20250415(メモ了)
『謎の独立国家ソマリランド
そして海賊国家プントランドと
戦国南部ソマリア』
/高野秀行
| プロローグ 地上に実在する「ラピュタ」へ |
| 第1章 謎の未確認国家ソマリランド |
| 第2章 奇跡の平和国家の秘密 |
| 第3章 大飢饉フィーバーの裏側 |
| 第4章 バック・トゥ・ザ・ソマリランド |
| 第5章 謎の海賊国家プントランド |
| 第6章 リアル北斗の拳 戦国モガディショ |
| 第7章 ハイパー民主主義国家ソマリランドの謎 |
| エピローグ 「ディアスポラ」になった私 |
| ソマリランドとソマリア 近現代史年表 |
| 2013年/単行本/冒険~ルポルタージュ/本の雑誌社/中古 |
| <★★★★△> |

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高野さんの2回にわたって行ったソマリア取材旅行 の ”トンデモ ルポルタージュ” |
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ソマリ人の不思議 |
| 高野さんのルポルタージュというのは、なぜか癖になるのですが、どこか変わ |
| ってます。それがこのやけに分厚い本じゃ、その「変さ」がちょっとほかにな |
| い度が過ぎる暴れ方をしている感じです。 |
| その「変さ」の一部を占めるのは、行った国や地域や人々が徐々に気に入り、 |
| 同化して行くこと。初期のころのはその傾向も淡いものなんですが、だんだん |
| その傾向が増してきた。それがここじゃあ、行き過ぎのレベルかも。 |
| さて、 |
| カートというまあ一種の麻薬に当たる植物をバリバリ、むしゃむしゃ喰いなが |
| ら(結果、便秘にも悩ませられながら)、旧ソマリアの三つの自称独立国(地 |
| 域)、ソマリランド、プントランド、南部ソマリアの成り立ち、ありようをど |
| んどん増す興味やソマリランド愛とともに苦労しつつ調べて行く話です。 |
| 「氏族民主主義」というのがとにかく面白い。これがすべてといってもいい。 |
| 「部族」でも「民族」でもない「氏族」がすべてという考え方。でもその氏族 |
| が分家という形で枝分かれして複雑だから、日本の平安時代や鎌倉時代などの |
| 有名な家系や人物を便宜上の分類として使って説明してくれる。 |
| これがまた、厳しいんだか緩いんだか、国の運営として本当に奇妙なもので、 |
| 西欧などの基準とは合わないし、国連だって理解できず結果国として認めてく |
| れない。今一つは、ソマリ人の性格。即断・即決・飽きやすく気短か。(これ |
| は結局は歴史と地政学的な理由による性格と言っていいのかも) |
| ソマリ人にとっては氏族民主主義が血に流れているかのように信じている。氏 |
| 族同士が争そうくせに、まさにそのシステムでもって物事を解決もする。多く |
| の分家があるがあるにもかかわらず、案外整然としている。ただし、氏族同士 |
| の、あるいは外からの出入りには、意外に寛容という面もある・・・。 |
| アフリカのあちこちの国々も知っておられるわけだから、ソマリ人の特殊性は |
| 間違いなく「よっぽど」なんやとは思う。 |
| まあこんなものでは全く説明のつく地域や民族じゃない。 |
| そしてこんなにページ数を費やしても、高野さんにとっても、好きになった理 |
| 由も含めて、説明を尽くしたことにはならなかったもんだから、次の『恋する |
| ソマリア』という本で、不足分を補なうことを主眼としつつ、まとめなおしも |
| 試みたということになるんでしょう。片思いの暴走の続き。 |
| (出版社が違う・・・ これを先に読んでしまってからもう5年もたっていたん |
| だ!早いなぁ、時のたつのは) |
| おしまいにゃ、自分はソマリ人になりたいと言い出すもんね。高野さんも普通 |
| じゃない。 |
| 氏族による貴族院のごとき議会と、氏族とは無縁の政治家による議会の二院制 |
| などの仕組みのソマリランドは、ブータン(高野氏の本によれば仕組みは違う) |
| 同様、国連に(≒世界に)認めてもらおうと努力してきたそうな。 |
| しかし国連なんて実際は・・・ |


| と、めちゃ手厳しい。 |
| ウーン、代わりがあるんならねぇ、納得できるけど、これ2012年現在だし、た |
| だいま現在の人間の英知でもまるで無理。 |
| しかもしかも無法者と化しているロシアだけでなく、他の理事国の拒否権行使 |
| で前に進まないことばかりだし、自称リーダーであったアメリカ自身がリーダ |
| ーの資格の放棄同然の態度をとりつつある・・・ |
| ソマリランドの民主主義のほうが、現時点、優れているかも、なんて著者同様 |
| ちょっと考えちゃいました。 |
| 本を読む楽しみに満ちていましたが、この本の中ですでに片思いの暴走じゃ |
| なくなってるというか、冒険なんてものから完全に逸脱している。 |
| 自身は日本に住むソマリランドの「ディアスポラ」! |
| この本の後、高野氏は複数回同地を訪れ、『恋するソマリア』を上梓。恋の |
| 続きだったんだということはわかったものの、今はどうなんでしょうねぇ。 |
| 半年かそこいら前に、珍しく高野氏が朝日新聞のオピニオン欄に出てきて(イ |
| ンタヴューを記者がまとめたものだったと思う)、ぶち上げたのは「日本 辺境 |
| 論」という変わったものでした。 |
| この本同様、ちょっと不思議な感性も感じられるもので、印象には残りました。 |
| 辺境(≒考えることややることの田舎者臭さを、どうも救いがたいみたいな感 |
| じとともに使っているイメージ!)をネガティブに捉えられているように思え |
| たので、全面的には賛成できませんでした。だって、ワタシは、「おっ!辺境 |
| か!日本は辺境でいいんじゃないの?」と思ったりもするので。 |
| (いつぞやも書きましたが、外国のオケが日本公演をやる際の曲があまりに |
| 餡子が多すぎてヘンなもんだから、思わず日本のクラシック音楽界の将来を |
| 憂えてしまった。そのこととはちょっと矛盾するかもしれませんが、連想が |
| 繋がった感じもありました) |
| (注)ディアスポラとは「移民」「植民」を意味する思想用語。かつては主に |
| ユダヤ人・ギリシャ人・アルメニア人の歴史的離散に限定して使用され |
|
ていたが、現在ではより広義に移民コミュニティ一般を指し示すように なった。 |
(付録)

(ちょっと笑えます。国際的にはマズイでしょうが・・・)