休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

マーラー/交響曲第3番~第7番

まだまだ、元気はあります・・・

20201127(メモ了)
 マーラー交響曲第3番~第7番
   ゲオルク・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団
   録音;第3番(1982年)、第4番(1983年)、第5番(1970年)、
       第6番(1970年)、第7番(1970年) & ・・・

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涼しくなってくると、編成の大きな、暑苦しい曲が聴けるようになってきます。
暑い時期はデカイ曲はダメですね。オペラもまあその範疇に入ります。冷房の
利いた映画館でMETのライブビューイングを観るのも、正直なところ平気と
いうわけじゃない。
 
そんなことで、去年も同じような感覚で、車内でかけるCDについては、秋も
深まってから規模の大きな曲を聴き始めたんでした。
去年のその大規模曲のひと塊というのが、マーラー交響曲3番から7番まで。
わざわざ1番・2番・8番・9番・大地の歌の5つを外して聴くというのも、
いくらか期すものがあったからなんですけどね。
 
期す内容はともかくとして、持っているCDを聴き直すという意味合いもありま
した。ゲオルク・ショルティ指揮、シカゴ響のものです。ユダヤ系の指揮者、
ドイツ系指揮者、その他名演と言われている録音等ではなく、うまいオケで、
さらっとした演奏、あるいはしつこくない演奏、あまり好きな言い方ではない
けれど、純音楽的な演奏、そういった条件を満たしていると思っているから。
(なんと・・・ショルティさんはユダヤ系だったんですね、知りませんでした)
 
去年も何かメモしておこうと思ってはいたんですが、結局何をメモすることも
なく年が変わってしまったのです。町内の役員(大役)が来てしまったのも大
きかった・・・
それと似たような感覚でまた3番から7番まで、ショルティで聴き始めちゃっ
た。今年はなにか書かなくちゃね、と思って・・・
今回は10月末ごろからぽつぽつ聴き始めました。
4番や5番はちょっと耳タコという面はあるんですけど・・・
今年はCDのレーベル面に、カッターで何本も直線の傷を入れての鑑賞。

 

3番、やっぱりいい曲です。カッターの線も利いたみたいで、音質もすばらし

かった。(デジタル録音なんだから当たり前か) 6楽章中の前半でも気が付

いてはいましたが、4楽章以降では、実によく歌ってまして、ここまで歌って
しまうと、最近少し気になっているピリオド奏法だったらどうなんだろうと、
つい考えちゃいました。

 

4番。音も演奏も若干固い気がしました。よく歌っているようなんだけれども、

ギスギス感がちょっとあったかなぁ。やっぱり音質かなぁ。あるいは輪郭がは

っきりしているとか、この演奏の下にはキン肉マンがいるというような言い方
もできるような気がする。だから(というべきか)、評価も割れたんではない
か。それとね、ショルティさんの「声」がいろいろ聞こえるんだ。
キリ・テ・カナワの歌はとてもテクニカルで、美声が素晴らしい。全体として
ニュートラルな演奏だったわけで、声質がそれに適っていたみたい。
これもデジタル録音。
3番は知らないが、4番は以前はアムステルダム・コンセルトヘボウでの知られ
た録音がありましたね、ラジオでしか聴いていませんし昔の話です。
でもなんとなく覚えてます。なんかとても柔らかい音だった記憶があります。
 
第4楽章がヴィスコンティの映画『ベニスに死す』で使われて、有名になった
と言ってもいいのかな、第5番。4番なんかより、あるいは先の3番よりも、
聴きやすくない≒親しみやすくない、気がする。もちろんのこと、このアダー
ジョは絶品ですけどね。
トーマス・マンの原作じゃあ、老音楽家でなく老画家。画家はドイツ語じゃあ
マーラーだから、マーラーの音楽を使った? 偶然だよな・・・ 

マンを投影した面もあるだろうが、グスタフ・マーラーを投影してはいるまい。

考えてみれば、そこは知らない。

さて、このCDは実はバッタもの。そのせいかもしれないけれど、音が少し甘い

気がする。もともとこうなのかもしれない。アナログ録音。一ヶ所、音が潰れ

る・・・。

ショルティさんは「筋肉」が素晴らしい。最後の最後のすさまじいアッチェレ

ランドには唖然茫然。
どんな演奏もここはかっこよく決めたいはずだから、ショルティさんのが特別
というわけじゃないと思いますが、それにしても、かっこよかった。

 

6番

パン、パラパン、パラパランパンパン・・・というティンパニがあっちこっち

に出てくる以外には、メロディらしいものがとっさには思い出せない。実際に
長いメロディ、目だったメロディがほとんどない。聴けば、ああそうだった、
こんな音!となるんですけどね。
全体としては元気があって、明るめ。緩徐な第3楽章もそう。色々詮索したく
なるような感じではなく、マーラーにはそぐわない言い方になるかもしれんが、
いっそ爽やか。生で聴いたことはありません。案外聴いてみたい気がしました。
少し奇妙です。
 

7番は、6番と違って、再びおなじみのメロディに満ちている。一聴、6番よ

り捉まえやすいかもな。少なくとも第4楽章までは。ハープより目立つのはマ

ンドリンだね。で、第5楽章なんだが、例えば、やけっぱちな感じ。しっちゃ
かめっちゃかで、まとめるのに異常に苦労している。『夜の歌』なんてサブタ

イトルはいったいなんなんだ・・・ でも締めがうまくいって、非常にカッコ

イイ。

そしてこのCD(2枚目)には、「子供の不思議な角笛」というマスターピー
スがフィルアップされている。あまりにも有名なオケ伴歌曲集からの4曲。ワ
タシなどあまりいろいろ聴いていないせいか、かのシュヴァルツコップの歌唱
をどうしても思い出してしまう。でも、比べるのははっきり言ってムダ。 こ
のいたってノーマルなミントンの歌唱こそスタンダードタイプなのではないか。
これは5番と同じバッタもの。でも音はよかった。
 
ええい!おまけだ! と、8番も(ちょっと我慢して)聴いてみました・・・
ウィーン(楽友協会大ホール?)での録音で、つまりオケこそシカゴ響だけ
れど、ほかはすべて「旅行先」のもの。
歌手の名は皆知っているから、すごいメンバーなんでしょうね。
それにしても、音の多さ、音の塊のでかさは半端でない。
名のとおりの「1000人」まではいないと思うが、へこんだ時や焦っている時
などでは絶対に聴いておれない。特に第一部。 女性歌手の悲鳴ないし絶叫は、
録音だから聞こえてしまうってことはあるだろうけれど、これは我慢して聴く
必要があるとは思いにくい。第二部はその点落ち着いて聴いておれたし、エン
ディングは、実に感動的でした。
今聴けたということは、何とか精神状態はありがたいことにひどくはないっ
てことなんでしょうね。でも8番は・・・もう一生聴くことはないかも、、、