休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

トゥール/「出エジプト」

 
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20160807(了)
トゥール/出エジプト
Erkki-Sven Tüür(1959- )/Exodus
(1)ヴァイオリン協奏曲(1998)
   ①17:18 ②12:07 ③5:26
(2)Aditus for orchestra(2000/2002)④ 9:16
(3)出エジプト(1999) Exodus for orchestra ⑤ 16:59
   パーヴォ・ヤルヴィ指揮/バーミンガム交響楽団
   Isabelle van Keulen(ヴァイオリン)
   録音;2002年5月、英、バーミンガム、Symphony Hall
   CD/現代音楽/管弦楽/ⓅⓒECM Records/輸入/ネット
   <★★★☆>
 
エストニア室内楽を集めたCDで、トゥールは弦楽四重奏曲が収められ
ていた。これがミニマルで、実によかった。もう一つ他で聴いたことがある
んだけれど、とにかくこの弦楽四重奏曲が印象に残り、別のものを聴い
てみる気になった。
資料によると、ミニマリズム、スペクトル分析、直線対位法、12音技法、
音響作曲法の影響と並んで、なんとなんと、ロックグループを主宰してい
て、プログレッシヴ・ロック。強い影響は、キング・クリムゾン、フランク・ザ
ッパ、イエスジェネシスなど。
していた仕事の関係で、これらのロックグループは知っていて、音楽も若
干なら知っている。
技法のほうではミニマリズムと12音が少しわかる程度・・・
プログレとは思わなかった。でもプログレともなると、現代音楽との境目は
大分つきにくいとは言えそう。それっぽい風体の写真があった。
 
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(1)ヴァイオリン協奏曲:
①つんざく不協和音、その激しさ、荒々しさは猛烈で、プログレを思わせ
ないでもないが、ヴァイオリンには、ロマン派や近代音楽の(感情)表現の
残滓のようなものがあるみたいな気がする。それと、ミニマル。
②ほの暗い。分厚いオケの響きが美しくひんやりしてる。なのにヴァイオリ
ンは意外に甘く、第一楽章に通じるかもしれない。
③ミニマルではじまるも、どんどんミニマルでなくなる。
プログレっぽいというならこの楽章かな?
だいたい、プログレっぽいって、どういうことなんだ。
とにかくとても終楽章らしいテンポのある終り方をした。
人気の出そうなコンチェルトだと思う。
(2)Aditus
タイトルの意味がわからない。ライナーの英語部分をパラパラ見てもダメ。
弦のずり上げずり下げでカッコよく始まるが、どんどんドラマチックでサス
ペンスフルに変わってくる。かなりの大音量。
トゥールさんは、本来は書き直しとかはあまりしない方なんだが、この曲
については、なんだか決まらなくて、いろいろ思いついたこともあって、い
じったり追加したりしたそうな。
(3)Exodusと言えば「出エジプト記」、モーゼが何十万人、何百万人と引
き連れて移動する話。紅海を割ったり‘山上の垂訓’だったか、「十戒
を頂いたり・・・
でもこの曲、どうも宗教的なものじゃないような気がする。
これってベースはミニマルのようではあるけれど、そうでないものがいろ
いろ被さっていて複雑。となればミニマルなんかじゃない、か。相当な緊
迫感に支配されている。
『パシフィック231』のような列車の突進みたいにも聞こえてくる・・・と書
いてみて、ああけっこういい線いってるかも、なんて思っちゃった。
大仰だし、‘汽車’では古くさいけどね、全く古くさくなく、バリバリ現代的。
エンディングは静か。
この(3)は、演奏者であるこのオケと指揮者ヤルヴィ(現在はN響の指
揮者でもある)に捧げられている。特に作曲者と指揮者はもともと知り合
いで、ヤルヴィさん、トゥールのロックグループに参加していたこともある
と書いてある。
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今世紀に入ってからの作品を含む3作。
幾度も聴いたけれど、刺激的なのに、知識・言葉ともに足りなくてまとま
らず、結局‘だらだら’≒‘やっつけ’になっちゃいました。
(連日37℃。こんなに××暑いときに、冷房のないところで聴くもんじゃ
ない、ってことは言えますね。)