休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『ホルテンさんのはじめての冒険』

20250426(了)

映画『ホルテンさんのはじめての冒険』

  監督;ベント・ハーメル/ボード・オーベ
  2007年製作/90分/ノルウェー/原題:O'horten
  <★★★★>

爆睡したとかシュールだとかいったネットの感想が始めのほうにありました。疲
れて観るのはつらいかも・・・ でもシュールじゃないなぁ・・・ とか思いつ
つ。それでもどなたかのブログで面白そうだったので・・・ 映画大国のものと、
随分ムードが違うんですよね。面白かった。眠気なんかとんでもない。
 
朝早く自分で弁当作ってるから独り者なんだ。方向変える操車場っていうんだっ

け、その段階から立合ってのち、電車の運転を始める。ずーっとトンネル(地下)

なのね。そして外へ出たら、そこは雪国だったなんてもんじゃない、雪もいくら
か降っているからなんだろう、薄暗くぼやーっと白い景色が広がっている。その
中へ鼻づらの丸い電車が走りこんでいきます。もちろん曇天。この感じだけで気
に入っちゃいました。こういう天候はごく普通なんだろう。
 
このおっさん、勤勉実直の67歳で、あとちょっとで定年退職。部屋にインコみ
たいなの飼ってましたね。『サムライ』のカナリヤとはだいぶん待遇が違う・・・
直近の予定としては、終点まで行って終わって、飛行機で(オスロに?)帰って
くるんだなんて言ってましたね。終点の宿屋のばあさんには何十年も泊めてきた
が、もう会えなくなるんだと寂しがられ、また来るから、なんて返事している。
(これ、ちゃんと果たされるのです)
 
送別会の二次会みたいなのに行った時、予期せぬ事態が起き、翌日おそらくは
じめての遅刻をし、それを皮切りにホルテンさんには実に様々なことが起きて
行くというのが本筋。その予期せぬ事態ってのも面白いんだけれどね、全部言
ったら大変・・・ ホームらしいところにいる母親を訪れたところでは女性の
スキーのジャンプが差別されていたことが出てきて、あとで手当てされます。
住まいの近くの食堂で、食べている最中にコックが逮捕される。意味あるんか!
と思うが、これがおかしい!これの続きもあとで短く描かれます。
友人に何かを急に手放す決心をするんだが、空港にいるらしいその友人がなか
なか見つからない状況が無意味にギャグっぽい。不審者と間違えられたり、会
えたら車が故障したり。なんと処分するのは船!船なんか持ってんだ・・・
サウナの後、ホルテンさんの唯一の趣味であるパイプたばこのお店でのギャグ。
タバコ屋の外で、極寒の路上で寝る男を助けると、自称元外交官で自宅に招い
てくれたあと、早朝におかしな車の事故。その時から、自称外交官ちの犬が連
れになる・・・
と、随分書きましたが、なに、問題ない、こんなもんじゃないのです。
おしまいには、電車の運転席の横にホルテンさんと犬がおり、外は始めに書い
たのと同じ白くぼーっと霞んだような雪景色。宿屋の女主人がいる駅・・・
 
そうそう、運転手たちが集まった送別会で、余興として、オープンリールに録
音した鉄道にまつわる様々な音を聞かせて、「これ、なーんだ?」とやる。機
械音やホームなど様々な音。難しそうな音ばかり。ホルテンさん以外の皆に大
うけだった。おもしろいシーン。なんでホルテンさんには受けなかったんだ?
 
雰囲気はすべて緩いんだけれど、眠るどころじゃない、このおっさん次は何す
んのん?
お隣の国に、カウリスマキという知られた映画作家がいて、日本にもファンが
多いみたいですが、ワタシは苦手。このいろいろ削ぎ落とした(観た人は、削
ぎ落とされたものを附けなおさなきゃならない、みたいな)変わった作風とは
似てないとは思うものの、なーんとなくこの「ホルテンさん」と共通点がある
ような気がしました。国民性ふうな雰囲気なんですかねえ。あるいは単純に国
が近いからか。ユーモアというのも含んでいるね。
「違うやろ!」と笑われるかもしれませんけど、でも、ワタシは、始めにも書
いた通り、この作品、気に入りました。
邦題、これでいいんじゃないですか、悪くないと思います。