(帯惹句) 20世紀スペインを代表する音楽家の一人、ハビエル・モンサル |
バーチェ(1912-2002)。彼はスペイン内戦後の1942年から新聞で音楽評 |
論を始める傍ら、数々の作品を世に送り出しました。その作風は時代に |
よって違い、このアルバムでも多彩な音を聴くことができます。Track2の |
「民謡の主題」で使われているのは、カザルスの演奏でもお馴染みの「鳥 |
の歌」。強烈な個性と絹のような滑らかな声を持つ歌手サーシャ・クックの |
歌うこのメロディは聴き手の心を優しく溶かしていきます。舞曲のエッセン |
スを新古典派の様式にはめ込んだ「フォリア・ダリニアーナ」は楽しさ満点。 |
やはり新古典派のスタイルで書かれた「コンチェルティーノ」と名フルーテ |
ィスト、ランパルのたえめの「セレナータ」そしてこのアルバムの白眉でも |
ある「十字架への5つの祈り」。ここでもクックの名唱が冴えています。ス |
ペインの歴史に刻まれた悲劇と揺るぎない信仰心。これらが昇華した名 |
作です。 |
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多彩! |
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①新古典や新即物主義なんかの感じで始まり、フランス近代のムードも |
加わる。ほぼ常にフルートが活躍する。 |
奏したものが混ざり合い、盛り上がって終わる。 |
完全に好み。楽しい。 |
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②どうしてもカザルスを想起してしまう。そのチェロ独奏で始まり、弦楽合 |
奏とともに、魅力のあるメゾ・ソプラノが歌い始める。実に雰囲気がいい。 |
短いけれど、思いのほかよかったですね。 |
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③-⑤ ヴァイオリンのコンチェルティーノ。 |
おどろおどろしくなったりもするが、概して不協和音が小気味よく美しい。 |
時に、調性から離れたりしているような気もする。 |
ぶった暗さ(本当は暗くない)やリズムが、フラメンコのイメージを想起さ |
せる。 |
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⑥ フルートとピアノ。 |
プーランクのような例外もあるにはあるけれど、ワタシは概して好きな演 |
奏形態じゃない。センスがあって悪くはなかったのですが。 |
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⑦-⑪ さて、このアルバム中白眉という宗教的作品。詞には特に興味は |
ないが、5つとも別人のもの。 |
②と同じメゾ・ソプラノは魅力的。そのバックはピアノとさまざまな打楽器 |
が中心で、これもあまり好きな演奏形態ではない。 |
何度か聴いてみて・・・ものものしい⑦よりは、それ以降のほうがいい。 |
受難ものだけれど、常識的には使わないんじゃないかと思われる(よう |
知らんけどね)民謡調が使われていて、それがけっこう濃厚なのがいい。 |
聴くほどに馴染んでくる。⑪など絶品。短いが感動的。 |
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この前のモンサルヴァーチェのアルバム(1ヶ月前にアップした)もそうだ |
ったんだが、この作曲家、ワタシには一筋縄ではいかない。何度も聴か |
ないと入ってこない。でもそうすれば入って来るってこと。 |
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若いアンサンブルのよう。演奏のレベル、かなり高いと思う。 |