休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『12人の怒れる男』

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20190628(了)
映画『12人の怒れる男
  監督・脚本(共同)・第2陪審員ニキータ・ミハルコフ
  音楽;エドゥアルド・アルテミエフ
  2007年/ロシア映/159分/DVDレンタル
  <★★★☆>

もちろんあのルメットの有名作のリメイク。
リメイクというとテレビ版だって面白かったし、陪審員制度がないはずの
日本ヴァージョンも楽しかった。
これはロシア版。
携帯を使い始めた頃なのかな。機種でなんとなくそう思いました。
チェチェン出身の少年が、養父を殺したかどで、裁かれようとしている。有
罪なら終身刑だろう。ということでモスクワの裁判の陪審員12人が有罪か
無罪かを評決しなきゃならない。協議場所は裁判所の隣の学校の体育館。
最初の評決はオリジナルと同じで、始めは有罪11、無罪1。無罪の1は反
論とも言えないような理由なんだが、全員一致でないといけない。
そこから大迷走協議が始まるというスタイルは皆同じ。
ときどき、チェチェンの紛争や、陪審員の本論とはズレまくったとしか言いよ
ようのない個人的な体験とそこから得た教訓が、芝居っけたっぷりに披露
され、それらがなぜか有罪・無罪を覆す理由とされる。そのパターンがいろ
いろ。役者たちはすごく個性的でうまい。150分(!)のなかでたっぷり描か
れる。いろんなロシアが見えているようなのが面白いし、中でもチェチェン
問題の触れ方や、人種問題などの一端が見え隠れするのも興味深い。
もちろんときどきは、まっとうな路線へ引き戻す動きも挟まる。
リメイクするにあたって、実に様々な工夫が凝らされているんでしょうね。
舞台が体育館というのも利いている。
長尺にはなってますが、少々ダレるのもむしろ協議のリアルさで、引き込ま
れました。
おしまいの捻り具合にはけっこう驚きました。ミハルコフ監督さんならではな
のでしょう・・・
音楽は、弦中心のオケとヴォーカル。ちょっと古臭くて面白くはないですが、
もちろん邪魔にもなっていないようでした。