休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『裁き』 Court


イメージ 1
20190202(了)
映画『裁き』 Court
  チャイタニア・タームハネー監督//ビーラー・サーティダル/
         ビベーク・ゴーンバル/プラディープ・ジョーシー
  2014年/インド映/116分/DVDレンタル
  <★★★△>

法廷の意。ここはムンバイ。
これをIT大国インドの‘普通’だとは思わんが、でも画面あちこちの細部に
ついては、まあエエカゲンな感想ですが、そこが抜けたバケツみたいなリ
アリズムもたくさんあったんじゃないかしらん。カーストや民族、宗教や言
語、貧困や格差等々、感じるものはありました。
しかし、それにしても、なんともけったいな不条理裁判。
けったいといえば、法廷のあちこちの扉が開いていて、外を人々がバンバ
ン通っているのね。筒抜けじゃないか・・・、秘密もへったくれもない。そこ
んところは唖然というか、結構びっくりした。実際こうなん?
ところ変われば、ということでいいのか、何かの表現なのか・・・
アジテーション的な歌を歌う詩人兼歌手兼教師が、なんで捕まらないとい
かんのか見ているこっちは全くわからない。下水清掃の仕事をする男が
その歌を聴いて(歌にそそのかされて)自殺したらしい。その自殺をそそ
そのかしたかどでという。こじつけ以外の何物でもない、歌手は捕まって、
裁判を受け始める。彼は唯々諾々、歌以外ではなんの主張も開陳しない。
すくなくとも開陳するシーンはない。歌は堂に入っていました!
弁護士は古い体質の家庭で浮く心優しい教養人(男)、マイナーな宗教を
ネタにしてしまって痛い目に遭ったりもするが、掘り下げなし。
検事はありふれた家庭のありふれた主婦の側面を持つ女で、裁判では古
い法律によってあきれるようなオーバーな論理を平然とぶち上げる。この
国の男尊女卑も有名だが、それを一見克服している女性の鏡・・・
物的証拠など何もないまま状況はおおむね悪いほうにコロコロ転がってい
く。裁判はしかし、なんとなくながら、いつ終わるとも知れない感じがする。
明らかに違うんだけど、それでもやっぱり、乏しい読書経験からはカフカ
「審判」を連想してしまいました。
休みの期間に入って、件の裁判はあっさり中断。確か一ヵ月。
担当の一見公正な感じの裁判長の軽い調子の中断に唖然とさせられた
後は、彼の一族郎党(?)を引き連れた豪華で脳天気なヴァカンスを(ど
うだい、成功者はこんなもんよ!という感じで)見せられれてほぼおわり。

然るべき終わり方でした。脱力的余韻なかなか強烈。