もともと運転は好きな |
ほうじゃないが、夜のハイウェイなんてのは特にそう。映画と関係あ |
りませんがね。 |
一人だったら、好きな音楽をガンガンかけるでしょうね。ジャズのコ |
ンボものや室内楽ではなく、オケやビッグバンドなどの編成の大き |
なものがいい。リズムにもこだわらない。 |
映画のような状況だったら?そりゃ音楽なんぞかけるわけありませ |
ん。 |