休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

クラシックに未来はあるか

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20190210(了)
特集: クラシックに未来はあるか
エストロと考える 危機の乗り越え方/対談 片山杜秀×大友直人
     助成金の先細り、観客の高齢化・・・・・・
     ・「クラシック界の未来」が危惧されるいくつかの理由
     ・クラシック音楽界にも問題がある
     ・日本人が西洋音楽を演奏することの意味とは
     ・日本にオペラは根付かないのか
     ・文化を“経営”する
“立派な芸術”だから必要だなんて言えない岡田暁生
     クラシック音楽家よ、まずは芸人たれ
     ・「かつて」が特別?
     ・素人とプロを分かつもの
     ・“一流”はどこがカッコいいのか
新作オペラ『紫苑物語』を世界に問う覚悟大野和士
     西洋音楽という概念を越えて
     ・演奏会はモーツァルトが始めた
     ・細分化した聴衆を惹きつける演目を追及する
     ・日本の小説が原作のオペラ
     中央公論11月号(2018)/雑誌/中古
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未来はあるかって、考えると変な問い。「輝かしい」とか「悪くない」とかの?
読みましたが、「どんな未来があるのか」わかりませんでした。たとえばとい
うことすらもなし。
見出し、小見出しを書き出してみました。
3組の意見が並べられている。うち、大友氏大野氏の2人が指揮者。
おふたりともちょっと似ていて、ともに総合芸術と言われるオペラに言及して
いる。オケやオペラが中心ということでもないんだけどね。いや、そうなのか
な。
クラシック音楽は、実はご大層なものでもないのに、金食い虫であり、技術が
とても必要。しかももう100年以上も前のものをありがたがる。人口減少もあっ
て常識的には先細りは当然。それに国が経済優先で助成金も細ってきた。
おふたりは偶然なのだろうか、日本のオリジナルオペラに拘っておられるが、
果たしてどんなものでしょう。(いわゆるクラシック音楽で最もチケットが高い)
指揮者ってのは普段の勉強が大変だけれど、そもそもなるのが大変。たくさ
んいたって、あぶれるだけ。このおふたりは日本の指揮界の重責を担ってお
られる。完全にプロデューサーでもある。実入りもきっとすごい。地方のオケ
でも常任ともなれば(それが終るまでは)それなりにいい給料がもらえるらし
い。でもメジャーでないオーケストラの奏者ともなると、アルバイトをやらない
と絶対に食っていけないし、アルバイト代のほうが給料よりいいなんてことす
らある。(たまたまちょっと知っています)(地方オケの演奏会はチケットも安
い!安くないとお客さんが入ってくれない!)
だから指揮者ではハングリーさや切実さが足りないかも、というつもりではな
いのですけど・・・オペラねぇ。魅力的でお金がかからないオペラなんてほとん
ど言語矛盾じゃないかしらん。
助成金も絶対なくちゃならないが、オーケストラなんてたくさんあってもだめな
んじゃないかなぁ、もう多すぎる気がする。
大阪センチュリー交響楽団大阪府から助成金をバッサリ切られた(=おっ
ぽり出された)のが記憶に生々しい。日本センチュリー交響楽団として民間か
らの支援や自助努力で盛り返しているみたいです。活動の幅の見直しや魅
力的なプログラムの創造に成功しているのかな。運営状況はどうなんでしょ
うか。
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最初の対談の資料ふうに、日本の主だったオーケストラの収支構造がいくつ
か載っていました。日本センチュリー交響楽団は載っていません。
予想通り、N響は特殊もいいところで、大きさや恵まれぶりが際立ってます。
人件費、見て見て!


岡田先生のほうは一応リアリズム(!?)ですが・・・
もとはといえば、宮廷音楽に由来し(教会音楽のルーツもあるけれど)、王侯
貴族が聴き手であったものが主だから、浪費や蕩尽など、贅沢はむしろ美徳
とされた。つまり富を夢のために使ったというのね。そのバブルをまだやってる!
そらアカンヤロ、黄金時代はもう終わったんやで・・・
つまり、もっとダウンサイジングをやらんと、妥当な規模にならへん、先細りは
当然や、みたいな言い方。
で、芸人たれ!という。
とにかく、高齢化だろうがなんだろうが、超一流の腕(必須として拘るべし)で
もって、意地でも自分たちの音楽を聴きに来させるという気合が要るってさ。
(評論家で京大の先生だけれど、これはもう理屈じゃないしリアリズムともちゃ
うんやないかぁ? 気合いかよ。
いわゆるクラシック音楽の奏者や指揮者なんてぇのは、なるのに金も時間も
かかるし、超一流のハードルとなると・・・それでも、幼児教育から必要という
感じだから、世のお母さん方は勘違いしないほうがいい。 なのに、なったら
「気合いだ!」ではかなりつらい。聴くほうはね、聴き馴染めばいい、それだ
けです。
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3つともそれぞれに面白かった。皆さんさすがの教養をお持ちだし。 ですが、
これだ!というものは見えませんでした。大友さんは歌舞伎の生き残り状況
を例に出して感心していましたが、存在感や著名度のわりに、サイズがまる
で比較にならんでしょう。
ワタシは本当のところ、どうでもいいとまでは言わないが、ほっときゃそれなり
のサイズに徐々に落ちて行くでしょうから、あまり関心はない。今取るべき策
ったってなにも思いつかない。どんどん生は観られない聴けないことになるで
しょう。毎年どれだけ多くのクラシック演奏家が生まれているかと考えると、そ
りゃ大変! でもそれだってもちろんダウンサイジングの対象でしかないでしょ
うよ。
それでも聴いたことのないクラシック音楽(この呼び名はほんとうに具合悪い)
は山ほどあるし、生きているあいだぐらいは楽しめそうだと思ってます、無責任
に。もともと責任なんかありませんけどね。
もっとも、長男夫婦が、オーケストラ団員であることをやめ、クラシック音楽を素
地とする“芸人”に近い感じの生活をしていることを思うとね、ま、気にならない
こともない。孫もヴァイオリンをさせられそうな感じだし。これでも一応親兼オジ
イチャンなので。